「フェイトちゃん!」
戦闘を終えたなのはとユーノが塔に戻ると、既にフェイトとアルフが戦況を眺めていた。
「クロノは?」
「………」
「フェイトちゃん?」 「あ、ごめん」
真剣な眼差しで見つめるフェイトは、二人の到着に気付いていなかった。
「クロノ君、どう?」
「…見てれば分かるよ」
ドォン! 銀髪の少年が、塔の床に叩きつけられた。
「スティンガーブレード、エクスキューションシフト!!」
光刃の雨が、少年に降り注ぐ。 数本がバリアを貫通し、肩口と左膝をかすめた。
「くっ…! まだまだぁ!」
少年が、5つの立体魔法陣を同時に展開させた。
「…魔法陣自体の遠隔操作! しかも複数!」
驚くユーノに、フェイトが言った。
「うん。あの銀髪の人、私やなのはと同じくらい強いと思う」
展開した魔法陣が、クロノの周囲を囲むように飛び交う。
「くらえ!! ホールディングバスター!」
5本の集積型直射魔法が、クロノに襲いかかった。うち3発が、クロノを捉える。
「どうだ!!」
そう言って勝ち誇った少年だったが、その笑みは一瞬で消えた。
「…でも、クロノは、それより遙かに上にいる」 フェイトが呟く。
「…ブレイズキャノン」
ズン! という鈍い音が、少年のバリアから響いた。
「くううぅう!」
何とか受けきったのも束の間、既に目の前には接近する影。
「…ブレイクインパルス」
「うわああああ!」
バリアを完全破壊された衝撃とダメージで、少年は大きく吹き飛ばされた。
「…すっごぉい」
「…これが、本気のクロノ…!」
「あのボーズ、まぁた強くなってんのか…!」
「手を出すなって言ってたけど、確かに全く問題なしだね」
ただただ感心する一同。一方、少年は完全に追い込まれていた。