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[239]jewel :【Turn against】 2006/02/07(火) 18:44:04 ID:r/l1SA2h

【Turn against】 【W】

(カンファレンスルーム…あそこか!)
 既に一部で火災が発生している建物内の一室に、シグナムが飛び込む。
 室内にいたその男は、僅かながら驚いた顔を見せ…体を向けた。
「…おいおい、もう来ちゃったのか? そろそろ本気になってくるだろうと思って、
 傀儡兵を持ってきたってのに、こんなに早いんじゃ意味がない」

 ―長髪の魔導師が、やれやれと苦笑する。

「あいにくだが、貴様の戯言に付き合うつもりはない。
 主の手を煩わせるわけにはいかんのでな。戦うか降参するか、早急に決めろ」
 レヴァンティンの切先を向け、シグナムが言い放つ。
「凛々しいねえ。君、この前の遺跡の時にもいただろう? 見事な戦いぶりだった。
 食事や紅茶なら是非ご一緒願いたいが、今は遠慮させてもらうよ」
 そう言うと、再び魔導師はシグナムに背を向けた。
「逃がすか!」『Schlangeform!』
 連結刃とかしたレヴァンティンが、その背中に迫る。

 ―キイィィン!
 甲高い音が、室内に響き渡った。
「新手!?」 剣を引き戻し、身構えるシグナム。
「…先生、ここは僕が」
 シグナムの攻撃を受けたのは少年、だった。背はクロノよりもやや高いが、
線の細いその体型は、およそ「戦士」という単語には相応しくない。
「すまんな。あとで例のポイントに来てくれ。転位魔法で迎えに行く」
 背中からの声に、少年は振りぬかぬまま、はい、と答える。
「逃がさん!」 ギィン!
 シグナムが切りかかるも、再び少年が間に飛び込み、それを防ぐ。
 (…速い!)
「気をつけろよユウキ。彼女、相当の実力者だ」
「…『アレ』、使ってもいいですか?」
 ユウキと呼ばれた少年が静かに尋ねた。
「…やむを得ないだろうな。本当は、ヒトを相手にそれを使わせたくはないんだが…」
「行って下さい、先生」
「すまんな…死ぬなよ、ユウキ」
「待て!」
 シグナムの声もむなしく、魔導師は光の中に消えた。

「…すみませんが、相手してもらいますよ。追わせるわけにはいきませんから」
 少年は独り言のようにそう呟くと、その細い剣の先をシグナムに向けた。


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