(今度こそ!)
完全に背中を取った格好で、少年がシグナムに斬りかかる。
「…紫電一閃」
「!! くっ!」
咄嗟に刀を防御の型に変え、攻撃を受ける少年。しかし、『威力』という点で、
彼がシグナムに敵うはずもなかった。
「うわあああ!」 直撃こそ避けたものの、余りの衝撃に、壁に叩きつけられる。
(完全に読まれた… もう、ダメか…!)
「…剣を引け。お前は、ここで倒れるべき人間ではない」
シグナムが、厳かに告げる。
「…同情なら、やめてもらえますか。大嫌いなんです」
「そうではない。お前にも、私と同じく…強い『意志』のようなものを感じるからだ」
「それなら、判るでしょう? 絶対に引けない。引くわけにはいかない!」
「…」
部屋の周囲に、武装局員と魔導師達が集まり始めていた。
「シグナム捜査官補佐! 今の内に、逮捕を」
「すまないが、黙っていてもらえるか。この者との決着は…私が」
室内に入ろうとする局員たちを、シグナムが剣で制する。
「撃ってこい…最初に私を倒した時のものを超える、お前の最高の一撃を」
「…良いんですか? 今度こそ、どうなるか分かりませんよ?」
少年の目が、更に鋭さを増す。
「我が名、ヴォルケンリッターが将、シグナム。お前の名は?」
「…ユウキ。両親が、僕に残してくれたただ一つのものが、僕の名前」
「そうか…ユウキ。お前の騎士としての一撃、我が全力を以って応えよう」
鞘を取り出し、剣に添えるシグナム。レヴァンティンが…弓へとその姿を変えた。