「…本気ですか? その構えじゃ、回避も防御もできない。死にますよ…確実に」
「案ずるな。我が思いを籠めし矢、必ずやお前を貫く」
互いの武器を構え、魔力を圧縮していく二人。
迂闊に飛び込めば、それだけで身を切られてしまうような、極度の緊張感。
二人が動いていないにも関わらず、その場にいた局員たちは、身を固めた。
「シグナムさん…良かったら、貴方の『強さ』の理由、教えてもらえますか?」
おもむろに、少年が口を開く。
「…守るべき者たちがいる。今までの私には、それが全てだった。
だが今の私にはもう一つ、その者たちと『一緒にいたい』という思いがある。
今ならば分かる。その二つが重なってこそ、真の強さが生まれるのだと」
誇り高き騎士は、微笑を携えて答えた。
「お前はどうなのだ? ユウキ」
「…身寄りのない僕を育ててくれたのが、先生なんですよ。魔法を教えてくれたのも。
でも、僕には全然才能がなくて…飛行と念話以外で唯一習得できたのが、
魔力圧縮とフラッシュムーブの魔法だけ。それでも、先生は僕を見限らなかった。
長所を伸ばし、徹底的に鍛えればいい…そう言ってくれた」
一方の少年は、厳しい表情でシグナムに対峙する。
「だから、僕は負けられない。この『技』は…僕そのもの、僕の全てだ。
そして、そんな僕を育ててくれた先生の為にも…ここで、貴方を斬る!」
両者のチャージは、既に終わっている。あとは、どちらかが仕掛けるのみ。
「…僕と貴方のどちらが勝ち…どちらが死ぬのか。…行きます!!」