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[463]jewel :【Against justice】 2006/02/21(火) 17:36:50 ID:7vAfio5u

【Against justice】 【U】

「………遅い」
 空のペットボトルを右手でもてあそびながら、クロノが呟いた。
 同時に、ミーティングを『入浴後』としてしまった自分の浅はかさにも呆れる。
 彼が通信室に入って既に30分。エイミィの入浴時間は、とうに1時間を越えている。
『まあ、エイミィさんのお風呂は相当長いからね。しょうがないよ』
 モニター画面から届く、ユーノの声。彼も、かれこれ10分以上待たされている。
「仕方ない、僕らだけで先に始めよう。君も相当忙しいだろうし、待たせるのも悪い」
『OK、それじゃあ』
 画面の向こう側で、ユーノがボタンを操作する。

 ―映し出されたのは、あの長髪の魔導師。

 ようやく判明したその名は、ディノ・ストライン。特Aクラスの捜査対象となった彼は、
既に『DS』という管理局統一の通称でそう呼ばれていた。
「さっき、本局の情報部から連絡があったよ。ミッドチルダの出身で、両親以外の
 家族はなし。過去の犯罪歴もない。それ以外には、とりたてて特徴はなかったそうだ」
『シグナムさんが捕まえた剣士から、何か新しい情報は?』
「そちらもゼロだ。あの少年には、名前以外の素性を全く話していなかったらしい。
 『知れば、君に迷惑がかかる』と言っていたようだ。…本当にそう考えていたか、
 はぐらかしていただけなのかは、何ともいえないが」

『…僕は、本当にそう思ってたんだと思うな…なんとなく、だけど』
「…同感だ。あれだけの力を持っているのに、余りに回りくどいやり方ばかりだ。
 何かしらの目的と、強い『意志』があるに違いない」
『前に3人で戦ったとき、あの人に言われたんだ。まったく偽善だ、世界を守ろうとでも?
 って…なんか、妙にそれが頭に残っててさ』
「…難しいな。自分達こそが善だ、なんて言うつもりは毛頭ないけど、
 少なくとも、貫くべき『意志』は、僕らにもあると思う。たとえ…偽善でも」
『クロノ…』
 真剣な顔で語るクロノに、ユーノは口を噤んだ。慌てて、クロノは表情を緩める。
「すまない、気にしないでくれ。…それより、君の方では何か掴めたか?」
『時間はかかったけど、無限書庫になかなか興味深い記録が残ってたよ。
 本局のデータベースに、何も残ってなかったのもうなづける』
 ピ、とユーノが送ったデータを見て、クロノが驚く。

「これは…!」
『そう。15年近く前、2週間っていうごく短期間ではあるけど…あの魔導師、
 時空管理局の外部協力者だったんだ。リーゼさん達みたいな、戦技教官としてね』


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