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[90]jewel :【Against justice】 2006/02/25(土) 04:46:09 ID:laJVdw4g

【Against justice】 【X】

     ―翌日、艦船アースラ―

「…」
「…」
 ブリッジに沈黙が流れる中、各々が淡々と仕事をこなしている。
(…ね、ねぇ、フェイトちゃん…これって…)
(…わ、わたしにも、よくわからないんだけど、朝からずっと、こんな感じで…
 ユーノ、何か知ってる?)
(原因はなんとなく察しがつくけど…現場を見ていない以上、なんとも…)
 殺伐とした空気が漂う中で、いつものメンバーは念話でかろうじて意思疎通。
(よぉし、ここは一発アタシが解決したげるとするか!)
(だぁめだよアルフ! 今はそっとしておかないと!)
 意気揚々と二人に近づこうとするアルフを、ご主人様が必死に制する。

 当の本人達はといえば。
「エイミィ。報告書No.SSC992G0778についてなんだが。本局の情報部に資料閲覧の
 申請をしてもらえるか」
 背中を向けたまま、クロノがエイミィに声をかけるものの。
「…あいにくですけど、自分の仕事だけで手一杯でして。すいません」
 …同じく背中を向けたまま、いつもと全く異なる口調で応じるエイミィ。
「…そうか。もっと優秀だと思っていたが、随分と腕が落ちたみたいだな」
「ええ、おかげさまで。クロノ執務官こそ、『その程度のお仕事』、たまには
 ご自分でなさったらどーですか?」

(…こ、怖いよ〜、フェイトちゃ〜ん…)
(とてもじゃないけど、入り込める雰囲気じゃないよ…)
(二人共、僕たちより年上だからね…僕らが何か言ったら、余計こじれちゃうかも…)
(そ、そっか…リンディさ〜ん、どーしましょう?)
 すがるような思いで、艦長席を見上げる魔導師達。
 視線の先には、困った表情でコーヒーを口にするリンディの姿。
(う〜ん、この二人、時々こうやってケンカするのよねぇ。大抵はウチのクロノが
 ふっかけちゃうのよ。困ったものだわ)
 ふぅ…と溜め息をつくその表情は、母親としてのそれだった。
(しかも、今回は随分と深刻みたいだわね… 何もこんなときにやらなくても…)
(いいんですか? 放っておいて…)
 苦笑いのリンディに、なのはが尋ねる。
(とりあえず、今日のところは様子をみましょう。夜までこのままだったら、
 私の方から二人に話をしてみるわ。ゴメンナサイねみんな。気を使わせちゃって)
 謝罪するリンディ。3人はいえ、と首を振った。

(でも、こんな時に限って、事件っておこるものなのよね…)
 一人そんなことを思いつつ、今度は艦長としての表情で、リンディは溜め息をついた。


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