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[212]jewel :【Against justice】 2006/04/22(土) 07:44:45 ID:Cb7Vb5Qm

【Against justice】 【]X】

 二人分の足音が、廊下に響く。並んで歩く二人の背丈は…まだ、ほとんど同じ。
「作戦の概要だけでも、教えてくれないか?」
 クロノが先に口を開いた。結局あれから2時間、彼はエイミィが作業する様子を
じっと待っているだけだった。
「そーだね。まず、相手の通信妨害のジャミングを解除できるとこまで近づいたら、
 解除と同時にこのウイルスを送り込む。それが第一段階」
 ポケットから小型のディスクを取り出しながら、エイミィが言う。
「で、相手がその対応と駆除に追われてる間に、私がアースラと向こうのシステムを直結。
 メインシステムのプログラムを直接上書きして、コントロールを奪う、と。
 まぁ、かいつまんで言うとこんな感じ」
「メインに直接? 防壁に気付かれずに、そんな事が可能なのか?」
「さっき、情報部の知り合いに頼み込んで、艦船の裏コードこっそり教えてもらったの。
 多分、これでいけると思う」
「マジか!? そんな機密情報、懲戒免職どころじゃないぞ」
「なーに言ってんのさ? 失敗しちゃったら、それどころじゃないでしょーが」
 驚くクロノに、エイミィはあっさり答える。『女は強し』なんて言葉が、クロノの頭に浮かんだ。
「気になってたんだが、『アルカンシェル』を撃ってくる可能性に対しては?」
「うーん、それは多分大丈夫。今回の場合、ある意味でそれがお互いの第一目標だし。
 迂闊にチャージ開始してくれるような相手だったら、逆に楽なんだけどねぇ」
「…そうか! 強制的にお互いの引き金を奪い合う状況に持ち込むことで、砲撃を封じる
 のか。考えたな」
「でしょ? …まぁ、そう簡単にはいかないだろうけどね。向こうの腕は超一流だし、多分
 私のクラッキングにも気付くと思うから。それに、システムを直結させるってことは、
 逆に乗っ取られる危険性もあるわけだし」
「…君がシステムを掌握するのが先か、相手がウイルスを駆除して、対応してくるのが
 先か…それが勝負どころか」
「そういうこと。…じゃ、行くよ。クロノ君」
 穏やかな、そして決意に満ちた声。ああ、と答え、クロノはブリッジの扉を開いた。


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