「レーダーに反応。別航路から、巡航L級の艦船が接近中よ。五分後に合流するわ」
女性の声に、閉じ込めた局員達をモニターで見張っていた魔導師が振り向く。
「同型艦か。識別番号は?」
「8番艦、『アースラ』よ」
「アースラ…彼らが来たか!」
女性に歩み寄る魔導師。彼の口元に浮かぶ笑みに、女性が呆れ顔で尋ねた。
「何、その顔? もしかしてアレ? 『強敵』って書いて『とも』ってヤツ」
「まぁ、そんなところだよ。向こうはこれっぽっちも思ってくれちゃいないだろうがね」
言いつつ、魔導師はモニター画面を見つめた。
「さあ…見せてみろ、クロノ・ハラオウン。偽りの『正義』を冠するその忌まわしき引き金、
君に引けるか?」
* * * * *
「クロノ君!」「エイミィ!」
ブリッジの扉を開くと…いつもの笑顔が、二人を出迎えた。
「みんな…どうして…」
呆気に取られる二人に、リンディが微笑みかける。
「降りてって言ったんだけどね…どうしても、一緒に戦いたいそうよ。ま、そういう私も、
なのはさん達と同じなんだけどね」
「みんなで決めたの。私たちじゃ力になれないかもしれないけど…せめて、一緒にって」
「艦長…みんな…」
「それに、艦のコントロールを取り戻したあと、向こうに乗り込む戦力が必要でしょ?
クロノが一人で行ったって、あの魔導師相手じゃ返り討ちだろうし」
「…言ってくれるじゃないか、フェレットもどき」
ユーノの笑顔に、クロノも同じ表情を返す。
「てなワケでエイミィ、アタシらがついてるから、安心してやっちゃえ!」
アルフの底抜けに明るい声で、全員の視線がエイミィに集まる。
「……おうよ!」
対峙すべきは、運命。多くの期待と、『信頼』を胸に…彼女が、席に座った。