―日曜AM10:02、海鳴テーマパーク―
「なのは!」
近づいてくる少女に、軽く手を挙げて挨拶するユーノ。
「お、おはよ、ユーノ君…」
一方、なのははうつむき気味に応じる。
「早いね。待ち合わせ、10時半だったのに」
「あの、遅れちゃいけないと思って…」
「そっか、ありがと。あ、その服って見たことないかも」
「こ、これは昨日、フェイトちゃんとはやてちゃんに…」
強引にショッピングに連れていかれて、それで…と言うつもりが、言葉が出てこない。
「似合ってるよ、うん。可愛い」
「……! ///」
なのはの頬が、桜色に染まった。
「お〜♪ ユーノ君、最高の先制攻撃ぃ!」
「よかったですねぇ、なのはちゃん♪」
「当たり前やシャマル。ウチらがフルコーディネートしたんやから☆」
「…というか…いいのかな、こんな覗き見とかしちゃったりして」
「な〜に言ってんのさフェイト! アタシらがちゃーんと見届けてあげなきゃ!」
「…主、なぜ私まで一緒に…」
「はいはい、ザフィーラも静かに。なんかあった時、男のヒトがおったほうが
何かと安心やろ?」
―いつもの(?)メンバーが、遠くから2人を見つめていた。
6人の腕には、魔力を極度に落とすリングがつけられている。
「これ、ホントに大丈夫なのかい?」
「当ったり前! 時空管理局の『てくのろじぃ』をもってすれば、朝飯前よぉ♪」
「…ほんとは、この世界の魔力バランスに影響をもたらさない為のアイテムなんだよね…」
若干呆れ顔のフェイト。
「しょーがないでしょフェイトちゃん。あの二人、特にユーノ君に広域探査されたら、
どんなに魔力抑えてても、確実にバレちゃうんだから」
一方、エイミィには反省の色は全くナシ。
「それに…クロノにも、あんなことして…」
「まぁ…それはあれや、後でみんなで叱られよ♪」
はやてがニコニコと笑って言った。
―同時刻、艦船『アースラ』トレーニングルーム―
「…まっっったく、どーゆーつもりなんだ彼女達は…」
言いつつ、クロノは深々と溜め息をついた。彼の周囲には、光が幾重にも重なっている。
…ザフィーラ・アルフ・シャマルの結界に、フェイト・はやてのバインドだった。
「君も君だぞ、シグナム…」
「すみません、執務官。ですが私にとって、主の命令は絶対ですので」
チャキ、という乾いた剣の音とともに、傍らに立つシグナムが答える。
『逃げ出そうとしたらヨロシクな、シグナム♪』
「はぁ…」
はやての言葉を思い返し、再び溜め息をつくクロノ。
「時空管理局って…ダメかもしんない…」
一人司令室に残り、モニターを眺めていたヴィータが、呆れ顔で呟いた。