―海鳴テーマパーク、AM10:48―
「…す、凄かったね…」
「だ、大丈夫ユーノ君?」
軽い眩暈をおぼえるユーノに、なのはが微笑みかける。
「『ジェットコースター』だっけ? 外から見てるときはそんなに速くないと思ったのに、
いざ乗ってみると…あはは…」
「ユーノ君、ジェットコースター初めてなんだ?」
「うん。僕のいた世界には、こういうのはなかったからね」
「でも、普段魔法で空飛んでるのに…」
「あれは、スピードも方向も自分の意思だからね。これはなんていうか…暴走って感じ」
着ぐるみのキャラクター達の間を通りながら、二人は言葉を交わす。
(…だんだん、なのはの緊張が解けてきたかな?)
(そーみたいやね。でも、まだ油断はでけへん)
(主…何故我々が、このような格好を…?)
(シャラーップザフィーラ! せっかくリーゼ達から借りてきた変装用のデバイス、
ここで使わずしていつ使う!?)
(エイミィの言うとおりよザフィーラ。オオカミの着ぐるみ、似合ってるじゃない♪
とってもカワイイわよ。ねぇ、アルフ?)
(フン! どーだかね!?)
(…そして、何故お前はそんなに怒っているのだ)
(うっさい! 知るか!)
着ぐるみを着たまま、そっぽを向くもう一匹のファンシーなオオカミ。
(あちゃ〜…逆にこっちは険悪になってるし)
(せっかくアルフにも新しい服用意したのに、ザフィーラさん完全スルーだもんね…)
(ごめん…ウチの教育がなっとらんかった…後でフォローしよ)
(そうですね。今は、あの二人を追いかけないと)
グッズショップの脇でデバイスを解除すると、一同は巧みに人ごみに紛れ込む。