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[183]jewel :【Symmetry?】 2006/02/04(土) 14:13:46 ID:12leq8+R

【Symmetry?】 【Z】

 一方、偵察部隊から離れること約100メートル。
「…ありえない」
 オープンカフェの一角で頬を膨らませながら、ジュースを口にするアルフがいた。
「なーんでアタシが、あの無口オオカミと一緒に置いてかれなきゃなんないのサ!」
 ドン!と荒っぽくコップをテーブルに置く。
「…仕方あるまい。我らの主が命じられたのだ。それに従うのは、我らの務め」
「…アンタ、いるならいるって言いなさいよ」
「たった今戻ったところだ。先刻から、何をそんなに腹を立てている?」
「別にぃ。どーせアンタに言ったところでムダだし」
「そうか」
 特に取り乱すこともなく、アルフの向かいの席に座るザフィーラ。
 そんな彼の両手には…フライドチキン。
「あれ、アンタそれ…」
「ん? 先程、主に一つ買っていただいたものが、意外に旨かったのでな。
 新しく買ってきた。良かったら、食べるといい」
「あ、ありがと…」
 アルフは一つを受け取り、小さくかじる。
「それにしても、ここにいる人間たちは妙だな。我らのような耳や尻尾を、
 多くのものが身につけている。しかも一目見て偽物とわかるものをだ。理解できん」
「まぁ、いいんじゃない? おかげでアタシ達も、隠す必要なく堂々としてられるし」
 周囲を見回すザフィーラに、アルフがもぐもぐしながら答える。

「しかし、何か特別な意図でもあるのか? お前も、普段とは違う服を着ているようだし」
 え? と口に向かう手を止めるアルフ。
「アンタ、気付いてたの!?」
「当たり前だろう。よく散歩に付き合ってもらっているからな」
「じゃ、じゃあなんか言いなさいよ!」
「…似たようなことを、先程主もおっしゃっていたが…何を言えばいいのだ?」
 ザフィーラが真顔で答える。
「そ、それは…その、最初にユーノがなのはに言ったみたいに、『可愛い』とか、
 『似合ってる』とか…」
「何だ、そんなことでよかったのか?」
「『そんなコト』ってアンタねぇ…!」
(…このヤロウ、一発ぶん殴ったろーか?)
 アルフが、思わず魔力制御のリングを外そうとした瞬間。
「―わざわざ、分かりきっていることを口にするまでもないと思ったのでな」
 ―え? ザフィーラの呟きに、再度動きを止める。
「それって、つまり… ///」
「ああ。『可愛いらしい』という表現はあまり相応しくないが、よく似合っている」

(―アルフには、もうちょっと、大人っぽい服が似合うと思うよ)

 昨日のフェイトの言葉が頭をよぎった。
(なんだ…コイツ…ちゃんと分かってんじゃん…)
 目の前のオオカミオトコは、相変わらず真面目な顔でフライドチキンを食べている。
「どうした? 食べないのか?」
「あ、うん… ///」
 同じようにそれを口にするアルフだったが、既に嬉しさで味覚が吹っ飛んでいた。


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