なのはの心臓の鼓動も、ユーノと同じように高鳴っていた。
―但し、全く別の理由で。
おかしい。今日の自分は、なんかいつもと違う。
昨日、フェイトちゃんたちに『デート』と言われたときから。
ユーノ君の笑顔が。優しい言葉が…
いつもと、同じはずなのに。どうして、胸にひびくんだろう?
「よかった…なのは、もう少しで出口だって…ってうわぁ!!」
驚きながらも、常に自分の半歩先を歩いてくれる男の子の腕に、そっと抱きつく。
(…ユーノ君…)
ここが「お化け屋敷」の中であることすら、なのはには曖昧な現実だった。
「あ! 出てきた!」
アルフの声と同時に、身を隠す一同。瞬時の動作は、流石のものである。
(お〜やっぱり腕組んどる! 思った通りの展開や♪)
(ホ、ホントだ…)
二人の様子に、頬を染めるはやてとフェイト。
『あー怖かった… 機械だってわかってるんだけどなぁ。なのは、よく我慢できたね』
『うん…』
『ちょっと休もっか。お腹も空いてきたし』
『そ、そだね…///』
(うーん、なのはちゃんもなかなかやりますねえ♪)
(…イケル! これは落ちるぞ! ユーノ君、もう一押しだぁああ!!)
(…何がだ?)
(はいはい、アンタは黙ってな)
何とか会話に加わろうとするザフィーラを、アルフが一蹴。
そんな様子を、彼らの主たちは微笑みながら見守っている。
(こっちも、うまくいったみたいだね) (そーやね☆)
「あーマズイ! 二人共、またお店の中に入っちゃった!」
「あ、でも、窓際の席に座るみたいですよ? あそこからなら見えます」
エイミィとシャマルは、完全に意気投合してしまっている。
(問題は、この二人をどーするかだね…)
(シャマルはウチがなんとかするとして…エイミィは、どーしよーもないかもしれん…)
(た、多分、5人が全力で引き止めれば…何とかなるかも…)
下手をしたら…そう、『告白』の場面にまで乱入しかねない執務官補佐をどう引き止めるか、
二人の魔導師は頭を悩ませていた。