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[380]jewel :『Turn over』 2006/01/19(木) 15:19:23 ID:Ed0E8MPd

Turn over 【U】

「すまない。…何というか、今日ほど君の存在が嬉しく思えたことはない…」
「クロノも色々と大変だねぇ…」
 笑いながら、ユーノはクロノの隣に座った。女性陣は、早速トークに花を咲かせている。

(…ところで、頼まれていた調べ物だけど)
 時折なのは達の会話に加わりながら、ユーノが念話で話し始めた。
(やっぱり、あの4つの遺跡に、共通点は見受けられないと思う)
(そうか… 君の見解は?)
(こう言ってはなんだけど、それ程歴史的価値が高いというワケでもないんだ。
脈絡がないというか、見境がないって感じ)
(無差別破壊、ってことか…?)
(分からない。でも、遺跡そのものがターゲットなら、それこそ直接狙うべきだ)
(結局、そこに行き着くんだな…)
 クロノが小さく溜息をつく。

 この一ヶ月、ミッドチルダ辺境の遺跡が相次いで損傷する『事故』が起こっていた。
 原因は、研究施設の火災が1件、近隣で発生した小規模次元震によるものが3件。
(上層部にも、かけあってみたんだろ?)
(ああ…でも、調査隊の出した結論は『偶然の事故』が重なっただけ、というものだった。
 確かに、あの程度の次元震なら自然界でも起こりうる。
人手不足が深刻だからね。そう簡単に、大規模に動くことはできない)
(そんな…! だって、魔力反応が出たものもあったんでしょ?)
(ああ。だが小規模とはいえ、次元震を発生させるとなると、とてつもない魔力が必要だ。
それだけ能力のある魔導師が、こんな回りくどいやり方をするのは、確かに解せない)
(それで、僕に調査を頼んだのか…)
(君は遺跡の専門家だし、調査の腕は一流だからね。何か相手の動機がつかめればと
思ったんだが…)
(つまり、クロノは『事故じゃない』って思ってるんだね)
(当然だ。こんなに立て続けに『偶然』が重なるハズない)
(どうするの?)
(…アースラのチームで動く。幸い、任意の地域の哨戒任務が出た。期間は2週間。
この間に、犯人を捕らえる)
(2週間か…短いね)
(実際に動きだすのは3日後。その前に、僕は出来る限り傷を癒す。
…頼む、君の力を貸してくれ)
 真剣な目で、クロノはユーノを見つめた。ユーノも、決意に満ちた笑顔を返す。
(もちろんだよ。断る理由なんてないでしょ?)


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