―同じく、ポイントA―
「わぁ〜! きれいな星空だよ、ユーノ君!」
少し遅めの夕食を済ませ、テントの外に出た二人を、満天の星空が迎えた。
「わたしの世界だと、こんなにきれいな星空って、なかなか見れないの」
そうなんだ、とユーノが微笑む。
「なんかこうしてると、任務中だってコト忘れちゃうね」
「そうかも」
くす、と笑うユーノだったが、なのはは慌てた様子で付け加えた。
「あ、ごめんね。遺跡を壊してる人を捕まえようとしてるのに… クロノ君って遺跡調査
が好きだから、今回の事件、一番気にしてるよね」
「ああ、こっちこそごめん。なんか、余計な気をつかわせちゃったね」
なぜか微妙に遠慮しあう二人。草の上に腰掛けたユーノの隣に、なのはが座った。
「ユーノ君、今の仕事楽しい?」
いつもの明るい表情で、なのはが話し始める。
「そうだね… 大変なことも多いし、まだまだ勉強しなくちゃいけないけど、自分が
ずっとやりたかったことだから。すごく、充実してると思う」
「そっかぁ…凄いなぁ。ユーノ君もクロノ君もフェイトちゃんも、みんな自分の道を
はっきり決めて、がんばってる」
「なのはだってそうじゃない。管理局の仕事、凄くがんばってるって、フェイトとクロノ
がいつも言ってるよ」
「ホント!?」
「うん。クロノには、内緒にしておいてくれって言われてるけど」
「あはは…相変わらず、厳しい先生だなぁ」
笑いあうなのはとユーノ。
「でも、ユーノ君が本局勤めになってよかった。ミッドチルダのほうに帰っちゃったら、
わたしの世界からはなかなか会いに行けないもん」
「………僕も、なのはと会えるのは、うれしい」
「そっか。よかった♪」
…ユーノの精一杯の告白を、なのはが満面の笑みでスルー。
「あ、あははは、…はぁ」
微妙に肩を落とすユーノ。高鳴る心臓の鼓動も、一瞬ですっとんだ。
「そういえば、前にフェイトにもらったリボン、ずっと使ってるね」
「うん。わたしにとって、とっても大切なものだから」
「そっか。僕も、何かなのはに渡せるといいんだけどな。欲しいものとか、ある?」
「そんな、別にいいのに…あ、だってほら、わたしにレイジングハートをくれたのって、
ユーノ君じゃない! ユーノ君はもう、わたしに大切なものをプレゼントしてくれてる」
「そ、そう言ってもらえると、嬉しいかな」
「あ、でもそーすると、わたしがユーノ君に何かプレゼントあげなくちゃいけないなぁ」
「僕は別に気にしないよ」
「ダメ! ユーノ君、優しすぎるのは良くないよ!」
口元に指先をあて、なのははうーん…と考える。
「…そうだ! リボンとかは!?」
「は!?」
「ほら、フェイトちゃんにもあげたし…それにユーノ君、髪長くしても似合うと
思うんだけどなぁ」
「そ…そうかな…?」
微妙に苦笑いのユーノ。隣では、なのはがいつもの笑顔で笑っている。
穏やかな時間が、そこにあった。