「うぅりゃあああ!!」
魔力を圧縮させたアルフの拳が、傀儡兵のバリアを軽々と貫く!
「うーん、絶好調♪」
「アルフ、後ろ!」 ガッツポーズを取るアルフの背後で、大型の兵士が武器を掲げる。
ドォン!
「…背中が甘い。油断するな」
ザフィーラの蹴りで、傀儡兵は粉々に砕け散った。
「あ…ありがと…///」
「礼など要らん。それよりも、さっさと片付けるぞ」
「…! 分かってるわよ! やっぱアンタムカつく!」
再び敵にアタックしていくアルフの後方で、ザフィーラが的確に敵戦力を削いでいく。
(ここは、二人に任せておいて大丈夫、かな)
フェイトは小さく微笑むと、傀儡兵の攻撃が届かない位置まで上昇した。
「バルディッシュ、広域探査を!」『Yes, Sir.』
(10……20……30……まだ…?)
潜んでいるはずのマスターを探すべく、徐々に探索範囲を広げていく。
しかし、その魔力反応は感じ取れない。
「…こちらBポイント。マスターの反応、ありません!」
「了解した。フェイト、そのまま敵の鎮圧を頼む」
『はい!』
『クロノ君! 私たちも行く!』 なのはからの心配そうな声が届く。
「ダメだ。君たちの場所からでは、別地点への転送に最低15分はかかる。敵の意図が
読めない以上、迂闊に移動は出来ない」
『でも!』
「心配するな。両地点とも、かなりこちらが押してる。このままいけば、鎮圧できる」
『分かった…気をつけてって、みんなに伝えてね!』
「勿論だ」
(そう、『このままいけば』、だが…)
『違和感』という虚像の前に、クロノの中で徐々に不安が増していく。
(何故だ…? 今までは、次元震を発生させる短時間の犯行だったのに…
何故、今頃になってこんな大っぴらな方法を取る!? やはり、兵士達は囮で、
別の遺跡が目標なのか…?)
「クロノ君…」
「探索範囲広げて! それから、転送ポートの準備を!」
「クロノ執務官! 焦らないで!」 リンディの声がブリッジに響く。
「大丈夫です!」
(落ち着け。もう一度考えるんだ。相手の目標…目的…目的?
そうだ、もし、遺跡の破壊そのものが『目的』ではなく、『手段』だとしたら…?
僕らはそれを止めなきゃいけない。その為に僕らがいる。その為に、僕らはここに…)
そこまで考えたところで、クロノは一つの推論に辿り着き…背筋を凍らせた。
「しまった…!!」
モニター画面に拳を打ち付けるクロノの隣で、エイミィが異変に気付く。
「高レベル転位反応確認! 座標は…あれ? これって…嘘!?」
やられた…! そう思うクロノの後方に、魔方陣が現れていた。