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[81]jewel :『Turn over』 2006/01/28(土) 19:31:31 ID:g8Pcc7b3

Turn over 【]X】

「ダメだ…やっぱり、連絡が通じない」
「こっちも。別チャンネルに変えてもダメみたい」
 突如途切れたアースラとの通信に、ユーノとなのはは不安を募らせていた。
「どうしよう、ユーノ君…」
「アースラの方でトラブルがあったのかもしれない。急いで戻ろう!
 フェイトやシグナム達が戦ってる以上、自由に動けるのは僕らしかいない」
「うん、レイジングハート、お願い!」
『Ok,master. Barrier Jacket』
 レイジングハートを起動させたなのはが、瞬時に魔導服を纏った。
「ユーノ君!」
「うん。次元転送…行くよ!!」
 緑色の魔方陣に包まれ、二人の姿は、光の中へ。



「…やれやれ。一時はどうなるかと思ったけど、とりあえずは成功かな。
 驚いてくれたかい? 管理局の諸君」
 司令室に現れた魔導師が、笑いながら両手を広げる。
「…ふざけるな。戦艦に直接乗り込んでくる度胸は認めるが、無謀だな」
「君が指揮官か? かなり優秀なようだが…状況が分からない訳じゃあるまい」
 余裕たっぷりに、魔導師は答えた。
 クロノはエイミィをかばう様に立ちふさがると、杖を起動させた。
「おいおい、冗談だろ? ブリッジで戦闘するつもりか? ここは次元航路内、
 ドンパチやらかして船が破損したら、二度と帰れなくなるぞ。
 第一、君の両腕…巧く隠してるが、その呪式、回復魔法だろ? ムリはするもんじゃない」
「…!!」
 狼狽を隠せないクロノ。瞬時に見抜かれたという事実が、自分と相手との
レベルの違いを如実に表していた。リンディまでもが、口を噤む。
「しかし、どんなマジックだ? 各地点の戦闘を見させてもらったが、とても一個小隊の
 レベルとは思えない。念のために傀儡兵を多めに用意して、ポイントを分散させたのは
 正解だったみたいだな」
「…一連の遺跡破壊の犯人は、お前か」
「その通り。こういっては失礼だが、あまり価値のない遺跡を選んだつもりだ。
 意外と難しいんだぞ? 直撃させずに、遺跡だけを破壊するよう、威力を調整するのは。
 しかも犠牲者はおろか、ケガ人すら出さないようにしたんだ」
「全ては僕らを…いや、アースラをおびき寄せるためか」
「アースラ…8番艦か。成る程、君がクロノ・ハラオウンだね。噂どおりの優秀ぶりだ」
「…同じような出来事が2度続けば『偶然』、3度なら『奇跡』…4度目にもなれば、
 誰だって怪しく思うもんさ」
「だが、実際に動いたのは君たちだけだ。管理局の人手不足、利用させてもらったよ」
 司令室内を見渡しながら魔導師は答えた。束ねた長髪が、静かに揺れる。
「目的は何だ」
 杖を構えつつ、クロノが問い詰めた。
「そうだな…とりあえず、別の航路を通って、管理局本局に向かってもらおうか。
 この船にも搭載されてるんだろう? 『アルカンシェル』は」


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