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[139]jewel :【Turn over】 2006/02/01(水) 14:39:01 ID:3N99rhcV

Turn over 【ⅩⅦ】

「まったく…まぁだ戦力を隠してたとはね。つくづく、この船の連中には驚かされる」
 転送先のトレーニングルームで、魔導師は服のほこりを払いながら笑った。
「なまじ防御力が高くなると、ついバリアで全てを受けようとしてしまう。悪い癖だよ。
 よけるってことを忘れちゃうんだ。君たちも、覚えておいたほうがいい」
 なのはとユーノを前に、魔導師はまだ余裕たっぷりに言った。

「エクセリオンバスターでも、ほとんどダメージ無し…?」
「大丈夫、とりあえずの目的は達したよ」
 トレーニングルーム内部に張られた二重の結界を見て、ユーノが微笑む。
 その隣に、クロノが駆けつけた。結界の外には、リンディの姿も。
「二人共、よく来てくれた」「うん!」
 頷きあう三人。
「成る程…あの一瞬では、他の世界への強制転送はムリでも、艦内の移動くらいなら
 できる。協奏結界を張れば、船を傷つけることなく戦闘も可能。
 しかも、これだけの結界を一人で維持できるとは…艦長さんもやるじゃない。
 美人なだけじゃなく、魔導師としての腕もたいしたもんだ」
「お世辞は結構。今すぐ武装を解いて、降参しなさい」
「まさか。自由に戦えるようになったのは、こっちも同じなんだ。彼らを倒せば、
 結界を破るのはたやすい。状況はまだこっちに有利さ。君もそう思うだろ? クロノ君。
 見たところ、優秀な部下を抱えてる半面、苦労も多いんじゃないかい?」
「…あいにくだけど、彼女たちの命令違反は、いい方向にしか働いたことがないんだ。
 むしろ歓迎してるくらいさ」
「あはは、成る程! そういう『信頼』の形もあるか。いい指揮官だ」
 場の緊張感におよそ相応しくない、魔導師の爽やかな笑い声。
「いや、すまない。しゃべりすぎるのも悪い癖なんだ。分かってはいるんだがね。
 …さて、そろそろ始めようか。これ以上のんびり話してたら、
 君たちの仲間が戻ってきてしまうからね」
 魔導師の足元に、黄色の魔法陣が展開。
 相手の強烈な魔力に気圧されそうになりながらも、3人は強く身構えた。


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