空虚な日々を空虚で埋め尽くし、当然に足りないからまた埋める。
今、彼女が体験している日々とは、人間らしいと言えばそうだ。
ただ、絶望色が強すぎた。
今朝も御飯が不味そうに見えて、箸も持っていない。
かわりに、朝の風景とは釣り合わぬ、少し太いカッターを持っていた。
「・・・やっぱ、無理だわ」
言って、自殺する考えに点を打つ。
朝の光と澄んだ空気がうざったい。カッターに光を反射させる。
鈍い銀色は偽者で、反射光も黒い。
その姿が、自分に見えた。
これならまだ、嘔吐の方がマシだ。
口に残るすっぱい味。どばどば落下する吐瀉物。
「あ、そっか」
なのはは周囲に響かんと、哄笑。
吐瀉物。いらないもの。すっぱい。汚い。見たくない。除去。
ああ、あいつらを。あいつらを。
殺せば?
席についた彼女はいつもの影に囲まれる。
何か言われ、弄られる。
その中に何かが、混ざる。
「お前ら、顔も何もかもゲボみたいだ。おいおいくたばれよ」
他でもない、なのはの言葉だった。
彼女は壊れていた。
「んだとてめー!!!!!」
誰かが腕を振り下ろす。ポッケに入れていたカッターと取り出そうとする。
が、その拳が不自然な形で止まった。
「え?」
取り出そうとポッケに忍ばせた手を出す。
そこには。
「て、てめえ。離せ!離せよー!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
振り上げられた腕を、長髪の少女が止めていた。
ぺきっと、聞きなれない音が彼女の腕から奏でられる。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
その奇声が火をつける。一人の少女に集る吐瀉物ども。
その汚物にただ一言だけ伝えた。
「表へ出ろ!」
30秒で世界がクリアになる。
戦いを挑んだ女どもは綺麗な少女に一掃される。
あるものは顔面を砕かれ。あるものは足を蛇のおもちゃみたいにされていた。
「あ、ああ・・・」
次は自分の番だろうか。そう思った時。
「貴女まで外に出なくてもよかったのに」
にこりと笑った彼女に意識を持っていかれる。
私は、こんなに美しい人は見たことがない。
長い髪、整った顔立ち、自分と年齢は同じはずなのに色っぽい。
それを、天使だと思った。
「大丈夫?怪我とかしてない?」
「あ、ああ・・・」
近づかれて、焦る。こんなに綺麗な人が、この世にいたんだ。
慌てて視線を逸らすと、倒れていたはずの女が、角材を手に徐にそれを振り上げる。
「後ろ!」
素早く振り返った少女は木の葉のようにフワリと角材を交わし、顔面に飛び膝蹴りを見舞う。
ベキリとまた、変な音がした。
奇声を上げ俯く女の頭を掴み、片手で高々と持ち上げた。
「月村すずか・・・私の名前だけど、知ってるよね?」
その言葉を聞いた女が、顔を蒼白させる。
「命だけは助けてやる。
悪いことは言わない。今日にでも転校するといい」
言って、彼女をフワリと上に投げ、ズシリとダイレクトシュートを見舞う。
それで、気絶したはずなのに、女は地面を這い、彼女、月村すずかから逃げた。
「ありがとう」
振り返った笑顔に、またも、くらくらしてしまった。
その後、彼女達は醜い姿で一生を巡った。
「今日は学校を休みましょう。私の寮でゆっくりしない?」
「あ・・・はい」
すたすたと歩くなのははぼーっとしていた。
嘘みたいな奇跡それが私の前に舞い降りた。
嬉しいと言うより、寧ろ恐かった。突然の幸福は突然無くなる。
その高低差が、なのはには喜びより恐怖を先行させた。
「着いたよ」
あっけなく、寮に着く。そこは。
「私のいる・・・寮」
「え?ってことは、貴女が・・・なのはちゃん?」
「なんで私の名前を?」
「ああ。寮の事なら先生にね。私旅行が趣味でロンドンに遊びに行ってたの」
「私の名前は月村すずか。なのはちゃんと同じクラスだよ。その・・・災難だったね」
ええと顔を俯かせ、答える。
「そんな日々も、寮に入ったらはいおしまい!だから、入る前に言っておく」
すずかは近づいて、なのはのポッケからカッターを取り出した。
「こんな物騒なもの、持ち歩いちゃだめよ」
その光景は一瞬で、なのははただそれを見ていた。
すずかはなのはのそれ以上を聞こうとはしなかった。
寮に入るなり、なのははすずかに抱きついた。
俯いたなのはの顔は良く見えない。ただ、温かい濡れた感触が服越しに伝わる。
「ねぇ、なのはちゃん」
その言葉に答えない。
「ロンドンの旅の話・・・ベッドでゆっくりしてあげたいんだけど、どうかしら?」
驚いて顔を上げたなのはの唇に情熱を帯びた舌が絡む。
ぴちゃりと音を立てる舌は、歯茎を滑り、再び元いた場所へ戻る。
その舌使いについぞなのはのココロは虜であった。
ガチャリと開けられた部屋はすずかのだ。
久方ぶりに帰った部屋を懐かしがらず、二人の目に映ったのはベッドだけ。
二人はお互いに脱がしあい、体を単純に絡めあった。
全身が性感帯。単純にこすれあった肌はそれだけでイキはしないが、ぞの心地よさはどこか異常だった。
「は、ああ、ああああ・・・」
なのはの顔は明らかに感じている顔だった。包まれる暖かさと、単純な快楽。
「なのはちゃん・・・可愛い」
ヘソに舌を這わせる。
「ああ、良い・・・すずかちゃん、ここも・・・」
見て欲しかった。私の女の部分。
股を広げ、秘所をあらわにさせる。
その状況に満足しつつ、幼きりんごに口付けをする。
「あぁ・・・すずかちゃん上手・・・一人でするのと全然違う」
舌を膣内に入れ、ぐにぐにさせ、あまった腕でクリトリス、乳首を刺激する。
「あっ!だめ、だめだめだめ・・・!!!」
大声を出し、少しグッタリする。すずかの顔になのはの汁が多量にかかる。
「なのはちゃんだけずるいよ・・・私も」
横に置いてあった少し長いバイブを自分の秘所に入れて、スイッチを強にする。
「はあああああぁ・・・これをここに入れるとね、私、久しぶりにここに帰って来たんだなって思うわ」
あっさりとすずかの中に進入したバイブは男根より少し太めなものだった。
気持ちよさそうに、目を閉じるすずかをなのははジッと見ていた。
燃え上がる性欲と共に、愛液が溢れてきた。
「な、なのは、ちゃ、んも、これ、入れて欲しい?」
そういって、入りきっていない余分な部分を指差す。
その言葉にただ、なのはは自分の秘所をすずかのバイブにあてがった。
男根よりやや太いそれは、少女にとって、身を裂くほどの激痛を伴うはずだった。
だが、それもあっさりと入ってしまった。
「はあああぁ。す、すずかちゃん」
すずかが上でなのはが下。二人で仲良く半分個。
「なっなのはちゃん・・・!好きっ好きよ!!」
腰を激しく上下に激しく動かす。
「わっ私も。あ、あぁぁぁぁ・・・」
「あっもう駄目っ!イク、いっちゃう!!!」
お互いに強く腰を叩き付けた、これが、最後の波だ。
「いくっぅぅぅぅぅ!!!!」
震える程の快楽の中、互いの唇を奪い合う。
安息の娼婦のように現れた彼女に、なのははただ、快楽を見出した。
つづく