それからの日々は、夢のようだった。いや、夢だったのかも知れない。
例のはしためどもはすずかの警告通り、次の日にはもう居なかった。
すずかがどんな人なのかはなのはも問わなかった。私も、問うて欲しく無い事がいっぱいあった。
それを少しずつ確実に消して、それから、話をしよう。そう思ったからだ。
優しく時は流れる。すずかと他愛の無い話をしたり、すずかと美味しい御飯を食べたり、
すずかと一緒に勉強したり、すずかと一緒に出かけたり。すずかと一緒に・・・
そういう事も色々した。同性同士でいやらしい事をするのに抵抗が無かった。
おかしいのは自覚している。だから、もう救いようが無かった。
けれど、誰かが語る「愛」とは何だろうか?とも、なのはは思った。
少し考えて、蹴っ飛ばした。愛を語るのはまだ早い・・・。
妄想と幻想が絡む現実はある日、異物を迎える。
朝起きたなのははテーブルに並べられた料理に驚く。
色とりどりの西洋の料理は、何処かの城の食卓を連想させる。
「アレ・・・?今日の食事当番は私だったんだけど・・・」
寝ぼけた頭を回転させるように、目をキョロキョロさせる。
と、冷蔵庫の横に見慣れない金髪の少女が立っていた。
外国人であるはずの彼女は、何故か割烹着を着て、なのはにぺこりとお辞儀をする。
「だ、誰?」
「ああ。この子はアリサ」
「わああああああああああああぁ!!!」
何時の間に後ろにいたのか、すずかは首だけをにゅっとなのはの顔に向ける。
「おはよう、なのはちゃん」
「ああ、おはよう、すずかちゃん」
アリサと言う少女が改めて、なのはにお辞儀をする、つられて、なのはも。
「すずかさまの身の回りのお手伝いをします、アリサです。よろしくお願いします」
「え・・・?」
唖然とするなのは。
「アリサは今日からここに住むことになったの。実はこの子、両親の都合で私みたいに学校を休んでたの。
だから、アリサも元々この寮に住んでたんだよ」
「あっ・・・そうなんだ。その・・・よろしくね、アリサちゃん」
「よろしくね」
そう言って笑った顔は何だかキュートだった。
「ああああ。す、すずかさま・・・そこは・・・」
腰を捻らせ、すずかの指から逃げようとする。
それを乱暴に抱き寄せる。
(何故?何、これ…)
アリサの菊座を指で犯す。慣れていた菊座はあっけなくすずかの指を飲み込む。
ここは、もはや、第2の生殖器、生殖器の亜種と言うべきだろう。
「うあっ・・・あ・・・ああああ!!!」
その亜種と同時に本来の生殖器に指を這わせる。
「そらっ!そらっ!ふふ、なんていやらしい。大きいほうをする度に私の事を
思いだすんじゃない?」
少し赤面し、しかし、嬉しそうに。
「はい・・・トイレに行く度に貴女さまの事を思い出して、いつも私のここは濡れています」
言い終わると、アリサは自分でクリトリスを刺激する。さかった女の匂いがその世界の全てだ。
「あん、あっ、ああああんあああーーーーーー!!!!!」
くったりと倒れる。その姿を満足そうに眺めて。
「まだまだこれからよ。次は、バイブ2本同時攻めでイカせてあげる。
安心して、夜は長いわ。私の欲でどろどろに汚してあげる」
「ああ・・・すずかさま、好き」
優しくぎゅっとすずかを抱くアリサ。
「ええ、私も・・・」
(言うな。その言葉を、言うな!言わないで!!!)
それは、彼女にとっての安息だった。それを、こうもあっさり。
「愛してるわ、アリサ」
ワレタ
ワレタワレタコワレタ
「あああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」
悪夢を吐き出すように叫んだ。
気が付けば、そこは自室のベッドだった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・夢?」
それが夢だと気が付くのに、いくらか時間をつかった。
体が熱い。目には涙。異常な発汗。妙な掻痒感。息は山を登るより荒い。
地盤が崩れる。唯一の愛。それは私。いいえ貴女。じゃあ、その枠?
いいえ。何故。必然。答えじゃない。否。
ただのさくそう。お前は錯綜。手探りでいた。ただ。
違う。
「・・・違う!」
その狼狽は異常だった。夢は所詮、夢。分かってる。
だが、理性より先に本能が、それを恐怖した。
あっさり崩れる安息の地。
なのはは壊れていた。
あれから一睡も出来なかった。朝の日差しが目に刺さる。
暗がりが晴れるのが、恐かった。すずかと、特にアリサに会いたくなかった。
会えば、何をするか分からない。あの夢がぐるぐる巡ったら。私は、きっと・・・
不安を内包し、私はただ、玄関の扉を開けた。
つづく