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3. 時々体が痛んだ。 気のせいだと。 アルにも心配を掛けたくないと、気付かないフリをして過ごしていた。 その間に、オレの病はどんどん進行したらしい。 「は・・・。 ウソみたいだよな。体には自信があったのに。 オレが病気になるなんてさ」 心配して見つめるアルに、オレは笑ってみせた。 「姉さん・・・」 「だって。2年前までは男のフリして旅をして・・・ほとんど病気もしなかったんだぜ? ほんと・・・わからないよな・・・」 オレの病気は母さんの命を奪った病気と同じものだ。 だから病気が発症してどうなるのかよく知ってる。 オレも、アルも。 「ねぇ、僕大佐を・・・少将を呼ぶよ」 「ダメだ、アルっ」 オレは首を振って、アルの腕を掴む。 「だって・・・いいの? このまま会えないままで。 姉さんは・・・」 今にも泣き出しそうなアルに、オレは苦笑した。 「なんて顔をしてんだよ。もしかすると、治るかもしんねぇだろ? 大佐も、折角もう少しって所までのぼりつめてるんだ。 オレなんかの事で邪魔はできない。 オレは、もう軍の人間じゃないんだ」 ここで暮らし始めて2年が過ぎていた。 その間に大佐は少将へと昇格した。 少しずつ、大総統になるという夢をかなえようとしている。 自分の足で前にすすんでいる。 「・・・そうだな。オレ、手紙を書くよ。 それならいいだろ」 内容は。 元気にしているって。 それから・・・もう一つ。 これは、きっと『オレ』からは出せない。 そしてオレの手では出せない手紙。 きっと、この手紙を見るときは。 オレはこの世界にいないから。 「・・・アルに頼みがあるんだ・・・」 next→ ←back |