.  5.


二人の自宅に・・・。
いや、もうエドワードという住人を失ったその家に案内され、テーブルについた。
向かいにはアルフォンスが座っているが、彼は何も言おうとはしない。








その手紙が届いたのはいつだったのだろうか。
ついさっきのようで、そして随分と昔の事のような気がする。




あぁ。そうだ。
久しぶりに鋼の…いや、エドワードからの手紙が届いたのは1年程前だった。
相変わらずの癖字に、後見人をしていた頃の事が懐かしくて思わず頬が緩んだのを覚えている。
手紙の内容は、元気にしているということ。
アルフォンスや村の人たちの事などだった。
幸せな様子が目に浮かぶようだった。




事実がどうなのか知らずに。




そして、久しぶりの手紙はアルフォンスからだった。
なぜか胸騒ぎがした。




内容は、1年前の手紙の内容がウソであった事。
私を心配させないようにとウソの手紙を寄越したこと。




そして、本当は。
あの時の人体錬成は成功したのではなく、新たに彼女が子どもを作る機能を失くしてしまっていた事。




全てが書かれていた。




全てを読み終えると、私は仕事を置いて、彼女らの故郷へと向かう汽車に飛び乗った。
いつもなら仕事を抜け出せば怒る副官も、今日は何も言わず見送ってくれた。
あの場にいたとしても、結局仕事には集中できなかっただろう。




手紙の最後にはこう締めくくられていた。




―姉さんから貴方へ託されたものを預かっています。
まだ、貴方が姉さんの事を想っていてくださるのなら、それを受け取ってもらえませんか?―








あぁ、きっと。
それがなくても、あれだけ元気だった君が死んだなんて冗談だと。
この目で確かめなければならないと。
汽車に飛び乗っていただろう。




いつも、君は元気すぎるくらいに元気だった。




墓を見ても、病に伏せてからの君の話を聞いても未だ信じられないんだ。




からかっているんだろう?




ほら、「驚いただろう」って笑って出てきなさい。
笑って許してあげるから。









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