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さて、レグルスに連れ出されてしまったスピカはというと。

「あ、あの、レグルスさん!?ど、どういう・・ことですか!?突然、こんな・・・・」
「いいから・・今は黙っててくれないかな?スピカ。」
「!・・・・・」

このお城に来て以来、スピカがレグルスを怖いと思ったのは初めてのことだった。今のレグルスは何を言っても聞かなさそうだ。その表情は・・・・少し怒っているようにスピカには見えた。
一体自分が何をしてしまったのだろうか?悪いことは何もしてない筈だったのに・・・・・聞いてみたかったが、今のレグルスは怖くて、スピカは話しかけたくても話しかけられなかった。
レグルスは3階まで行き、スピカの部屋の前に来た所でスピカをゆっくりと地に立たせた。とにかく怖くて・・スピカは自分の部屋の前まで来たので、自然と部屋のドアを開けてレグルスを中に入れた。
パタンとドアを閉めたスピカだったが、すぐにレグルスにこう言われた。

「鍵を閉めて、スピカ。今は2人きりにならなければいけないんだよ。」
「!あ・・は、はい・・・・」

今のレグルスは本当に怖かった。スピカはしっかり鍵を閉めた。
2人きりの密室・・・・更にレグルスは真昼間だというのにカーテンを閉め出した。となればやることは1つしかない。そう・・スピカにとって仕事が始まるのだ。
スピカは何となくそれを予測したのだが・・・・怖かった。今のレグルスに抱かれたらどうなってしまうのか・・・・・・

「・・・・フゥ〜・・・悪いね、スピカ・・怖がらせてしまったかな・・・・?」
「!え、えっと・・・・・」
「・・でも、それ位私は怒っているんだよ・・・・色々なものにね・・・・」
「!・・・・・」
「取り分け一番腹が立つ原因は、マクリス様だね・・・・アレは・・何なんだい?スピカ。」
「えっ!?」
「おまえをまるで恋人のように扱って・・・・会えばすぐに抱き締めて、キスをして・・・・私だって・・おまえにそうしたいのに・・・・!」
「えっ・・・・?」
「・・私がおまえを愛していることは、分かっているんだろう?・・おまえはそれを無視して、それどころか・・・・私より後に知り合ったマクリス様のことはすんなり受け入れて、キスをして・・・・・そんなにマクリス様のことを愛しているのかい?・・私の気持ちは?おまえは・・ちゃんと考えてくれているのかな?」
「!レグルス、さん・・・・・・」

最もなことだった。スピカはマクリスのことをちゃんと好きな訳でもないのに、いつもマクリスのすることに否定はしなかったから。
だがそれを言うならなぜレグルスが自分の所にきてくれなかったのか、そちらの方が疑問だった。だからスピカもムッとしながら尋ねた。

「あの・・それならお聞きしますけど・・・・私のことを、そうして「愛している」とか言って下さってる割には・・レグルスさんは初日以来、私の所に来なかったじゃないですか。それが・・本当に愛している人にする態度なんですか?」
「!・・・スピカ・・・・・・」
「・・・レグルスさんの言葉は、偽りじゃないのですか?それでしたら・・毎日でなくても知り合った時から私のことを抱いて下さっているマクリス様の方が・・偽りでも私は愛されていると実感出来ますよ?」

スピカは本気でレグルスに怒っていた。
スピカは自分自身滅多なことがない限り怒ることはないと思っていたのだが・・・・・レグルスの発言はあまりにも自分勝手すぎる。そんな人をスピカは許しておけるほど甘くはなかった。

「・・・・フゥ〜・・これは手厳しいね・・・・・まぁ、確かにおまえの言う通りなんだけど・・・・・ねぇ、スピカ。それじゃあ考えてみてごらん?私とラグリア様とマクリス様・・・この中で一番身分が低いのは誰だろう?」
「え・・っ・・?え・・っと・・・・」

ラグリアはこの大王国を統べている王様だ。マクリスは・・今はこの王国に無期限で遊びに来ているが、プレアデスが言うには次期王様らしい・・ということだったし・・・・レグルスは・・・・元々王子様だったのに、大臣になってしまって・・・・・ということは・・レグルスが一番身分は低いことになる。
レグルスはため息をついてから口を開いた。

「・・一種のいじめでね〜。ラグリア様が今まで私にやたら残業を多くしたのは、私におまえを近付けさせない為だよ。そして・・・・時間に幅広く余裕があるのはマクリス様だろう?・・・・私の介入出来る時間なんてなかったんだよ・・・・・本当に、つらかったよ・・・・1週間以上もおまえを抱くことが出来なくて・・おまえの部屋の前まで行っても、時は遅すぎて・・・・・本当に屈辱だよ、これは・・・・だから、身分なんて嫌いなんだよ・・・・」
「・・・レグルスさん・・・・・」

確かにレグルスの言うとおりだった。ここ最近スピカの相手といえばラグリアかマクリスだったから。まさかそんな事情があったとは露知らず、スピカは勝手に怒鳴り散らしてレグルスを責めてしまったことになる。スピカは謝った。

「あの、その・・・・す、すみません・・・・!!私・・そんなことも知らずに、レグルスさんのこと・・怒って、責めてしまって・・・・」
「・・いや、いいよ。私も、怒っておまえを怖がらせてしまったし・・・・いきなりこの怒りをおまえにぶつけたって、おまえが怒るのは当然だろうしね。フフッ・・・ごめんね、スピカ・・・・本当に私は、最低な男だね・・・・」

とレグルスが言うのでスピカは首を横に振った。

「そんな、そんなことないです!!その・・本当にすみません、レグルスさん!!」
「・・おまえが謝らないで、スピカ。全て・・私の嫉妬なんだよ・・・・・」
「え・・っ・・・?」
「・・・嫉妬で狂いそうになるって言うけど・・・・何となく実感した気分だよ。心が痛むばかりで・・・・どんなにおまえのことを考えても、おまえが私の元にきてくれる訳はないし・・・・正直言うと・・ずっと寂しかったよ・・・・おまえとまともに会うことも出来なくて・・ね。」

と言ってレグルスはスピカを強く抱き締めた。
こうしてレグルスに抱き締められたのも、始めてこの王国に来て肌を重ねた時以来だった。このレグルスの優しさと暖かさが身にしみて、スピカもついレグルスの背中に手を回していた。

「レグルスさん・・・・!」
「・・でもおまえは・・「寂しい」なんて思わなかっただろう?」
「えっ?」
「ラグリア様とマクリス様の相手をして・・・・私を好きな訳でもないみたいだし・・・・・私は・・おまえを口説き落とす気満々でいたのに・・・マクリス様とのあんな熱いキスを見せられてしまっては・・その自信も鈍ってしまいそうだよ。」
「・・・レグルスさん・・・・・え、えっと・・その・・・・」
「お情けで「愛してます。」なんて言わないでね?・・かえって、悲しくなってしまうだけだから。」
「・・・・レグルス、さん・・・・」
「・・ただ今は・・・私の傍にこうしていてくれるなら・・・私はそれでいいよ。」
「・・・レグルスさん・・・・それは、もちろんです・・・・私に出来ることでしたら、何でもします。」
「・・・仕事だから?」
「えっ?」
「・・今のおまえの口調は・・仕事だからって感じがしたよ?あまり何度も言いたくないから・・そう言うのはやめてもらえるかな?スピカ・・・・優しい言葉だけど、私にとってはちっとも嬉しくないんだよ、そんな感情。」
「・・・レグルスさん・・・・」
「・・ただおまえがいてくれればいい・・・それだけでいいんだよ・・・・スピカ・・・・」

そう言ってレグルスは抱き締めながら、スピカの唇に自分の唇を重ねた。唇が一旦離れたが、すぐに今度はディープキスにとって代わった。

「ん・・っ・・・」

2人の舌が絡み合う。とても濃厚なキスで、スピカはとろけてしまいそうだった。
そうだ、レグルスとのキスはこうだった。スピカは彼にキスをされる度に体がとけてしまいそうな、そんな錯覚を覚えるのだ。


  

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