「そうですね・・・あなたの希望額は?」
「そうだな〜・・・・フッ。1億ゴールドか?」
「フフッ、そうですか・・もっと、安く出来ませんか?2000万ゴールドあたりで・・・」
「おいおい〜、それは安すぎるぜレグルス〜。8000万ゴールドではどうだ?」
「フフッ、駄目ですね。私もそこまで金持ちではありませんから。」

とレグルスが軽くあしらった所でアトラスが素っ頓狂な声を上げる。

「おいおまえ!冗談ゆーんじゃねぇぞ!!本当は1億ゴールド位余裕だろうが!!」
「フフッ、とんでもないですよ。私の今の所持金いくらだと思ってるんです?ここに1億ゴールドも持ってこれる余裕はないですよ。」
「ムッ!・・・おまえ相変わらずケチなヤツだな〜。いつも俺にまけさせやがって・・・・・」

とブツブツ呟いているアトラスを横目で見て、レグルスは余裕ある微笑を浮かべている。スピカは思わずそんなレグルスを「スゴい人だ〜。」と思って見つめてしまった。
今までスピカはアトラスとずっと一緒に住んできていたが、このようにアトラスを口で負かしてしまう人を始めて見たし、もちろんスピカはアトラスに抵抗しても結局全く成果は出なかった。なので余計にレグルスのことをスゴいと思ってしまったのだ。

「フフッ、スピカ。おまえは至って平然としているんだね。これはおまえ自身の問題でもあるんだよ?私に買われるのが・・怖くはないのかい?」

とレグルスに言われてしまい、スピカは思わず驚いてしまった。

「えっ?」
「・・もしかしたら、最初から私に買われる気でいたのかな?フフッ、それはそれで光栄なことだけどね・・・おまえは、アトラス様と離れるのが怖くないのかい?見知らぬ私の所に来て・・・何をされるか分からないんだよ?」
「!!あ・・その・・・えっと・・・・」
「おいおい怖がらせんじゃねーぞ〜?レグルス〜。スピカのコトは大事にしてやれよ?」
「フフッ、アトラス様。私らしくない質問ですが・・いいんですか?彼女を手放してしまっても。あなたが最初から最後まで育て上げたのでしょう?本当は、傍に置いておきたいんじゃないですか?」
「フッ、何を言うんだレグルス。俺がそーゆーガラじゃないコト位、おまえなら分かってると思ったんだけどな〜。」
「確かにそうですが・・あなたも相変わらずですね〜。ご自分で最初からきっちり育て上げた女性でも、切り捨て・・ですか。」
「俺はただ職務を全うしているだけだぜ?レグルス。何で俺がスピカにお情けをかけてやらなきゃならんのよ?俺の目的はむしろ、そーゆースピカをおまえのよーな客に売るコトなんだぜ?立派な娼婦として、恥じらいのないように・・な。」
「フフッ、そうですか・・・・それなら分かりました。4000万ゴールドではどうですか?」
「ほぉう、4000万か・・・・いや、ダメだな。7000万ゴールドではどうだ?」
「・・・・・7000万、ですか・・・・」

今まで余裕だったレグルスの表情が急に真剣なものになった。何か考えているようだ。

「そうだ、7000万ゴールドだ!!どうだ?」
「・・・分かりました。6000万で手を打っていただけませんか?」
「ふむ・・・・よし、いいだろう!!交渉成立だ!!」
「フフッ。ありがとうございます、アトラス様。それでは、これは頭金です。」

と言って、レグルスは自分の足元の方から大きい金貨の袋を2つ取り出し、カウンターの上に乗せた。
スピカはこんな大きな金貨の袋を今まで見たことがなかった。恐らく1つの袋に1000万ゴールド入ってるとして・・2000万ゴールドということになるのだろうか?スピカは自分なんかにお金の額が付けられるなんて考えてもいなかったが、ここまで高価ではないと思ってしまい、何だかレグルスに申し訳ない気持ちで一杯になってしまった。

「おぉっ、いつもすまんな〜、レグルス〜。フッ、さぁスピカ。レグルスの元へ行け。おまえはこれから、レグルスの娼婦として生活するんだ。」
「あ・・は、はい。あの、その、アトラス様・・・・私、は・・・・・」

いきなりアトラスにポンと背中を押されてしまい、レグルスの所に行ってしまったスピカだったが・・・・・アトラスと離れなければならないことは分かっていた。だがこんな風に突然となると少し驚いてしまって、何だか体と心が付いていってない感じだった。

「ん?どーした〜?スピカ。そんな間の抜けた顔してんじゃねぇぞ?よし!!俺が最後に慰めの言葉でもかけてやろうか?」
「えっ?」

アラトスがかけていたトンボ眼鏡を外した。そこにある素顔は非常に眉目秀麗なものだった。ワイルド系美男であることはスピカもよく分かっていたが・・・改めてこうして見るとドキドキしてしまう。

「フッ・・どうした?何をそんなに顔を赤くしている?スピカ・・・・」
「ア、アトラス様・・・・・」

アトラスがスピカの所に近付いてきただけで、スピカはもうドキドキしてしまっていた。アトラスに言われた通り、顔がとても赤い。レグルスはそんな2人を見て複雑な微笑みを浮かべている。

「・・スピカ。おまえは・・・俺が人前に出しても恥ずかしくない娼婦としてずっと育ててきた。それは・・・俺がおまえを1人の娼婦として認めた証だ。誇りに思え・・・いいな?」
「!は、はい・・・・」
「フッ、俺との生活から解放されたんだぜ?嬉しいだろう?」
「!!えっと、それは・・・・」
「否定する必要はないぜ、スピカ・・・・・それに、俺の所に来た時点でよく分かっているだろう?別れや出会いとは、突然起こるものだ・・・・だが、それは全て必然だ・・・・だから、俺とおまえが出会い、こうして別れるのも必然だ・・・・・フッ。だから寂しがることはない。それにおまえの横には今、レグルスがいる。」
「・・はい・・・・」

スピカは返事をしてレグルスの方を見る。レグルスはスピカと目が合うとウインクしてみせた。

「・・レグルス。スピカのこと・・・面倒を見てやって欲しい。慣れているおまえだからこそ、俺はおまえを一番に頼ってここに来た・・・任せてもらえるか?」
「もちろんですよ、アトラス様・・・・私のことをそこまで信頼して下さっているなんて・・とても嬉しいです。」
「フッ、そうか・・・・ありがとう、レグルス。俺も、おまえを信じてきた甲斐があったってモンよ・・・・・じゃ、そういうことで頼むぜ?レグルス。さて・・・それじゃあ俺はそろそろ行くか。」
「・・アトラス様・・・・」

トンボ眼鏡をかけ、金貨の袋を持って立ち上がったアトラスの所にスピカが行って声をかけた。

「ん?どーした?まだ俺の慰めの言葉が足りないのか?」
「い、いえ、その・・・今まで、ありがとうございました。私は、その・・・・とても、アトラス様に感謝しています・・・・・」

と言ってスピカは頭を下げた。これにはレグルスよりアトラスの方が驚いていた。

「・・スピカ・・・・おまえは・・・・」
「あの・・私、頑張ります。アトラス様の名に恥じないように、頑張りますから・・・・ですから、その・・・・」
「フッ・・・・・おまえのことは忘れないぜ?スピカ・・・・」
「!アトラス様・・・・」

スピカは驚いて頭を上げてアトラスを見た。アトラスはニヤッと笑みを浮かべる。

「・・じゃ、またな・・スピカ、レグルス。」

アトラスはそう言い、2人に背を向けて歩き出した。

「えぇ、また。お気を付けて、アトラス様。」
「あっ、その!待って下さい!行かないで下さい!アトラス様!」
「!スピカ・・・・?」
「・・スピカ・・・・・」

スピカのこの発言にアトラスが立ち止まってスピカの方を見た。レグルスもスピカのことを後ろからそっと覗き込んで見ている。
止めても意味はない。そんなこと・・よく分かっていたのに・・・・・それでもアトラスとの別れは、スピカにとって辛いものだった。それまで何もかもずっと一緒に生活していたアトラスとの別れ。普段元気付けるようなことをしないアトラスが慰めの言葉までかけてくれたのに・・・・自分はまだどこか心の奥底でアトラスと一緒にいたがっている。

「フッ・・悪いがスピカ。俺はおまえの言うことは聞けないな・・・・それとも何だ?俺に恋というくだらない感情でも抱いたか?」
「!!!」

スピカは途端に顔を真っ赤にしてしまった。レグルスは複雑な表情で2人を交互に見つめる。

「フッ、まぁいい・・・・俺はもう行く。レグルス・・スピカを頼んだぞ。」
「はい・・アトラス様。」
「アトラス様・・・・」

別れるのが悲しくて、スピカは涙を流してしまっていた。だがアトラスはそんなスピカに慰めの言葉をかけることはせず、そのまま背を向けて歩いて行ってしまった。


  

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