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スピカがこのフェルディナン王国にきてから2週間の月日が流れていた。ようやくこのお城の生活にも少しずつ慣れ始めた、そんな感じである。
今日の午後は、お昼過ぎてからも太陽の光がとても眩しく良いお天気であった。奴隷娼婦はとにかくこのような時間帯が非常に暇なのだ。スピカは今お城の中庭を散歩していた。
中庭はスピカがこのお城の中で一番好きな場所になっていた。たくさんの花々が咲き乱れ、カフェテラスもあって・・・・・植物をこうして眺めながらゆっくりと散歩するのがスピカは何よりも幸せだった。

「あっ・・これって、コチョウランですよね。何て奇麗なんでしょう・・・」

スピカはつい立ち止まり、しゃがみこんでその花を手で触れた。
この中庭全てコチョウランが咲いているという訳ではないのだが、ここえら辺にはコチョウランが多く咲いているようである。そうしてスピカがコチョウランを見て心を和ませている時だった。

「あぁ〜っ!!!見つけたよスピカ君!!マイスイートハニーー!!!」
「えぇっ!?」

突然聞き覚えのある声がしたかと思うと、猛スピードで走ってやってきて、キキーッとブレーキをかけたのはそう、マクリスであった。

「会いたかったんだよ〜、スピカく〜ん!!!今日は君にどうしても会いたくてね、ずっと君のことを探していたんだよ!・・・さ、まずは今日初めてのキスを君に・・・」

と言ってマクリスもしゃがみ込み、スピカを抱き締めたその次の瞬間にスピカの唇に自分の唇を重ねてきた。

「ん・・っ・・!」

突然マクリスがきたことと、更には突然のディープキスでスピカはまだ何が起こっているのか今一理解出来ていなかった。ただマクリスとキスしてしまっていること・・・それだけが感触でよく分かって・・・・・

「・・・まさかこんな所にいたとは思わなかったよ〜、スピカく〜ん。アハハッ!・・・ねぇ。もう1回、キスしようか?」
「えっ?ん・・っ・・・ん・・・!」

マクリスはそう言ったかと思うとスピカの返事を聞くまでもなく再び唇を重ねてきた。2人の舌が先ほどのキスよりも複雑に絡み合う。突然のこの濃厚なキスにスピカはつい身を任せてしまっていた。
マクリスがゆっくりとスピカから顔を離し、スピカを見つめながら口を開いた。

「・・スピカ君・・・・そうしてたくさんの花に囲まれている君は、本当に可愛い・・・・まるで花の妖精さんだね。」
「あ・・そ、そんな・・・ありがとう、ございます・・・・」
「アハハッ!!そうして照れて顔を真っ赤にしてしまう君も可愛いね!じゃあ、もう1回キスしようか☆」

と言ってマクリスがスピカに顔を近付けた時だった。

「ストーーーーーーッップ!!!マクリス様ーーーーーー!!!」

と言う声が聞こえてきた。これもまた聞き覚えのある女性の声・・・・・・そう、走ってやってきたのはアルビレオだった。

「おや、アルビレオく〜ん!どうしたんだい?君も、僕のこの熱いキスを受けたいのかい?」
「何でそーなるんですか・・・・・それよりスピカちゃんも〜、イヤならイヤってはっきりマクリス様に言ってイイのよ〜?」
「あ・・・え、え〜っと・・・・」
「アルビレオく〜ん?イヤだな〜。僕のキスが欲しいのならそう言ってくれていいのに・・照れてしまっているんだね?」
「だから何でそーなるんですか!!誰もあなた様のキスなんて所望してませんよ!!」
「・・君ってば、いつも僕につれないよね。でも・・・僕は本当に君とキスする気満々だよ?アルビレオ君!」
「スッゴク遠慮させていただきます・・・・それより!このままスピカちゃん連れ去り事件とかになりそーなのを阻止したんです。このままあなた様とスピカちゃんを傍に置いておくと何だか危険ですからね。」
「そんなことはないさ〜。僕はこれでも一応、場はわきまえてるつもりだけどな〜。」
「絶対わきまえてませんから。」

ソッコーできっぱりはっきり言い切ったアルビレオにマクリスが両手を上げ、お手上げといった表情になる。

「相変わらずアルビレオ君は手厳しいね〜。仕方ない・・君の言うことには、誰も逆らえないものね。だから言うことは聞くよ・・・・その代わり!もう少しこうしてスピカ君と一緒にいさせて欲しいんだけどな〜。いいでしょ?」
「・・・まぁ一緒にいるだけならあたしも止めませんけどね〜・・・先程みたいにスピカちゃんとキスとかされると全っっ然良くないんですよ〜。ってワケで、あたしはとにかくマズい状況になったら手を出しますよ?どんな弊害があってもです。」
「うん、さすがアルビレオ君だね!!君は本当に優秀な部下さんだよ。レグルス君も一目置いてるワケだよね!・・・・ねぇ、知ってた?僕がこの王国に遊びに来たのはね、父様に勧められたからなんだよ!僕はもう少しでラグリア君みたいな一国の王とならなければならない。遊びに来たついでのお勉強かな・・・・取り分けアルビレオ君のことは、見習って来いって父様に言われてきたんだよ?」
「はぁ・・・それは前にも散々聞きましたけど・・取り敢えずありがとうございます。」
「うん!それにね、アルビレオ君だけじゃない。この広い王国全ての人を見渡して、全ての人のことを参考にしなくちゃならないんだ!だからね、スピカ君。君もとっても大事な存在なんだよ?」

と言ってマクリスがスピカの手を両手で包み込む。

「あ・・は、はぁ・・・・」

面と向かってそんなことを言われてしまうと照れてしまう。スピカはつい顔を赤くしてしまっていた。

「ん〜で〜す〜か〜ら〜!!!マクリス様スピカちゃんから離れて下さいって〜!!!また再発しちゃいますから!!フンッ!!」

とアルビレオは言ってすぐにマクリスからスピカを引き剥がそうと、後ろからスゴい勢いでマクリスの襟元を引っ張った。

「うわわわっ!そんなに引っ張らないでアルビレオ君!分かった、分かったよ!スピカ君から離れればいいんだろう!?仕方ないね〜・・・・その代わり、君に抱き着いてもいい?アルビレオ君!」
「・・・ですから何でそーゆー方向に話が曲がるんですか、マクリス様・・・」

と、アルビレオがジトーッとした目でマクリスを見ながらそう言った。一方のマクリスも、あからさまに不快な表情になっている。

「だって・・君の態度は僕に対して本当につれないよ?アルビレオ君・・・・ねぇ。僕が今までどれだけ君に対してこの感情を抑えていたか分かる?今に爆発してしまってもちっともおかしくないんだよ?」
「勝手に仰ってて下さい・・・・・あぁ〜、それよりスピカっちゃ〜ん!!この間はホンットーにゴメンね〜!!あれからお膝の傷良くなってくれたかな〜?」

アルビレオはマクリスと話している時とスピカと話している時とではまるで態度が違くなる。話の内容としては深刻そうなのだが、アルビレオが話題をスピカに向けてきたので、スピカはその疑問を後回しにして言われたことに素直に反応した。

「あ、はい!おかげさまで!もうほとんど傷跡ないですよ!ほら、見て下さい!」

と言ってスピカは立ち膝をしてアルビレオに分かりやすく見せた・・のだが・・・・

「ふ〜〜ん。今日のスピカ君の下着の色はこの服と同じピンク色なんだね・・・・あぁ〜っ!!僕は今とっても興奮してきちゃったよ!!」
「そこ〜〜〜!!!それこそ次期王様になろーとしてる人がそんなド変態発言しないで下さ〜い!!」
「えぇ〜っ!?僕はただ素直に感想を言っただけなのに〜。」
「あっ・・は、恥ずかしい・・・・・!!」

スピカは慌ててスカートで隠すも、元からミニのスカートなのでいまいち効果がない。どうにか隠れているといった感じである。

「まぁ、スピカちゃん。あんな超ド変態さんはほっとくとして・・・・うん、確かにもう傷跡ほとんどないね!良かったよ〜、怪我させちゃったのはあたしのせいだからね〜・・・良くなってくれてホント良かったよ〜、ウンウン!」

とアルビレオは笑顔になり、スピカの肩をポンポンと軽く叩いてくれた。

「あ・・はい。ありがとうございます・・・・」
「ね〜ぇ〜スピカく〜ん?僕はもう少し君のその下着を覗いていたいんだけどな〜・・・せっかく可愛い君のそこを隠してしまうなんてもったいないと思わないか〜い?」
「あの〜、もしもし〜?そちらの下心丸見えの方〜?」

「んっ?僕のこと?アルビレオ君!」

と爽やかな笑顔でマクリスはアルビレオに返事を返した。

「あなた様以外に誰がいらっしゃるんですか!!!ホンットにも〜う・・スピカちゃん顔真っ赤にしちゃってるじゃないですか〜。」
「そんなこと言ったって・・・僕はスピカ君の×××や××だってしっかりと見て・・・・」
「あ〜っ!!そ、その・・マクリス様・・・お願いです、やめて下さい・・・!は、恥ずかしいです・・・・!」

スピカがいつになく感情を露にした。珍しく大声を上げてとても慌てふためき、マクリスに初めて否定の態度を取ったのだ。普段滅多にこのような感情を出さないスピカを見てマクリスはもちろん、アルビレオも驚いてしまっていた。


  

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