22 「あっ・・これって、コチョウランですよね。何て奇麗なんでしょう・・・」 スピカはつい立ち止まり、しゃがみこんでその花を手で触れた。 「あぁ〜っ!!!見つけたよスピカ君!!マイスイートハニーー!!!」 突然聞き覚えのある声がしたかと思うと、猛スピードで走ってやってきて、キキーッとブレーキをかけたのはそう、マクリスであった。 「会いたかったんだよ〜、スピカく〜ん!!!今日は君にどうしても会いたくてね、ずっと君のことを探していたんだよ!・・・さ、まずは今日初めてのキスを君に・・・」 と言ってマクリスもしゃがみ込み、スピカを抱き締めたその次の瞬間にスピカの唇に自分の唇を重ねてきた。 「ん・・っ・・!」 突然マクリスがきたことと、更には突然のディープキスでスピカはまだ何が起こっているのか今一理解出来ていなかった。ただマクリスとキスしてしまっていること・・・それだけが感触でよく分かって・・・・・ 「・・・まさかこんな所にいたとは思わなかったよ〜、スピカく〜ん。アハハッ!・・・ねぇ。もう1回、キスしようか?」 マクリスはそう言ったかと思うとスピカの返事を聞くまでもなく再び唇を重ねてきた。2人の舌が先ほどのキスよりも複雑に絡み合う。突然のこの濃厚なキスにスピカはつい身を任せてしまっていた。 「・・スピカ君・・・・そうしてたくさんの花に囲まれている君は、本当に可愛い・・・・まるで花の妖精さんだね。」 と言ってマクリスがスピカに顔を近付けた時だった。 「ストーーーーーーッップ!!!マクリス様ーーーーーー!!!」 と言う声が聞こえてきた。これもまた聞き覚えのある女性の声・・・・・・そう、走ってやってきたのはアルビレオだった。 「おや、アルビレオく〜ん!どうしたんだい?君も、僕のこの熱いキスを受けたいのかい?」 ソッコーできっぱりはっきり言い切ったアルビレオにマクリスが両手を上げ、お手上げといった表情になる。 「相変わらずアルビレオ君は手厳しいね〜。仕方ない・・君の言うことには、誰も逆らえないものね。だから言うことは聞くよ・・・・その代わり!もう少しこうしてスピカ君と一緒にいさせて欲しいんだけどな〜。いいでしょ?」 と言ってマクリスがスピカの手を両手で包み込む。 「あ・・は、はぁ・・・・」 面と向かってそんなことを言われてしまうと照れてしまう。スピカはつい顔を赤くしてしまっていた。 「ん〜で〜す〜か〜ら〜!!!マクリス様スピカちゃんから離れて下さいって〜!!!また再発しちゃいますから!!フンッ!!」 とアルビレオは言ってすぐにマクリスからスピカを引き剥がそうと、後ろからスゴい勢いでマクリスの襟元を引っ張った。 「うわわわっ!そんなに引っ張らないでアルビレオ君!分かった、分かったよ!スピカ君から離れればいいんだろう!?仕方ないね〜・・・・その代わり、君に抱き着いてもいい?アルビレオ君!」 と、アルビレオがジトーッとした目でマクリスを見ながらそう言った。一方のマクリスも、あからさまに不快な表情になっている。 「だって・・君の態度は僕に対して本当につれないよ?アルビレオ君・・・・ねぇ。僕が今までどれだけ君に対してこの感情を抑えていたか分かる?今に爆発してしまってもちっともおかしくないんだよ?」 アルビレオはマクリスと話している時とスピカと話している時とではまるで態度が違くなる。話の内容としては深刻そうなのだが、アルビレオが話題をスピカに向けてきたので、スピカはその疑問を後回しにして言われたことに素直に反応した。 「あ、はい!おかげさまで!もうほとんど傷跡ないですよ!ほら、見て下さい!」 と言ってスピカは立ち膝をしてアルビレオに分かりやすく見せた・・のだが・・・・ 「ふ〜〜ん。今日のスピカ君の下着の色はこの服と同じピンク色なんだね・・・・あぁ〜っ!!僕は今とっても興奮してきちゃったよ!!」 スピカは慌ててスカートで隠すも、元からミニのスカートなのでいまいち効果がない。どうにか隠れているといった感じである。 「まぁ、スピカちゃん。あんな超ド変態さんはほっとくとして・・・・うん、確かにもう傷跡ほとんどないね!良かったよ〜、怪我させちゃったのはあたしのせいだからね〜・・・良くなってくれてホント良かったよ〜、ウンウン!」 とアルビレオは笑顔になり、スピカの肩をポンポンと軽く叩いてくれた。 「あ・・はい。ありがとうございます・・・・」 と爽やかな笑顔でマクリスはアルビレオに返事を返した。 「あなた様以外に誰がいらっしゃるんですか!!!ホンットにも〜う・・スピカちゃん顔真っ赤にしちゃってるじゃないですか〜。」 スピカがいつになく感情を露にした。珍しく大声を上げてとても慌てふためき、マクリスに初めて否定の態度を取ったのだ。普段滅多にこのような感情を出さないスピカを見てマクリスはもちろん、アルビレオも驚いてしまっていた。 |