25

あのティータイムから3日後のことだった。
いつも通りの暇なお昼。のんびりと過ごしていたスピカだったのだが、特に何もすることがなく・・何をしようか考えてしまった。
このままボーッと時を過ごすのもいいが、もう少し自分の為になる何かをしてみたいと思った。
それに・・・・レグルスやラグリアが「遠慮せず謁見の間に遊びに来ていい」と言っていたので、何となくその言葉に甘えたくなってしまい、スピカはついに意を決して部屋を出て、謁見の間の方に向かった。
本当に仕事中にいいものか、大事なお客様とかきていないのかどうかなど色々心配になったりもしたが、駄目だったら駄目でまた何か別のことをしようと思い、取り敢えずスピカは行くだけ行こうと小走りして謁見の間の方に行った。
謁見の間はこのお城の1階にある。1階の中でも一番大きな所が謁見の間なのでスピカも迷わずにたどり着けた。
謁見の間の扉の前には兵士がいた。

「おや?あなた様は・・・スピカ様でいらっしゃいますね?」

と、兵士の方から声をかけられてしまってスピカは驚いてしまった。

「えっ!?あっ、えっと・・はい!そうです!」
「あぁ〜、これはようこそ〜。ラグリア様とレグルス様がお待ちです。どうぞ中にお入り下さい。」
「えぇ〜っ!?あ、あの・・・大丈夫、なんですか?」
「はい!ラグリア様とレグルス様に、スピカ様がきたらすぐにお通しするように言われています。幸い今日はお客様も先ほどお帰りになりました。今はお2人以外にいらっしゃらない筈ですよ。さ、どうぞ。お入り下さい。」

とその兵士は言い、謁見の間の扉をいとも簡単に開けてくれた。スピカは「ありがとうございます。」とお礼を述べてから謁見の間の中に入った。ラグリアとレグルスが驚きながらも笑顔でスピカを迎えてくれた。

「やぁ〜スピカ、いらっしゃい。フフッ・・ここでおまえに会えるなんて嬉しいよ。遊びに来てくれたんだね?ありがとう。」

と、まずはレグルスがスピカにそう言ってくれた。ラグリアが座っている中央の玉座の右側に立ってその玉座に寄りかかっている。

「・・スピカ、か・・・・よく来たな・・・・」

ラグリアが微笑んでスピカにそう言った。

「あ・・はい。お邪魔します・・・・あの、あそこにいらっしゃった兵士さんが、すぐに通して下さって・・・」
「あぁ。私もラグリア様も、おまえが来たらすぐに通すように言っておいたからね。」

と、兵士と同じことを言うレグルスにスピカは「何だかすごいな〜。」という驚きの気持ちと「申し訳ない。」という2つの気持ちが入り交ざった。

「あ・・はい。ありがとうございます・・・・あ、あの・・お仕事中に、すみません・・・・ですけど、その・・・いつも、レグルスさんやラグリア様が「遊びに来い」と言って下さってたので・・・本当に、お言葉に甘えちゃいまして・・・・」
「・・構わぬ・・・・私もレグルスも、冗談でそなたに言っている訳ではない・・・・そなたには、本当にここに来てもらいたかったのでな・・・・」

とラグリアに微笑んで言われて、スピカもつい嬉しくなってしまった。

「あ、はい。その・・ありがとうございます・・・」
「フフッ。むしろお礼を言うのは私やラグリア様の方だよ・・・来てくれてありがとう。おまえにこうして会えるのがどれだけ嬉しいか・・おまえは分かるかな?」

とレグルスに優しく微笑まれて言われてしまうと、スピカはつい胸がドキッとしてしまっていた。
スピカはいつもこうだった。レグルスに「愛しているよ。」と言われた時のことをどうしても思い出してしまうと、こうして胸の高鳴りを覚えてしまうのだ。すぐにスピカはあの時のことを考えるのをやめにした。

「あ・・・え、え〜っと・・・・」

スピカがどう返事をしようか困ったその時だった。

「ミャ〜!」

と、スピカの足元で何か違和感があったのでスピカが何かと思って足元を見てみたら、そこにいたのは何と1匹の子猫だった。
赤いリボンと鈴を首に巻きつけていて・・・種類は何だろうか?雑種のような感じだ。

「あぁ、ミャウ。こちらに来い。」
「ミャ〜ッ!」

ラグリアがミャウと呼んだこの子猫はスピカからすぐに離れ、ラグリアの元に駆け寄り、一気にジャンプしてラグリアの座っている所に飛び込んだ。ラグリアはそれを微笑んで見ていて、ミャウの頭を撫でた。

「フフッ。少し驚いていたみたいだったね、スピカ。」

とレグルスが余裕の微笑でもってそう言った。

「あ、はい。ちょっとだけ、驚いてしまいました・・・ウフフッ。可愛い子猫さんですね。」

スピカもまた、笑顔でレグルスとラグリアにそう言った。

「あぁ、そうだな・・・・猫は、大丈夫だっただろうか?スピカ・・・・」
「あ、はい!私、動物大好きなんです!猫さんも犬さんも大好きなんです!」
「へぇ〜。おまえは動物好きなんだね〜?スピカ。」
「はい!ですけど・・動物を飼ったことは1回もなくて・・・・」
「・・そうか・・・・ならば、私と共にミャウを育ててみるか?スピカ・・・」
「えっ!?」

突然のラグリアの申し出にスピカは驚いてしまった。レグルスも少し驚いた顔でラグリアを見ていた。

「フッ。どうやらミャウは、そなたのことが気に入ったらしい・・・・そうなのだろう?ミャウ。」
「ミャ〜ッ!!」

ミャウはまるでラグリアの言葉に反応したように鳴く。人の言葉が分かるのだろうか?子猫の割には教育がしっかりされているような気がする。だがどうやらラグリアが飼っているらしい猫なので、このラグリアの性格を考えればそれは当然かもしれない。


  

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