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スピカの向かった先は、この森の奥深くにある古いお城だった。そのお城は知る人ぞ知る所で、人気は全くない。
スピカは沢山の光に包まれ、そしてレグルスからもらった赤い薔薇を花瓶ごと大事に抱き締めながら翼を羽ばたかせて移動した。そう、この1輪の赤い薔薇がレグルスの現在地を、その光でもって指し示してくれているのだ。
間もなくこの古城の全貌が見えた。レグルスに会えるのももうすぐである。

「レグルスさん・・・・今、行きます・・・・!」

そうしてスピカは一気に高速移動して城の中へと入っていった。このことに沢山の蝙蝠達が驚いていたが、決してスピカの邪魔をすることはなかった。なぜならそれは、この城に住む者達の誰もがスピカの来訪を待っていたからである。
それからスピカは目的の部屋の前にたどり着いた。とても大きいドアにルビーがはめ込まれている。スピカはドアの取っ手を使い、ノックの代わりにした。

「はぁ〜い!ちょっと待ってね〜?今開けたいんだけど〜・・・・うぅ〜っ。レグルスさぁ〜ん、手伝ってよ〜!!」

という声が内側から聞こえてきた。とっても可愛い女の子の声でスピカは驚いてしまったが、どうやらレグルスに仕えている子のようである。そして中にレグルスがいるらしいことにスピカはホッと安堵した。
それから少しの間音沙汰なかったのだが・・・・中から女の子がスピカのことを尋ねてきた。

「ねぇねぇ、あなたはだぁ〜れ?レグルスさんを探してきたスピカさん?」
「!は、はい・・そうです!」
「うわぁ〜っ、やっぱり!!ほらほらレグルスさぁ〜ん。ドア開けるの手伝ってよ〜!」
「・・・分かったよ。」

と、ようやく目的のレグルスの声が内側から聞こえた。スピカはレグルスの声を聞いただけでドクンと胸が高鳴り、緊張してしまった。
それからカチャッとドアを開けられて・・・・そこには、スピカが一番会いたかったレグルスがいた。

「!・・・スピカ・・・・・」
「レグルスさん・・・・!レグルスさん・・・・!!」

スピカはレグルスの名前を呼び、レグルスに抱き着いた。レグルスもそれまでのスピカではなく、キラキラした光を身に纏い、翼の生えているスピカを見て驚きながらもスピカを強く抱き締めた。
2人はしばらく何も言わずに抱き合った。レグルスの肩の上に妖精のプレセペも乗っかり、笑顔でこの光景を見つめた。
沈黙を破り、口を開いたのはレグルスだった。

「スピカ・・・・こんな私でも、会いに来てくれたのかい?・・・記憶が戻ったからかな?」
「はい・・はい・・・・!!レグルスさん・・・・!私、全て思い出しました・・・・!この薔薇のおかげです・・・・」
「フフッ・・そうか。やっぱりあの時おまえに預けて、正解だったようだね。」
「!・・・レグルスさん・・・・」
「おまえが記憶を思い出してくれて本当に良かったよ・・・・死ぬ前にもう1度だけ、おまえに会いたいと思っていたからね・・・・」
「・・レグルスさん・・・・!そんな、レグルスさんを死なせるようなことはしません・・・・!」
「フフッ・・スピカ。ありがとう・・・・中に入ろうか。おまえともっと、ゆっくり話したいからね。」
「はい・・レグルスさん・・・・!」
「はいは〜い!!スピカさんあのね!!プレセペに詳しいお話聞かせて〜!!」
「えっ?」

真紅のソファにレグルスと共に座ったスピカに、妖精のプレセペがそう言ってきた。

「あのね!レグルスさんに昨日詳しいお話してもらったんだけど・・・・プレセペね!あなたからも同じお話を聞きたいの!」
「えっ?え〜っと〜・・・・」
「プレセペの言うことには耳を貸さなくていいよ。不肖の部下は、大のロマンス好きなだけさ。夢を見ていたいようだよ。」
「うっわ〜っ。何さそれ〜、プレセペはレグルスさんの所にいるから恋愛の「れ」の字も出来ないんだよ〜!?エヘヘヘヘ〜ッ。でもね、プレセペはレグルスさんが元気になってくれて嬉しい!!スピカさんが来たからだよ!それまでのレグルスさんはね〜!ンンンンンンン〜ッ!?」
「プレセペ、ちょっと喋りすぎだよ?私とスピカが一緒にいられる時間はとても貴重なんだからね。あまりに邪魔するようだったら、またお使いを頼むよ?」

出た。必殺レグルスの色っぽい流し目冷たい輝き攻撃。どうやら本当に恋人といる時間を邪魔されたくないようである。いや、誰しもそうなのであろうが・・・取り分けレグルスは迫力があって怖い。
レグルスの人差し指だけでプレセペは口を塞がれてしまった訳だが、すぐにレグルスはその指を取ってくれた。プレセペは「プハァ〜ッ!」と息をついた。

「レグルスさんってばひどいな〜。プレセペを呼吸困難にしたいの〜!?」
「そういう訳じゃあないけどね・・・・フフッ。おまえの血を吸ってもいいなら、今すぐにでも呼吸出来なくさせてあげるよ?」
「ウッ・・・・」
「レ、レグルスさ〜ん。いじめちゃダメじゃないですか〜。プレセペさん、怖がってますよ?」

と、スピカがレグルスにそう言った。スピカにそう言われるとレグルスは何も出来ない。

「・・・そうだね。フフッ・・怖がらせてごめんね、プレセペ。」
「・・・・レグルスさんって・・・・ムッツリスケベ・・・・?」
「・・どういう意味かな?プレセペ・・・・本当に息の根を止めてあげようか?」

レグルスは形の良い眉を吊り上げてそう言ったのだが、すぐにスピカがレグルスを止めた。

「ですから〜!!レグルスさんダメですってば〜!プレセペさんにひどいことなさると、私が許しません!」
「・・スピカ・・・・フフッ。分かっているよ・・・・大丈夫。冗談だから安心してごらん。」
「・・・目がマジだったよ、レグルスさん・・・・」
「おやおや、そんなことを気にしてはいけないよ?プレセペ・・・・あぁ〜。半分冗談、と言った方が安心したかい?」
「・・レグルスさんめ〜。絶対にいつかギャフンと言わせてやるんだから〜!!あっ、それよりスピカさん!お話聞かせて!ねっねっ?イイでしょ?」
「あっ、はい。私のお話でよろしければ・・・・」
「ウワーイ!ありがとう!スピカさん!」


  

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