「レグルスのコトは信じられないけど、スピカちゃんは本質を見抜く人だもんね!それは、あたしがよく知ってる♪そのスピカちゃんがそーゆーなら多分間違いないっしょ。しっかし・・・スピカちゃんは初めてレグルスと会ったんでしょ?それでイキナリ「愛してる」って変すぎな〜い?もしかして口説かれたの?」
「えっ?ですけど・・・・私も、レグルスさんに一目惚れしちゃいましたし・・・・「大好き」って言ってしまいました。」
「えぇっ!?ウソッ!?もう両思いなの!?ハヤッ!!!」

その日初めて会ったというのに、お互いに愛の告白をしてしまったらしい。どういう展開なんだとアルビレオは心底驚いてしまったが、確かにスピカは女のアルビレオから見ても本当に愛らしい女性だと思うから、男が見たらますますそう感じるだろう。
それに吸血鬼・レグルスも噂では大変な美男だということだった。その甘いマスクでどんな女性でも虜にしてしまうらしい。スピカもその虜になってしまったようだが・・・・やはり第一印象は重要なのだろうか?
何だか本当に相手のことをよく分かっていないのにそんなことで良いのかと思ってしまうが、今更そんなことを言っても無駄だと感じて、仕方なくアルビレオはそれ以上突っ込むことはやめにした。

「そうですね・・・・私も、とっても変だとは思っているんですけれど・・・・違和感を感じないんです・・・・おかしいですよね?アルビレオさん。」
「うん。100%間違いなくおかしいわね、それは。」
「はい・・・・ですけど、どうしてでしょうか・・・・レグルスさんのことも、昨日初めてお会いしたばかりの筈なのに・・・まるで何十年も前から好きだった感じがするんです。おかしいですよね、やっぱり・・・・・」
「・・・・・・・・・・」

アルビレオは複雑な表情を浮かべた。スピカも少しだけ頭の中で考えているようだが・・・・・以前スピカが話してくれたことをアルビレオは思い出していた。

「そういえばスピカちゅわん。昔はお空の上に住んでたって話してたわよね〜?」
「はい、そうです。」
「それから悪いことをして罰を受けちゃったから、ここに落とされたんだって言ってたわよね?」
「はい、そうですね・・・・」
「前にも聞いたけど、その「悪いこと」って何?」
「!アルビレオさん・・・・突然、どうなさったんですか?そのことは、もう記憶にないんです・・・・」
「だよねぇ〜、やっぱり・・・・・」
「ウフフフフッ。アルビレオさん、すみません。私が、レグルスさんのことを意識しすぎなんだと思います。昔のことは関係ないですよ。あっ、それより紅茶もう一杯どうですか?」
「あっ、ん〜。そんじゃ〜もらえるかな〜?」
「はい!喜んで!」

スピカはそうしてあっけなく話を片付けてしまったが・・・・実際スピカが昔どんなことをしていたのかはカナリ謎だったりする。と言うのも、スピカ自身がその時のことを全く覚えていないらしいのだ。
当初は自分が特殊な力を持っているとも思っていなかったらしい。ある日突然その力を解放してしまったことで村の人々に恐れられ、それでスピカは一時期人間不信に陥ってしまったこともあった。
そんなスピカを励ましたのがアルビレオだった。スピカに優しくしている所を他の人に見られた時は文句を言われたりしたが、強いアルビレオはそれより上の文句を浴びせて罵倒した。
いくらスピカが本当の人間ではないからと言って差別する方がおかしい。こんなにもスピカは優しい心の持ち主なのだ。特殊な力を持っているだけで嫌がるなんて頭が固すぎる。世界の全ての人がスピカの存在を否定しても、アルビレオは自信を持ってスピカの存在を認める自信があった。
そんなアルビレオをスピカも頼って信じてくれているようで嬉しいし、実際に自分以外にとうとうスピカに友達・・いや、むしろ恋人らしい人が出来たのは嬉しいといえばそうなのだが・・・・相手が相手である。アルビレオは「ハァ〜ッ」とため息をついた。

「?・・アルビレオさん、どうなさったんですか?ため息をついてしまって・・・・分かりました。恋にお悩みなんですね!」
「えっ?ちょっと待ってスピカちゃん。全っっ然違うから!!!勝手に人を恋煩いにさせないでくれな〜い?・・・・むしろ、スピカちゃんと吸血鬼さんの恋の方に悩んでるんだけどね〜、あたしは・・・・」
「えっ?そんな、どうしてですか〜?レグルスさんは良い人ですよ〜。」
「いや、そうなんだろーけどね・・・・今一あたしはちょっとね〜・・・・・」
「そしたら、今度アルビレオさんもご一緒にレグルスさんにお会いしませんか〜?その内きっと、レグルスさん来て下さる筈ですよ〜。」
「スピカちゃん・・・・ホンッットにレグルスのこと疑ってないのね・・・・」

とアルビレオが言うと、スピカは少し顔を俯かせた。

「・・・そう、ですね・・・・あのお言葉が虚言だとしても・・・・私は嬉しいです・・・・レグルスさんが、好きですから。」
「アハハハッ・・・・ホ〜ント、スピカちゃんにはかなわない☆取り分け恋する女の子は無敵だもんね〜。」
「ウフフフッ。アルビレオさんは、どなたか恋してらっしゃる方がいらっしゃるんですか?」
「は?何で?」
「いえ・・アルビレオさんは、それこそいつでも無敵ですから。」

満面笑顔でそう言ったスピカに、アルビレオは苦笑せずにはいられなかった。

「ちっがーーーーーーう!!スピカちゅわ〜ん!!あたしはこれが元からの性格なの!!」
「そしたら・・アルビレオさんがどなたかに恋をされた時は、もっとお強くなるんでしょうねぇ〜・・・どうなってしまうのでしょうか?」
「さ、さぁ・・・あたし、そーゆーのとは無縁だからね〜、考えないコトにしてんだけど・・・・まぁイイわ!すっかり長居しちゃったし、丁度紅茶も飲み終えたから、あたしはそろそろ行くね〜。」
「あっ、はい!またいらして下さいね!」
「うん、もちろんだってば〜!それじゃ、ご馳走様♪まったね〜、スピカちゅわ〜ん!」
「はい!こちらこそ〜!お休みなさい、アルビレオさん!」

そうしてアルビレオはスピカと別れた。つくづくスピカは不思議な子だと思いながら帰宅するアルビレオだった・・・・・・・・・・・・・・


  

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