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その日の夕食を食べ終えてからは、私・・ひどく落ち着きがありませんでした。もう・・お兄様のお部屋に行っても良いのでしょうか?それとも・・・お兄様まだお仕事中だったりするのでしょうか? 「・・・カ・・・・・・て・・・・・」 ん〜、どこでしょう?何か・・遠くから・・お声が聞こえる気がします・・・・ 「・・スピカ・・起きて・・・スピカ?」 えっ?えっと・・このお声・・・何だか、とても耳に馴染み深いお声で・・・私を、呼んで下さってますか・・・・? 「スピカ?ほら、起きてごらん?・・・全く。困った妹だね〜・・・・」 そうして気が付けば・・・・私の唇に、誰かの唇が重なって・・・・!! 「!!」 ヒャアッ!!!えぇっ!?これって・・どういうことですか!?えぇ〜っと・・・? 「フフッ・・やっと起きてくれたね、スピカ・・・お兄様のキスで目覚めるとは、都合が良いね。」 !!!お・・お兄様!? 「おっ、お兄様!?あっ、あの!!わ、私・・もしかしなくても・・・・ね、寝てました・・・・?」 私は恐る恐るお兄様に尋ねました。 「フフッ、そうだね。とてもよく眠っていたよ・・・最初は寝顔を見たくて起こさなかったんだけど・・・何分経っても起きてくれる気配を見せてくれないから・・とうとうキスまでしてしまったよ。」 ウ、ウワ〜ッ!どうしましょう。迂闊にも寝ちゃってたなんて・・・し、しかもお兄様に寝顔見られたなんてーーーー!!!うぅ〜っ。何か恥ずかしいです〜・・・・ 「ね、寝顔見るって・・私の寝顔なんて見ないで下さいよ〜!!恥ずかしいです〜!!」 うぅっ!!お兄様ひどいです〜・・・・恥ずかしさで、どんどん顔と体が熱くなっていきます〜・・・・! 「ど、どちらもです!!」 えっ?大切な約束?えぇ〜っと・・・・・・あぁーーーーーーーっっっ!!!い、いけないです〜!!私ったら眠ってしまって・・・ウ、ウワワワワ〜ッ!! 「あっ、あの!あの!!!お兄様、すみません!!!私、その・・・・!」 ギクギクッ・・・・な、何か・・・お兄様、微笑んでらっしゃるのに・・・スッゴク怖いです〜!!!うぅ〜っ・・それはもちろん、寝てしまった私が悪いんですけど〜・・・えぇ、とっても悪いんですけど〜!! 「あ・・は、はい・・・」 私は一応返事をして、それからすぐに私とお兄様で部屋を出て、お兄様の部屋の方に向かいました。その間、お兄様は私の前に立って歩いて、何も話して下さらなくて・・・私も怖くて、お兄様に話しかけることが出来ませんでした・・・・・・ 「さ、スピカ。そこのソファーに座ってごらん。」 な、何か・・お兄様の放っている雰囲気が、とっても怖いです〜・・・・うぅ〜っ、お兄様・・口調や言動はいつもと全然変わらないんですけど・・妹の私には分かります。お兄様、明らかに怒ってらっしゃるんです・・・・ウワーン、どうしましょう・・・・ 「・・・本当なら・・おまえにミルクティーの1つでも淹れるべきなんだろうけど、ここまで予定を覆されるとは思っていなくてね〜・・・・単刀直入に聞くけど、おまえは本当に私との約束を覚えてくれていたのかな?」 ウッ・・・・お兄様・・やっぱり、怒ってらっしゃいます・・・・ 「あ、は、はい・・・その・・覚えては、いました・・・・」 と、私が言った所で・・お兄様が私のすぐ横に移動して座られて・・・・私は、お兄様に抱き締められていました・・・・ 「・・私の仕事なんていいんだよ・・・・私にとっては、おまえと会うことの方が重要だよ・・・・」 と、珍しくお兄様が声を荒げてそう仰られたので・・・・私、本当に驚いてしまいました。こんな・・こんな感情的なお兄様を見たのは、本当に・・滅多にないことです・・・・ 「お・・おにい、さま・・・・」 お兄様は、強く・・とても強く、私のこと・・抱き締めて下さいました・・・・・ 「お、お兄様・・・・!」 私・・・そんなに、お兄様に愛されてるんですか・・・・?私・・今まで以上に・・お兄様に確実に愛されてるって・・自惚れちゃってもいいんでしょうか・・・・? 「・・ねぇ、スピカ。」 お兄様が一気に私を抱き締める力を緩めて下さいました。ですけど・・まだ腕は私の体に回して下さったまま、お兄様は仰いました。 「・・お兄様にこんなことを言われて・・・おまえはどう思うのかな?」 お、お兄様・・・・ 「えっ?その・・・私・・嬉しいですよ?お兄様・・・・気持ち悪い、とは思わないです・・・・」 お兄様は、私を見つめてそう尋ねられました。な、何か・・お兄様にこんなに見つめられてしまうと、ちょっと恥ずかしいです・・・・ 「本当です。その・・・私も、お兄様のこと・・大好きですもの・・・お兄様と、ずっと一緒にいたいと思ってます・・・・!」 私はもう恥ずかしさを吹っ切って、お兄様に改めてそう告白しました。そして・・今度は私からお兄様を抱き締めました。 「ありがとう、スピカ・・・・!フフッ・・私はね、本当に嬉しいよ。こんなに嬉しいと思ったのは・・とても久しいことだよ。」 お兄様・・・本当に、嬉しそうに笑ってらっしゃいます。いつもお兄様は、余裕たっぷりのニヒルな微笑みを浮かべておられますけど・・・・お兄様の、こういう本当の優しい笑顔・・私、大好きです。お兄様のこんな笑顔を見ていると・・・・私も、つい嬉しくなっちゃって・・・・自然と顔が笑みを浮かべてしまいます。 |