「ねぇねぇラグリア〜。」
「・・あぁ・・・どうした?アルビレオ。」
「スピカちゃんからもらってたチョコって何だったのさ〜。あれスピカちゃんの本命ではないんでしょう?」
「・・そうだな・・・・ブランドものの高級チョコであった・・・・なかなか美味であったぞ。生チョコであったから、早めに食べさせてもらったが・・・・」
「あぁ〜そーなんだ〜。ってコトはやっぱ本命はレグルスかな?」
「そうであろうな・・・・・」
「ミャ〜。」
ラグリアの膝に乗っかっているミャウがまるで返事でもするかのように鳴いた。それを見てラグリアもアルビレオも共に暖かい微笑を浮かべる。
「あっ、ねぇねぇところでさ〜、あたしもチョコ持ってきたのよ〜。」
「・・ほぅ・・・・」
「ンフフ〜、でもミャウちゃんの分しかなくてさ〜。さぁミャウちゃ〜ん!!お姉様と一緒にチョコ食べよっか〜!」
「ミャ〜!!」
アルビレオに抱かれたミャウはとっても嬉しそうに鳴く。そうしてアルビレオはまたどこから取り出したのか(笑)チョコの箱を手に持っていて、ミャウの目の前でラッピングを解く。
ラグリアはしばし無言でその光景を見詰めていた訳だが・・・・・ミャウにチョコをあげようとするアルビレオを見てマッタをかけた。
「アルビレオ・・・ミャウに人間の食べ物は厳禁なのだが・・・・」
「あぁ〜!?そんなの分かってるっつーの!!雰囲気雰囲気!!これはミャウちゃんの為にあたしがわざわざ買ってきたんだからさ〜!!ミャウちゃんにだってこーゆーバレンタインの空気感じさせてあげなきゃいけないでしょ!?ねぇミャウちゃん!?」
「ミャ〜ッ!!」
ミャウは嬉しそうにアルビレオの問いかけに答える。ラグリアは何も言わずに複雑な顔をしていたが、微妙にアルビレオからチョコをもらえない寂しさを味わっていたのでした☆(笑)
さてレグルスの方はと言うと、その後体調を崩してここ2、3日有給手当てで会社を休んでいた(笑)
どうやら単なる食あたりのようだが・・・・それにしても未だにお腹が少し苦しい(笑)だが今日休めば明日は何とか会社に行けそうだった。レグルスの体力は確実に回復に向かっていた・・のだが・・・・・・
ピンポーン
「ん・・?お客・・・・?」
レグルスは何とか痛むお腹をさすりながら立ち上がり、玄関に出てドアを開けた。するとそこにいたのは・・・・・
「あ、あの!!レグルス課長!!わぁ〜、良かったです〜・・・お体大丈夫ですか?」
そう、ウルウルした瞳でそこに立っていたのは愛しのスピカであった(笑)
「あぁ・・スピカ・・・・・・もう心配いらないよ・・・・明日からまた、会社に行くからね・・・・」
「良かったです・・・・!レグルス課長が休まれた時、私本当に驚いてしまって・・・・!レグルス課長がいらっしゃらないと、私寂しくて・・・・」
「あぁ・・・ごめんね、スピカ。寂しい思いをさせてしまって・・・・私も、おまえに会えなくて寂しかったよ・・・・」
「レグルス課長・・・・・!!」
そうして2人はヒッシと熱く抱き合った。とってもバカップル的光景である(笑)
「あ、あの・・・私、お見舞いに来たんです・・・・・その、レグルス課長のことが、心配で・・・・」
「あぁ、本当かい?いいよ・・・おまえが傍にいてくれるのは大歓迎だからね。さ、おいで。」
「あ、はい・・・・お邪魔します・・・・」
そうしてスピカはレグルスの家にお邪魔することになった。因みにレグルスとアルビレオ、ラグリアは同じ家で一緒に生活している。だが社長とその秘書であるため、まだ家には帰ってきていない。
「あ、あの、課長はどうぞ、安静になさっていて下さい・・・・その、私何かお作りした方がいいですか?せっかくですから、おかゆの1つでもと思ってたんですけど・・・・」
「えっ?あぁ、そんな・・・・おまえの手を煩わせるほどではないんだけどね〜。」
「・・・そう、ですか?ですけど私・・・・課長の為になることをしたくて・・・・・」
と、今にも泣きそうな顔をしているスピカを見てはレグルスも鵜呑みに否定することが出来なかった。
「あぁ〜・・・ありがとう、スピカ。そ、それじゃあ・・・お願い、してもいいのかい?」
「はい、是非!!お願いします!!少しでも、レグルス課長を元気にさせたいんです!私で出来ることなら、何でもしますから・・・・」
スピカの気持ちはとってもありがたいのだが、何となくまた食あたりになりそうな予感がレグルスの頭の中を駆け抜けていった(笑)
だがしかし、この間のチョコがたまたまそうなのであって、今度は大丈夫ではないかと思った。何せおかゆの材料はレグルスの家の中にあるものだけで作るのだろうし・・・・・きっと心配しすぎだ。それに大好きなスピカの手料理なら何より嬉しいではないか。レグルスは考えを改めた。
「・・・ありがとう、スピカ・・本当に嬉しいよ。材料は冷蔵庫の中にあるから・・・・台所は好きに使っていいからね。あぁ、台所は1階の奥だからね。」
「はい!ありがとうございます!!私、課長が早く良くなりますようにってお願いしながら作りますね!!それでは、しばらく待ってて下さいね〜!」
そうしてスピカは満面笑顔でレグルスが横になっている部屋から出て行った。
こんな可愛いスピカが自分の為に何かしてくれることがとても嬉しかった。相手を気遣う気持ちも人一倍強いスピカであるし・・・・・スピカに嫌な思いはさせたくなかった。
「・・・私は・・・本当にスピカしか見えていないよね・・・フフッ・・・・」
思わず苦笑いしてしまいたくなるほど、自分がスピカに夢中なのだと改めて思い知らされる。こんなに本気で恋をしたのは初めてだった。
・・・・・・・さて、そうしてスピカのことを考えていることしばし(笑)スピカがおかゆを持ってやってきた。
「レグルス課長、出来上がりましたよ〜。こんな感じなんですけど・・どうでしょうか?結構、頑張ってみたんですけど・・・どこか間違えちゃってるかも・・・・」
「あぁ・・・・うん、いい匂いだね・・・・それじゃあ、早速いただこうかな?」
「はい!どうぞ!」
おかゆの見栄えも悪くないし匂いもいい。今度こそ大丈夫だ。そうしてレグルスが口に含み、その味を感じた瞬間だった。
「!!!」
また何かがレグルスを襲った(笑)
「・・・・あの、レグルス課長?どうかなさいましたか?」
「ん・・・・?あぁ・・いや、何でもないんだよ・・・・ハハハハ・・・・」
「あ、あの・・・また何か、お顔の色が悪い気がするのですけど・・・・や、やっぱり私のおかゆが・・・・!?」
「い、いや!!全然そんなことじゃないんだよ!!ほ、ほら!!お前がわざわざこうして来てくれて、私の為にこうしておかゆを作ってくれたことが本当に嬉しくてね・・・ハハハハハ・・・・」
「そ、そうですか・・・・?そんな・・・私、課長の為なら何でもします・・・!」
「あ、あぁ・・・ありがとうスピカ・・・・ハハハハ・・・・・」
「出来るならもう少し料理を覚えてからにしてね。」と付け加えたかったレグルスであったが・・・・・・何だかんだ言ってスピカゾッコンなレグルスは、こんなマズいおかゆでも食べれることに嬉しさを見出していたりしていた(笑)
その後レグルスの病状は更に悪化し、会社に復帰したのはそれから1週間後のことだったのでした!!(笑)
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