3月14日当日。ラグリア商事社内はいつもより少しだけ盛り上がっていた。それはホワイトデーという特殊なイベントのせいでもあるのだろう。
スピカはいつも通り、定時に出社した。

「あっ、み〜っけ!!おっはよ〜、スピカちゅわ〜ん!」
「あっ、おはようございます〜!アルビレオさん〜。」

そう、スピカに声をかけてきたのは社長秘書のアルビレオであった。
社長秘書という重役にありながら、こうして社員ととっても仲の良い社交的なアルビレオで、社員からの慕われ率は高かったりする。

「あっ、そうそう、今日ってばさ〜、ホワイトデーじゃな〜い?スピカちゅわ〜ん。それでさ〜、あたしからも実はホワイトデープレゼントあるんだよね〜!!ってワケで、コレ・・受け取っちゃってよ☆」

と言ってアルビレオが差し出したのは、奇麗に赤いリボンと緑色の包装紙でラッピングされたものであった。

「わぁ〜っ!ありがとうございます〜、アルビレオさ〜ん。私、何も持ってきてなくて・・・・」
「あぁ〜、イイのイイの〜!!今回は女性社員全員に大サービス中なのよ〜!!あっ、因みにそれ、ビデオテープなんだけどさ〜、お昼休みに食べながら見てごらんよ〜!きっと面白いよ〜?」
「ホントですか〜?うわぁ〜っ、それじゃあ楽しみにしちゃいます〜!」
「ンフフフ〜、そうしちゃってよ♪あ、因みに今日ね〜、レグルス1時間遅く来るコトになってるから〜。」
「えっ?どうしてですか?」
「ン〜。まぁ・・そのビデオ見ちゃえばきっと理由分かるよ〜?ンフンフンフフフフ〜!!んじゃそんなワケで、今日もお仕事頑張っちゃってね〜、スピカちゅわ〜ん!そんじゃまったね〜!」
「あ、はい!それでは・・・・・」

そうしてアルビレオは手を振りながら社長室に入って行ってしまった。
スピカはどんな映像が映っているのかと、プレゼントされたビデオテープを見ながら少しドキドキしてしまっていた。と同時にレグルスが1時間遅れてくる、ということに少し心配していた。
どうしたのだろうか?もしやまた体調を崩したりしてしまったのだろうか?だが1時間後にレグルスが来る。スピカは少しだけ今日のレグルスのお返しを期待しながら仕事を始めたのでした!

 

 

お昼休みに突入しました(笑)スピカは早めに昼食を終え、社内にあるビデオデッキにアルビレオからプレゼントされたビデオテープを入れて、「再生」ボタンをポチッと押した。
するとそこに映り出したのは・・・・・・?レグルスとラグリアに・・ミャウ?しかも何やら・・・ホワイトデーに関しての会話をしているようだ。

 

「義兄さん。一体、どうなさったのですか?」
「あぁ・・・・いや、レグルス。明日はホワイトデーだな・・・・それで、そなたはどのようなものを用意しているのかと思って・・・・」
「えっ!?」
「・・まさかとは思うが・・・・レグルス。その反応は・・・・・」
「すっかり忘れていたよ〜、義兄さ〜ん。あぁ〜、どうしよ〜!!!・・・・・もう、23時だよね〜・・・どこかのケーキ屋さんが開いているワケでもあるまいし・・・・・」

 

「うわ〜、何か大変だったんですね〜。23時って・・・うわ〜、もうよいこの皆さん寝てる時間じゃないですか〜。」

とスピカは独り言にしてはデカい独り言を言いながらテレビにかじりついていた(笑)
場面はレグルスがチョコレートケーキを作っている場面になった。

 

「ほぅ・・さすがだなレグルス。とてもコンビニだけの物で作ったとは思えぬ出来だ。」
「フフッ、まぁ・・・私が本気を出せばこんなものですよ、義兄さん・・・・・というか、むしろ思い出させてくれてありがとうございます、義兄さん・・・・これで私は、今年を乗り越えていけそうですよ・・・・」

とレグルスが言った所で、ミャウがレグルスの出来たばかりのチョコレートケーキに近付いていった。

「ミャウ。それを食べてはいかんぞ?」
「ミャ〜?ミャ〜ッ!!」

すると、ミャウがパクッとチョコレートケーキをおいしそうに食べているじゃないか!!スピカは驚いてしまうと同時に感動してしまっていた。

「わ〜。ミャウさんが食べてしまうほどおいしいんですね〜。レグルス課長は・・やっぱりスゴーイです〜・・・・」

さて、そんな所に当のレグルス本人がやってきたのだからたまったものではない(笑)

「!?スピカ!?そ、それは・・何を見ているんだい!?」

レグルスは完全に声が裏返ってしまっていた(笑)あまりに驚いてしまっていて、今あるこの光景が信じられなかった。

「あっ、レグルス課長〜。これ、アルビレオさんがホワイトデープレゼントだと仰って私に下さったんですよ〜。」
「ダアァァーーーーーーッッッ!!!!これは今すぐ停止、停止!!!」

そうしてレグルスはすぐにリモコンを持ち、「停止」ボタンをポチッと押し、更に「巻き戻し」ボタンも押した。

「あぁ〜、レグルス課長〜。もったいないです〜、せっかく課長の貴重なお姿が・・・・・」
「それはどうでもいいから!!!ところで・・・このビデオとやらはおまえだけがもらったのかな〜?スピカ。」
「えっ?あっ、え〜っと〜、そんなこともないみたいですよ〜?ほら〜、今もあちらでアルビレオさんがホワイトデープレゼントお配りしてますよ〜?」
「えぇっ!?」

と、スピカの指差した方を見てみれば、確かに女性社員に何だかプレゼントを贈っているアルビレオの姿が見受けられたので、レグルスはスピカの為にと持ってきたホワイトデープレゼントをその場に置くだけ置いてアルビレオの元に駆けていった。

「姉さん!!!これは、一体どういうことなんだい!?」
「ん?あぁ、何だ〜、レグルスじゃないのさ〜。どぉ〜?ホワイトデー楽しんでる〜?」

と、アルビレオは「ヨッ」と手を上げてレグルスに挨拶する。あまりにもいつも通りすぎるアルビレオの対応にレグルスはイライラしてしまった。

「それよりも!!!何なんだい姉さんこれは!!私の映ったビデオテープを女性社員にあげるなんて・・・」
「えぇ〜っ?だってあんたと社長のファン多いからさ〜、こっちも儲かるんだも〜ん。しかも、今回はタダなんだよ!?タダ!!!商いしてるこっちの身にもなってみてよ〜、全く・・・・・」
「商いって・・・姉さん、私や義兄さんの映っているビデオをこうして常に配っていたのかい!?」
「えぇ〜?何〜?イイでしょ〜、日常のあんたを見てもらってるんだよ〜?おかげでファンが増える増える〜。ンフフフ〜、このモテモテ男〜!!」

と言ってアルビレオは腕でレグルスにウリウリとしてくる。アルビレオに今ビデオをもらったばかりの女性社員は顔を赤くして嬉しそうにレグルスを見ている。
まさか社内でこんなことがあるなんて思わなかった。こんなの警察沙汰だ(笑)とレグルスは思ったが、一方で相手は自分の姉だ。今まで勝ったことのないこの姉を訴えて仮に裁判にかけたとして勝てるだろうか・・・・・・?何だか・・・とっても勝てなさそうな図がレグルスの頭の中で回り出す。

「・・・ねぇ、姉さん・・・とりあえず、そのビデオ配りやめてもらえないかな〜?」
「えぇ〜?そんなのヤだよ〜。だって商売なんだも〜ん!!それに、沢山の女の子達から新たなビデオのオファーきてるしね!!」
「はい〜!!私、いつも楽しみにしてるんです〜!!」

と、そこにいた女性社員は半ば興奮してレグルスにそう言ってきたものだから、レグルスとしてはたまったものではない(笑)

「・・・分かったよ、姉さん・・・姉さんの欲しいもの何でもあげるから!!だから頼むよ!!そのビデオ配りやめてくれないかい?」
「う〜〜ん・・・・んじゃ〜、10カラットの〜、1000万位のダイヤモンドくれな〜い?」
「へっ?」
「それにプラスしたついでに〜、おばけせんべい1年分と〜、後はそうね〜・・・ダイヤの原産地イギリス希望〜!!ついでに指輪加工はチャールズ氏(仮)にして欲しいんだけどな〜?」

とんでもない要望だった(笑)そんな多額をレグルスが出せるはずもないし、ましてダイヤモンドなんて恋人達の結婚指輪みたいじゃないか。
とてもそんな条件は飲み込めないのでレグルスは途方に暮れ、結局はアルビレオのビデオ配りを許すハメにまで陥ってしまうのだった・・・・・・(笑)

 

 

さて、1人取り残されたスピカはと言うと・・・・・?

「あっ、そういえばレグルス課長がこれ置いてっちゃいましたよね〜?もしかしなくても〜、これって今日のプレゼントですよね〜?・・・・うわ〜、開けちゃっていいのかどうか分かりませんけど・・ちょっと気になっちゃいますから・・・そっと・・そっと覗けば、きっと課長気付かないですよね!!」

ということで(笑)スピカは紙袋の中をそっと覗き込んだ。一番上には封筒らしきものが入っている。しかもそこに書かれている文字を見てみると・・・・「スピカへ」と書かれている。

「へっ?こ、これ・・・私宛て?」

スピカは驚いてしまってその封筒を慌てて取り出した。その中に手紙が入っている。スピカは急いでその手紙を見てみることにした。

 

「スピカへ。
ハッピーホワイトデー。おまえの為に、リクエストされていたチョコレートケーキを作ったよ。味はもちろん自信あるし・・・・私の手作りだよ。
バレンタインデーのチョコ、本当にありがとう。これからもよろしくね。

愛を込めて。レグルス」

 

「・・・レグルス、課長・・・・!!私の、為に・・・・?」

スピカは嬉しくて思わず涙が出そうになったが、社内で泣くなんてことも出来ず、すぐにブンブンと首を強く横に振って、何とか涙を流さないように努力した。
とにかくレグルスが自分の為に、本当にリクエストしたチョコレートケーキを作ってくれたのが嬉しくて。奇麗にラッピングされた箱をスピカは取り出した。
そこには1つのチョコレートケーキ。チョコのとてもいい匂いがスピカの鼻孔をくすぐる。ご丁寧にフォークが一緒に包まれていたので、スピカはありがたくそのチョコレートケーキをいただくことにした。
味は本当に文句なかった。とても某ガ○ナミル○チョコの板チョコとは思えないほど(笑)このチョコレートケーキの味はよく出来ていた。

「・・・とっても、おいしいです・・・・レグルス課長・・・ありがとうございます・・・!!私、本当に嬉しいです・・・・!課長が、私の為に、わざわざ・・・・!私も・・愛しています・・・!レグルス課長・・・!」

スピカはそう言って、半分涙ぐみながらレグルスの手紙にチュッと口付けた。

 

 

・・・・ヲチなし?(笑)とにかくとってもラブラブなレグルス&スピカだったのでした!!
あぁ〜、ハッピーバレンタイン&ホワイトデー!!!皆様にもステキな日がきますよーーに!!!

 

END.


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