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それから私とレグルスさんはレストランを出ました。最初お勘定の時に、レグルスさんが「奢るよ。」なんて仰ったものですから驚いてしまって、思わず店員さんが持っていた伝票を取り上げちゃった私だったんですけど・・・・結局レグルスさんにも妥協していただいて、割り勘になりました。 「ごめんね。おまえに気を遣わせてしまって・・・・」 えぇっ!?そそっ、そんな!ですけど〜、それ以前にレグルスさんはホストさんですから〜! 「いっ、いいんですよ〜、そんな!もし仮にレグルスさんと本当の恋人さんになっても、私、全額お支払いしたくて・・・・」 レグルスさんにそう言われて・・・・私、今までお付き合いして下さった方との思い出が、走馬灯のように一気に流れていきました・・・・確かに私は、ほとんど甘えていなかったかもしれません・・・・・ 「・・色々思い当たる節があるようだね、スピカ。」 ・・レグルスさんのお言葉が、ジーンと胸にしみました。そうですよね・・・人は1人で生きていくのは、とても難しいことですよね・・・・実際、今1人暮らしをしている私は、本当にそう思います。ですから・・・支えて下さる恋人さんの存在は、本当に大きいと思うんです・・・・ 「はい・・あの、レグルスさん。ありがとうございます!・・これからは、少し考え方を変えてみます。」 そう言って下さったレグルスさんは、本当に優しい笑顔で・・・・私、胸がとてもドキドキしています。レグルスさんのお優しさが身にしみるのはもちろん、レグルスさんのカッコ良さにクラクラです〜・・・・ 「はい。ありがとうございます!レグルスさん。あの、そしたら私も、何かレグルスさんのお力になれることをしたくて・・・・」 レグルスさん・・・・はい!それは私も、同じ気持ちです・・・・!前からレグルスさんはご指名したいと思っていましたけど、その気持ちが固まりました! 「はい!今度お店に行った時は、レグルスさんのこと・・ご指名させていただきますね!」 レグルスさんの素敵な笑顔が見れて、私も嬉しいです〜・・・って、あ!!もう1時半になろうとしてますね〜。そろそろ食料を買いに行かないと・・・・ 「はい!あ・・レグルスさん。それじゃあ私、食料の買い出しに行って来ますね!お昼をご一緒していただいて、本当にありがとうございました!」 ・・う、嬉しすぎです!本当に今日は何てラッキーな日でしょう! 「レグルスさん、ありがとうございます!あの、ここからすぐ近くのスーパーなので、よろしくお願いします!」 私がそう言って、レグルスさんと歩き出してすぐの時でした。ピロロロと電子音がすぐ近くで聞こえたかと思うと、レグルスさんが小さく「ごめん。」と言ってから電話に出られました。 「あぁ、もしもし?フフッ、元気だったかい?・・・あぁ、今日は空いているよ・・・・開店早々に、ね。分かったよ、待っているからね・・・・ん?悪いね、今は無理なんだよ。違うお客とデートしていてね。」 えぇっ!?えっと・・どうやらお電話内容を察するに、お相手は間違いなく女の方で、今日お店に行く際にレグルスさんにご予約を入れて、更に今おデートしないかってレグルスさんにお声をかけられたようですね〜・・・・えぇ〜っと。私もレグルスさんとご一緒していたいですけど、私とレグルスさんはたまたまお会いしたのでイイんですよ〜・・・・って、心の中で言ってもどうしようもないですね・・・・ですけど、私が代わってお電話に出る訳にもいきませんし・・・・ 「あの、すみません!レグルスさん。私のことなら気にせずに、今の方とお会いしても・・・・」 ・・そう考えると、私も事前にレグルスさんに予約を入れておかなければ、お会い出来なかったりしちゃうんでしょうか〜? 「えぇっと、ですけど。私とレグルスさんは、たまたまお会いしただけですし・・・・」 レ、レグルスさんにそんなこと言われてしまったら・・・私も、そう思わずにはいられなくなっちゃいますよ〜!と、いうか・・私は、ただレグルスさんがいらっしゃればいいなと思ってお店の近くに来ただけなんですけど・・・・ 「フフッ・・あぁ、スーパーはここかな?」 レグルスさんが余裕の笑顔を見せてます〜。こんな素敵な笑顔をずっと見てたら・・・私、本当に心臓の心拍数が上がったまんまになってしまいます!スーパーに着いて良かったです・・・・ 「レグルスさんは、本当に食べ物マニアさん!ですね。沢山お勉強になりました。」 と、私は冗談交じりに尋ねてみました。レグルスさんもそれがすぐに冗談だと分かったみたいで、すぐに笑顔を浮かべて下さいました。 「フフッ、そうだね。おまえのキス1回で1つの食べ物、なんてどうかな?」 わ、わぁ〜っ!本当に驚いてしまいました・・・・レグルスさん・・・そんなこと仰るんでしたら、私、本気でレグルスさんにキスしてしまいますよ〜?・・・・なんて、こんなカッコ良いレグルスさんを見ていると、自分からそんなことをする勇気が薄れてしまいますけど・・・・ 「す、すみません、レグルスさん!入れさせてしまいまして・・・・」 レグルスさんは笑顔でそう仰ると、そのまま袋を持って下さいました! 「あぁっ、レグルスさん!私が持ちます〜!」 そっ、そんな素敵な笑顔で言われてしまったら、ついお言葉に甘えたくなってしまいますけど〜! 「えぇっと、ですけど気にしちゃいます!私の荷物ですし、持たせて下さい〜。」 そうして、お互いに袋の手提げになっている部分を片方ずつ持ちました・・・・レグルスさんとこんな形でお傍にいることが、本当に嬉しくて・・ドキドキしてしまいます。こうして横から見ても・・レグルスさんは本当に色っぽくて、スラッとしていて、格好良いです・・・・ 「あ、あの、レグルスさん。今日はデートしていただいて、本当にありがとうございました!」 私が驚いてレグルスさんを見ると、レグルスさんは優しい笑顔を浮かべて下さいました。 「フフッ、もちろん冗談だけど・・・・おまえとは、またこうしてゆっくり会って、話がしたいね。おまえさえ良ければ、いつでも声をかけてくれていいよ。」 レグルスさんは、本当にお優しい方です・・・・こんなレグルスさんの優しさと素敵な笑顔に完全に負けてしまったのは、私のみならず、きっとレグルスさんのことを好きな皆さんがそうなんでしょうね〜・・・・本気で受け取ったらダメなんです。レグルスさんはお仕事だから、こうしてお優しくして下さってるだけで・・・・私は、必死に自分にそう言い聞かせました。 「あ・・はい。あの、ありがとうございます!レグルスさん。それでは、また・・・・」 えっ?何か、フワッとこう、とても暖かい心地良さを感じるんですけど・・・・あら?どうしてレグルスさんの黒いセーターが、こんな間近にあるんですか?って・・えぇっ!?ももっ、もしかして私!レ、レレ、レグルスさんの・・胸の中に・・・・!? 「・・本当は、お客にこんなことをしてはいけないんだけど・・・今日は、おまえの恋人代わりだからね。寂しそうな顔をしているおまえを、放っておけないんだよ・・・・」 レグルスさんはそう仰って、私のことを強く、優しく抱き締めて下さいました・・・・キャ〜ッ!!どど、どうしましょう!私、こんなことをされてしまったら・・・ますます、レグルスさんしか目に見えなくなってしまいます〜! 「レ、レグルスさん・・・・あ、あの。私なら、大丈夫です!寂しいですけど、またレグルスさんにお会い出来ますから!大丈夫です・・・・」 レグルスさんは、笑顔でそう言った私を、少し驚いた表情で見つめられました。 「また、お金を溜めたら、お店の方に遊びに行きます。その時は、レグルスさんをご指名するとお約束します!」 レグルスさんは優しく、温かくそう言って下さいました・・・・レグルスさんの為にも、お仕事頑張らないとです!この連休が終わったら、お仕事に精を出しましょう!レグルスさんにお会いする為に・・・・・ |