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「おい、スピカ。レグルスは今日時間が取りにくい。どうせ今日は俺がおまえをここに連れてきたんだ。今日のおまえのメインの相手は俺だ。いいな?」 キャ〜ッ!そっ、それは全然構わないんですけど〜。それより「噂」って何なのか気になります〜!ですけど私は、その疑問よりこの男性さんへのお返事が自然と出てきました。 「あ・・はっ、はい!」 そうして私は、このサングラスの男性さんと共に沢山のテーブルを通り過ぎて行きました。あっ・・前回来た時同様、お客さんが沢山いらっしゃってて活気付いてますね〜・・・・と、思っている内に到着したようです。 「適当に寛げ、スピカ。」 ・・「適当に寛げ」って、座るだけなんですが・・あら?私、少し距離を置かれて座られてませんか? 「あぁ、そういえば自己紹介がまだだったな。俺はアトラスだ。今日おまえをここにナンパしてきた以上、ずっと相手をするから・・・よろしく頼むぜ?スピカ。」 アトラスさんはそう言いながら、私のすぐ隣に来て座って下さいました。この方が、嬉しいですよね! 「あ・・はい。そうです。」 あっ、そうだったんですか〜・・・・そういえば、プレアデス先輩と初めてここに来た時も、先輩がレグルスさんに「真ん中に来て。」と仰ってから真ん中に座られましたよね?レグルスさん・・・・なるほど、納得です。 「あ・・はい、分かりました。あの、教えて下さいまして、ありがとうございます!」 えっ・・・・?あの、どうしてそのことをアトラスさんがご存知なんでしょうか・・・・?私は心の中で疑問に思いながらも、その疑問をアトラスさんに言うことなく普通に返事をしました。 「あ・・はい、そうです。」 えぇっ!?ど、毒されたって・・・・ですけど、レグルスさんの魅力の虜になってしまったのは確かなんですよね〜・・・・私にとってのレグルスさんは、とても大きい存在です。 「あ・・多分、そうです・・・・レグルスさんは、とても魅力的な方なので・・・・」 せっ、宣言されてしまいました!と、言うか・・・改めてよく拝見すると、アトラスさんは本当に格好良い方です。お顔だけで判断してはいけませんけれど、ここのホストの皆様って、本当に美形な方ばかりですよね〜・・・・って、ちょっと待って下さい。今はアトラスさんだけですけど、後からレグルスさんも来て下さるんですよね?・・その内、皆様のあまりの素敵さにクラクラしてしまうかもしれません・・・・ 「ハハハハハッ!!いいな、おまえのその顔!鳩が豆鉄砲くらった顔そのものだぜ!・・っと、それより。そろそろ一杯どうだ?スピカ。」 そうして相変わらずメニュー表を見せられてしまった私だったんですが・・・・すみません。お酒飲めないんです〜・・・・ 「そういや〜、おまえ初めて来た時何飲んでったんだ?」 す、すごい勢いでアトラスさんに驚かれてます〜!でも、無理もないです。このメニュー表、ウーロン茶の名前が書かれていませんから・・・・あの時はレグルスさんがすぐに気遣って下さって、それでウーロン茶にして下さったんですよね。 「あ・・はい。すみません!私、お酒飲めないんです・・・・」 そうしてアトラスさんはヘルプの電話を入れていたんですけど・・・・丁度アトラスさんがその電話を終えてからこちらにやって来られたのが、お待ちしていたレグルスさんでした! 「やぁ、スピカ。失礼するよ。遅くなってしまってごめんね。」 なっ、なな、何ですか〜!?それ〜!?と、いうか・・・・レグルスさん、そんな楽しそうな笑顔を浮かべて仰られても、かえって困ってしまいます〜! 「フッ、レグルス。最近の俺は、そう簡単に手出しはしないぜ?むしろおまえがスピカを襲いかねん。この間は、いきなりスピカに顔を近付けたんだろう?おまえの方が余程危険じゃないか?」 そうしてレグルスさんはお座りになられたんですけど・・・・あ。確かに私と距離を置いて座ってますね、レグルスさん・・・・寂しいです〜。 「そっ、そんな・・・・あの、それより。お傍に来ていただけませんか?レグルスさん。」 レグルスさんって・・・本当に、どうしてこんなに余裕があるんでしょうか?その余裕ある微笑が、とても素敵でカッコ良くて・・・・自然とレグルスさんに目がいってしまいます〜・・・・ 「それじゃあ、スピカ。いただくよ。今日も可愛いおまえに乾杯。」 そうしてお2人と乾杯して、一口ウーロン茶をいただきました。あ・・レグルスさんも合わせてウーロン茶飲んで下さってますけど、大丈夫でしょうか・・・・とても申し訳ない気分です〜・・・・ 「・・ごめんね、スピカ。本当はもっとおまえの相手をしていたい所なんだけど・・・・今日は私を指名してくれているお客が多く来ていてね、またすぐに別のテーブルに行かなきゃならないんだよ。今度来てくれる時は、おまえの為に時間が取れればいいね。」 私が笑顔でそう言うと、レグルスさんのみならず、アトラスさんもとても驚いた表情をして私を見てました。 「・・レグルス、よぉーーっく分かったぜ。おまえがスピカに顔を近付けた背景の裏をな・・・・」 ・・そう仰っていても、レグルスさんは相変わらず余裕です。どうしてこんなにカッコ良いんでしょうか、レグルスさんって・・・・ 「フッ・・スピカ、レグルスのことを心配することはない。確かにおまえに酔ってるようだが、余裕あるぞ〜?こいつ〜。」 アハハハハ。まさか、そんなことはないですよ〜、レグルスさ〜ん・・・・と、私は心の中だけで突っ込みを入れました。 「誰がんなことするか。むしろおまえの方が、俺に妬いてんじゃないのか?フッ、もっと妬かせるようなことを言おうか?レグルス。今日は、俺がスピカをこの店に連れてきたんだぜ?」 た、確かに最初は怖かったですけど・・・・今は、アトラスさんがとても良い方だと分かったので・・・・でも、少し怖いかもしれません・・・・ 「あ・・はい。ちょっとだけ、怖かったです・・・・」 ちょっと待って下さい。元経営者って、どういうことですか!?アトラスさんが・・ってことですよね!? |