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「おや?まだスピカに言ってなかったのかい?アトラス。」 そうだったんですか〜。今もそのお店ってあるんでしょうか?・・・実はとてつもなくすごい方だったんですね〜、アトラスさん・・・・ 「・・くだらん話はいい、レグルス。それより、そろそろ時間じゃないのか?レグルス。次のテーブルに行ってやれ。」 レグルスさんはそう仰ると、ウーロン茶を一気に飲みました・・・・行ってしまうんですね、レグルスさん。寂しいですけど、また会えますよね! 「あ、あの、レグルスさん。今日は、ありがとうございました!これは・・今日のチップです。」 私はそう言って、慌てて小さな袋にチップを入れてレグルスさんに差し出しました。レグルスさんは驚きながらもそれを受け取って下さいました。 「あぁ・・ありがとう、スピカ。何もしていないのに、悪いね・・・・」 レグルスさんは私にそう仰ってから一旦背を向けられたのですけど、最後にこちらを振り向いてアトラスさんにそう仰いました! 「フッ。分かってるさ、レグルス。おまえの大事な客だからな。」 アトラスさんのそのお返事を聞いて、レグルスさんは少し複雑な顔をされたんですけど、すぐに笑顔になられて私に手を振って下さいました。それからすぐに移動されてしまって・・・・本当に、お忙しそうです。レグルスさん・・・・ 「・・・おい、スピカ。」 ・・アトラスさんに呼ばれると、とてもドキンと緊張してしまうのはどうしてでしょうか?・・まだ少し、アトラスさんに怖さを持ってしまっているようです、私。 「・・おまえ、レグルスのこと見てどう思った?ありゃマジだぞ。」 私はよく分からなくて、アトラスさんの瞳を覗き込んでそう尋ねました。サングラスをかけていらしても、アトラスさんの瞳がよく見えるサングラスなので・・・アトラスさんが複雑な表情をなさっているのがよく分かります。 「・・・・おまえ、鈍感か?」 ウッ!!自分で認めたくはないんですけど・・・・とろくさい部分があるのは確かですし、実際色んな方からそう言われてますので、そうなんでしょうね〜・・・・ 「はい・・そう、みたいです・・・・」 私は一旦お話を打ち切って、チラッとアトラスさんを見ました。アトラスさんは長い足を組んで、椅子に腕を寄りかからせて私の方を見てくれてます。 「ん?どうした、スピカ。俺の顔を見てる暇があるなら、早く続きを話せ。」 さ、催促されてしまいました〜!そそ、そうですよね・・・・ですけどちょっと、話しづらいんですよ〜・・・・と、私は心の中で少し文句を垂れてから言いました。 「あ、はい!えっと・・・・実は、私。色んな男性さんと、お話してみたいと思ってて・・・・そのことをプレアデス先輩に相談したら、こちらに行こうということになったんです。」 アトラスさんは私の話を聞くと、呆れた表情をなさってそう仰いました。 「えぇっ!?そ、そうですか!?」 す、鋭いですね〜、アトラスさん・・・・ホストさんには、分かってしまうものなんですね〜。 「は、はい。最終的には、そういうことになると思います・・・・」 お願いですから、冗談だと仰って下さい〜!!わ、私は一応、レグルスさんのことが気になっていますし・・・・ 「ハハッ。確かに冗談も入っているが、半分は本気だぜ?ナンバーホストのみならず、オーナーまで関心のある女となれば俺も興味がある。しばらく楽しませてもらうから、覚悟しておくんだな。」 ええぇぇっ!?そっ、そんな・・信じられません〜!!え、えぇ〜っと。こういう場合はどう言えば良いのでしょうか? 「あ・・あの、アトラスさん?私は、これでも真剣に考えてまして・・・・」 アトラスさんはそう仰って、前髪をかき上げられながらウーロン茶を飲まれました。 「・・はい・・・・あの、アトラスさん。私、頑張ります!アトラスさんに、いつか認めてもらえるように・・・・」 べ、別に!そういう訳ではないと思いたいです、ハイ・・・・ですけど、どうして100%否定出来ないんでしょうか、私・・・・アトラスさんも、レグルスさんに負けず劣らず、とても魅力的な方だからでしょうか? 「えぇ〜っと。多分、そうじゃないと思いたいです・・・・」 私がそう言うと、アトラスさんは軽く頷いてこう仰いました。 「それなら、本気と冗談の区別を知っておけ。さっき俺が言ったようなことは、鼻で笑い飛ばせばそれでいい。おまえみたいな真面目な人間だけがこの世にいるんじゃないってこと、よぉ〜っく分かっておくんだな。」 ・・・アトラスさん・・・・そう、ですね・・・仰っていることが、とても的を射てると思います・・・・ 「・・はい、アトラスさん・・・・分かりました。あの・・ありがとうございます!」 私がウーロン茶を飲み終えようとしていた時に、アトラスさんがそう仰ってウーロン茶を入れて下さいました。 |