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「・・私は、アトラスさんのことをご指名します!」

私がそう言うと、皆様の反応は色々でした。特にご表情を変えなかった方もいらっしゃれば、とても驚いた方もいらっしゃって・・・・
自然とアトラスさんを見ると、アトラスさんは少し複雑な表情をしていらっしゃいました。ウッ・・まさかご迷惑だったでしょうか?思わず不安になってしまった私だったんですけど、アトラスさんは微笑んで下さってから、私のすぐ近くに来て下さいました。

「これは驚いたぜ、スピカ・・・1つだけ聞くが、後悔しないだろうな?」
「えっ?」
「ここに初めて来た時、アルビレオから聞いた筈だな?永久指名制度の話を・・・」
「あ・・それは、はい。」

私が返事をすると、アトラスさんから突然微笑みが消えていました!えぇっ!?な、何かアトラスさんが怖いです〜!!

「・・それでも、俺を指名するのか?」
「あっ、あの・・アトラスさんにとってご迷惑でしたら、その・・・・!」
「俺はおまえの考えを聞いてるんだ、スピカ。俺の都合は関係ないだろ?・・・もう1度聞く、スピカ。後悔しないか?」

アトラスさんのご表情は、真剣そのものでした。ですから私も気持ちをグッと強く持って、真剣にアトラスさんに答えました。

「後悔しません。自分で決めたことを後悔したくないですし、私・・・アトラスさんのことを、信じています。」

私がそう言うと、アトラスさんは最後まで真剣に私の言うことを聞いて下さってから一転して笑顔を見せて下さいました。

「ハハハハハハッ!!やっぱりおまえは面白い女だな、スピカ。そこまで信頼されてるとは思わなかったぜ!!だが、悪い気分ではないな・・・・これからよろしく頼むぜ?スピカ。俺を指名したからには、損させないと約束しよう。」
「は、はい・・・!こちらこそ!よろしくお願い致します、アトラスさん!」

よ、良かったです!アトラスさんが承諾して下さいました〜!!思わず嬉しくなってお辞儀をしてそう言うと、レグルスさんも笑顔で私とアトラスさんを歓迎して下さいました。

「フフッ・・これからは、おまえと2人でスピカのお相手、か。お手柔らかに頼んだよ、アトラス。」
「フッ・・言ってくれるぜ、レグルス・・・・まぁ、いい。俺とおまえがタッグを組むからには、最高の時間を提供しないとな?」
「もちろんさ。スピカ、これからは私とアトラスの3人で仲良く楽しもうね。」
「は、はい!!改めてよろしくお願い致します!レグルスさん、アトラスさん。」

私はお2人にお辞儀してそう言いました。そうして顔をあげたら、目の前にはレグルスさんとアトラスさんの素敵な笑顔があって・・・・わ、私、幸せです〜・・・・!

「おまえは本当に礼儀正しいね、スピカ。こちらこそ、よろしく。」
「そんなに頭ばっか下げなくてイイんだぜ?スピカ。もっと砕けろ、いいな?」
「あ・・は、はい・・・・」

く、砕けろ、ですか?それはとても難しいような・・・・

「おいおい、それが砕けたヤツの返事かよ〜。」

アトラスさんがそう仰ったのをきっかけに、私も含めた皆さんで楽しく笑い合いました。それから拍手して下さったのはアルビレオさんでした。

「はぁ〜い、スピカちゃ〜ん!おんめでと〜!!これでスピカちゃんのご指名ホスト登録完了〜♪ってワケで〜、2人からケータイ番号とメルアド聞いといてね〜?」
「えっ?番号とアドレスですか!?ま、待って下さい!えぇ〜っと、紙とペンを・・・・!」

私は慌ててバッグの中を漁りました。いつも小さい手帳とペンを入れているのですけど、こんな肝心な時に限って見つからないなんて・・・ウゥ〜ッ。あせってしまっているからでしょうか?冷静に、冷静に・・・・

「スピカさん、大丈夫ですか!?あの、俺でよければお手伝いしますよ?」
「あ・・すみません、リウスさん。ありがとうございます!」

そうしてリウスさんは「失礼しま〜す。」と仰ってから私の鞄の中をご一緒に探して下さったのですけど・・・そこでプレアデス先輩に言われてしまいました。

「んも〜う、あなたまだケータイ買ってないの〜?このご時世にあなたみたいな子がケータイ持ってないなんてあり得ない話よ〜!?これを機に、ケータイ買ったらどう?」
「ウゥッ・・ですけど私、機械音痴で・・・・」
「・・そういえばあなた、皆がパソコンで仕事してる中電卓で頑張ってるわね・・・・」
「は、はい〜。あの、すみませんリウスさん。ご一緒に探させてしまいまして・・・・」

私がそう言うと、リウスさんはすぐにブンブンと首を横に振って下さいました。

「そんなことないですよ〜!!でも、本当にそれらしい物がないですね。俺、物探すの得意なのに・・・・」
「良い、スピカ、リウス。今ミザールに紙とペンを持って来させている。後で手帳とやらを探し出した時に写せば良い。」

ラグリアさんがそう仰って下さいました。ウゥッ、早くも皆様にご迷惑おかけしてしまった私って一体・・・・

「は、はい・・・すみません、ラグリアさん。」
「構わぬ。困っているそなたを放っておけぬのは当然だろう・・・・あぁ、ミザール。持ってきたか?」
「あぁ・・・・これ、スピカ。」
「あ・・ありがとうございます!ミザールさん!」

そうして私は、奥からわざわざ紙とペンを持ってきて下さったミザールさんにお礼を言いました。た、助かりました〜・・・・ということで、私はレグルスさんとアトラスさんのお傍に行って、携帯番号とメールアドレスをメモさせていただきました。お2人とも携帯電話持っているお姿まで様になっていて、とっても素敵です〜。
私はお2人の携帯番号とメールアドレスをメモさせていただいてから感動してしまいました。あぁ〜・・・これでいつでもレグルスさんとアトラスさんのお2人とは連絡を取れる状態になるんですね〜。何だかこのお店と、そしてお2人とつながってる感じがして嬉しいです。

「それにしても、おまえが携帯持ってないなんて意外だね。おまえに毎日ラブコール出来ないのが痛いかな?」
「えっ?えぇっ!?レグルスさん!?」

ど、どうして楽しそうな笑顔でそんなことをサラッと仰るのでしょうか〜!?レグルスさんを見ていると、本当にドキドキしてしまうばかりです・・・・

「ハハハハッ!レグルス。おまえ、いつもそうやって客落としてんのか?タチ悪いな〜。」
「おまえほどじゃないさ、アトラス。」
「言ってくれるな、レグルス・・・・っと、そんな話はともかくとしてだ。スピカ、おまえがケータイを持ってないとなると、俺とレグルスはおまえの自宅電話番号を知るコトになるんだが、それでイイのか?」

アトラスさんにそう言われて、私は思わずドキンとしてしまいました。じ、実は私、自宅の電話って滅多に使わずに放置したままなんですよね〜・・・・電話が嫌いな訳ではないのですけど、かなり疎遠気味になってしまっていて・・・ちゃんと反応出来るか心配ですけど・・・・それは、私の心がけの問題ですよね!
私はこれから自宅の電話が鳴ったら出来るだけすぐに出ようと心の中で決めてから、コクンと頷いて返事をしました。

「は、はい。構いません・・・えぇ〜っと、私の家の番号は・・・・」
「あぁ、ここでは言わなくていいよ、スピカ。おまえの個人情報はミザールやリウスに知られてはいけないからね。後でアルビレオから聞くよ。」
「えっ?アルビレオさんに?」
「覚えてないのか?おまえ。初めてここの会員になった時、色々と個人情報書かせられたろ?」

あっ・・・・!!アトラスさんに言われて、私はすぐに思い出しました。

「はい!書きました。」
「そういう訳だから、心配しなくていいよ。暇な時は私かアトラスがおまえの家に電話すると思うから、相手をしてもらえると嬉しいね。もちろん、おまえから私たちに連絡をくれるのはいつでも大歓迎だよ。これからは言ってくれれば店が終わった後アフターにも付き合えるし、店に来る前にデートするのもいいし・・・おまえと一緒に過ごせると思うと楽しみだよ、スピカ。」
「フッ・・いつになく乗り気だな、レグルス。そんなワケだ、スピカ。遠慮することはないぜ?あぁ〜、それからおまえ、そこら辺のOLなんだろ?一番苦労するのが金だと思うんだが、金がなくても取り敢えず会いたけりゃ〜俺たちに連絡よこせ。特にレグルスは金が有り余ってるからな、無料奉仕してくれるだろうよ。」

えぇっ!?む、無料ですか!?い、いいんでしょうか?私が驚いてレグルスさんを見ると、レグルスさんは苦笑していました。

「うぅ〜ん、無料はさすがに厳しいかな?そうだね、よっぽとお金がないようなら1000ゴールドで手を打ってあげないでもないけど・・・無料だけはやめてね?スピカ。もちろん、おまえはそんな変な甘え方はしてこないと信じてるけど・・・・」
「ケチだな〜、レグルス。毎月1000万軽く超す給料もらってるクセによ〜?」
「あのね〜、アトラス。あくまでそれは推定だろう?おまえだって他のホストに比べれば良い額をもらってるんじゃないかい?何と言っても、おまえは昔から有名なホストクラブのオーナーなんだからね。」
「フッ、おまえとは雲泥の差だぜ?レグルス・・・・ま、そんな所だスピカ。他に質問はあるか?」

し、質問ですか〜!?う、うぅ〜ん。突然そんな風に言われても困ってしまうんですけど・・・・私は思わずラグリアさんやミザールさん、リウスさんの方を見てからお2人に尋ねました。

「あの・・もう、ラグリアさんやミザールさん、リウスさんとお話することも出来ないんですか?私、それは悲しくて・・・・」
「まさか、そこまで制限しないさ。指名することは出来ないけど、プレアが一緒ならミザールもおまえと一緒にいることになるし・・・リウスなら受付にいることの方が多いんじゃないかな?」
「はい!!俺、受付にいま〜す!!よければ声かけて下さいね〜!!」

リウスさんが笑顔でそう言って下さると、ミザールさんも優しく微笑んで下さいました。

「・・プレアと一緒の時はよろしく、スピカ。あんたの面倒そんなに見れないと思うけど、一緒にいることに変わりないから・・・」
「は、はい。ミザールさん・・・よろしくお願いします。」

私がそう返事をすると、ラグリアさんがコクンと頷いて下さいました。

「私は裏にいることが多い故、あまりこちらに来れぬが・・・何かあったら、いつでも私とアルビレオを呼んでくれて構わぬ。そなたの力になろう。」
「そだね〜!スピカちゃ〜ん、これからもウチでめいいっぱい楽しんじゃってよ!!あたし達、スピカちゃんが来てくれるの楽しみにしてるからさ!!OK?」
「は、はい!ありがとうございます!お世話になります。」

私がお辞儀してそう言うと、プレアデス先輩が私の肩にポンポンと手を置いて下さいました。

「ウフフフッ、スピカ!!あなたがアトラス指名してくれて嬉しいわ〜!!あたし、昔アトラスに片思いしてたのよ〜?もう1回アプローチしちゃおうかしら!」
「ハハハハハッ!!言ってくれるぜ、プレアデス。そんな昔の一時的な思いを再燃させてどうするよ。」
「別にイイじゃな〜い!!たまには昔の想いも必要なのよ!!今度スピカと一緒に来た時は世話になるからね?アトラス!!それじゃ、帰りましょ!!ミャウちゃんにもこのコト報告しなきゃ!」

えぇっ!?ミャウさんにですか!?こ、言葉が通じるんでしょうか?ですけどノリノリのプレアデス先輩を信じないのも複雑ですし・・・
そんなことを考えつつ、私とプレアデス先輩は改めて皆さんにご挨拶して別れました。皆さん笑顔で手を振って下さってとっても嬉しかったです〜。
それからミャウさんのいるカウンターの所に先輩と2人で行きました。ミャウさんはとてもご機嫌良さそうに「ミャ〜。」と鳴いていらっしゃいます。

「ミャウちゃ〜ん!!はぁ〜い、イイ子ね〜!!」
「ミャ〜ッ!!」

プレアデス先輩がミャウさんを抱き上げると、私の方にミャウさんを下さいました!

「ほら、スピカ。ミャウちゃん抱いてみなさい!」
「あ、は、はい!失礼しま〜す、ミャウさん・・・・」
「ミャ〜ッ!」

私は一応断ってから先輩からミャウさんを受け取るような形で抱きました。キャ〜、毛がフカフカしてて暖かいです〜。ホワホワしていて、何だか離したくなくなってしまいます・・・

「ほら、スピカ。ミャウちゃんに誰をご指名することになったのか言ってみなさいよ!」
「は、はい。あの、私・・・これから、レグルスさんとアトラスさんをご指名させていただくことになりました。ミャウさんも改めまして、よろしくお願いします。」
「ミャ〜ッ!!」

ミャウさんは、まるでお返事をされたかのように甘く鳴いて下さいました。な、何だかよく分かりませんけど、警戒とかされている感じではなさそうなので良かったです。

「ン、OK!ミャウちゃん嬉しそうよ?でもこれでミザールかラグリアを指名することになったら、もっと嬉しがってたかもしれないわね!」
「そうなんですか?」
「だってあの2人のペットなのよ〜?この子。無理もないじゃない!あ、でもミャウちゃんはここにいるホストの子皆好きみたいだけど。あたし達のこともこれからますます好きになってね〜?ミャウちゃ〜ん?」
「ミャ〜ッ!!」

プレアデス先輩がそう仰ったら、ミャウさんは嬉しそうに鳴いて下さいました。ミャウさんにも歓迎されているようで、私は幸せです。

「ウフフッ!それじゃ、行きましょうか!スピカ。」
「はい!ミャウさん、また来ますね。」
「ミャ〜ッ!」

そうして私と先輩は「Shooting Star」を出て、お互いにタクシーを拾って家路に着きました。さすがに今日すぐにお2人から電話がくることはないと思うんですけれど、それまで疎遠気味だった自宅の電話をつい眺めてしまいます。

「・・レグルスさん、アトラスさん・・・私、待ってます。お2人からのお電話を・・・・私も何かあった時は、お2人に連絡しますから・・・よろしくお願いしますね・・・・」

私はそう呟いてから、パジャマに着替えてベッドの中に入りました。微妙に電話ばかり見てしまってなかなか寝付けないんですけれど・・・私、本当に嬉しいんです。これからは、レグルスさんとアトラスさんと一緒にいれるんですよね・・・・!お2人と、素敵な思い出が沢山紡げますように・・・・私はそう思いながら電話を見つつ、自然と目を閉じて眠りました。
お休みなさい・・・・お休みなさい。レグルスさん、アトラスさん・・・・・・


  

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