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翌日。私はアトラスさんの腕の中で目が覚めました・・・・アハハ。昨日は結局、このホテルでアトラスさんと一緒に過ごしちゃったんですよね・・・・

まさか、あんな形でアトラスさんとこんな関係になるなんて思ってなかったですけど・・・アトラスさん、まだ寝てらっしゃいます。こんなに間近でアトラスさんの寝顔見られるなんて、多分とっても貴重です〜。
アトラスさん、静かに寝る方なんですね・・・かすかな寝息しか聞こえないです。その・・また変な話をすると、前に私とお付き合いしてた方はいびきがひどくて、隣で寝ていられなかったものですから・・・何だかちょっと不思議な気分です。
このまま動いたら、きっとアトラスさんを起こしちゃいますよね?と思って私はジッとアトラスさんを見つめてみたり、再度寝ようかと思って目を閉じてもやっぱり寝られなかったり・・・という繰り返しをしてたんですけど、目に付いたのはアトラスさんのしてらっしゃる金のネックレスです。
奇麗なネックレスですよね〜。どこかのブランド品なんでしょうか?アトラスさんにとてもよくお似合いです。ですけど、普段は分かりにくいですよね?こんな素敵なネックレスなら普通に見せても良いのに、どうしてでしょうか?
そうして色々アトラスさんのことを考えていたら、少し動いてしまったんでしょうか?アトラスさんが反応を見せました。

「ん・・・何だ?」
「あ・・すみません、アトラスさん!起こしてしまいましたか?」
「あぁ・・・いや、むしろ起こして欲しかったんだが・・・」
「えっ!?」

私が驚くと、アトラスさんは少し眠そうにしながらもいつもの格好良い微笑を見せて下さいました。

「今、何時だ?」
「えっと・・朝の7時です。」

ホテルの中にある電子時計が7時を告げてました。アトラスさんは私を抱き締めて下さってた手を離して、一気に半身を起こされました。

「フゥ〜・・・・」

・・アトラスさん、何だか疲れてらっしゃる感じです・・・・私のせいでしょうか?

「あ、あの・・アトラスさん。大丈夫ですか?」

ウゥッ。こんな時に気のきいた言葉が思い付かない私はダメですね・・・・色々、考えてはいるのですけど・・・

「・・スピカ。俺に優しくするな。」
「えっ!?」
「昨日俺に襲われて、よくそんな態度でいられるな。少しは俺を憎め。」
「・・一応、アトラスさんのしたことは、許せないと思ってますよ・・・?」

これは、私の本音です。ですけど、過ぎてしまったことはどうしようもないじゃないですか・・・・
それに・・アトラスさん、痛いことは全然なさいませんでした。もっとひどいことをされるかと思いましたけど、それもありませんでしたし・・・何だかんだ言って、アトラスさんはお客さんは丁寧に扱って下さる方なんじゃないでしょうか?

「あぁ、それでいい。それよりスピカ、先にシャワー浴びておけ。」
「あ・・は、はい。それじゃあ、失礼します・・・・」

アトラスさんって、よく分からないです。とても優しい方だと感じるのに、いきなり冷たく突き放されたり、私の想像していない行動に出たり・・・・どれが本物のアトラスさんなんでしょうか?
私は色々迷いながら、朝のシャワーを浴びました。ウゥッ・・昨日、突然あんな形でアトラスさんと関係を持ってしまったことで体が少し変かもしれません・・・・えっと、刺激が足りないというか・・・望んで良いのでしたら、もう1回したい、なんて思ってしまって・・・・
ウゥッ。でもこんなこと、アトラスさんにはとても頼めないです・・・それに私、セックスフレンドとかには興味ないですし、第一アトラスさんはホストさんですよ!!
何だか色々考えると憂鬱です。やっぱり、昨日アトラスさんとあんなことをしてしまったことが自分でも信じられなくて・・・私、もっと抵抗すれば良かったんでしょうか?
私、どうすればいいんでしょうか?1人で考えても何も浮かばなくて・・・心が「寂しい」って言ってる気がします・・・・
結局それから何も考えられなくなってしまって、私は暗い気持ちでアトラスさんのいる所に戻りました。それからアトラスさんがシャワーを浴びに行ってしまったのですけど・・・・ウゥッ、何だか気まずいです〜。ですけど、取り敢えずいつも通りの私でいればイイですよね!
私はポジティブに考えて、気持ちを入れ替えました。日の光も暖かいことですし、今日1日何とか頑張っていけそうです!
そうして私が小さくガッツポーズしてたら、アトラスさんが前髪をかき上げられて私のことを少し驚いて見てました。わっ、さすが男性さんはシャワーが早いですね〜。

「・・何やってるんだ?おまえ・・・」
「あっ、アトラスさん・・・・」
「フッ・・面白いことをするな、おまえは。気合いでも入れてたのか?」

アトラスさんは着替えながらそう仰いました。あ、サングラスかけられちゃうんですね。もったいない・・・・

「あ、はい。そんな所です。」
「そうか・・・それじゃ、そろそろ行くぜ。家の前まで送ってやる。」
「あ・・はい、ありがとうございます!」

そうしてホテルの代金もアトラスさんが支払って下さって、私とアトラスさんは朝帰りしたんですけど・・・アトラスさんと何もお話しないのはちょっと居心地が悪かったので、私はアトラスさんに話しかけました。

「あの。アトラスさんにとって、ホストさんはやっぱり大変な職業ですか?」
「ん?どうした、スピカ。おまえらしからぬ質問だな。」
「そ、そうですか?ですけど、今日起きたばかりのアトラスさん、つらそうになさってたので・・・・」
「・・・そんなことはない。朝はいつもあんなもんだ。」

そうなんですか?そしたらちょっと怖いかもです・・・・

「そ、そうですか・・・」
「それより、おまえの質問の答えだが・・大変だと感じるのは、職業より客との人間関係だな。」

わぁっ。何だかとてもリアルなお答えをいただいてしまいました・・・・

「あ・・な、なるほど・・・・」
「何でも付き纏ってくるのは人間関係だ。おまえも覚えておくといいぜ?」
「・・は、はい・・・」

そういえば、アトラスさんは「客泣かせホスト」さんと呼ばれてるんですよね?そうしたら更に人間関係が複雑そうです。あ・・昨日私にあんなことをしたのも、それが理由なんでしょうか?・・ですけど私、泣くことはしなかったような・・・・
もしかして、アトラスさんが朝に私を急に突き放したのは、私に泣いて欲しかったからなんでしょうか?うぅ〜ん・・・・

「・・急に静かになったな。レグルスのことでも考えているのか?」
「ちっ、違いますよ〜!」
「フッ、別に隠す必要ないだろうが。おまえがレグルス狙いなのは分かっているんだからな。」

ウッ・・そういえば、アトラスさんは確かにご存知なんですよね。ですけど、それならどうして昨日あんなことをなさったのでしょうか?うぅ〜ん・・・・

「あ・・は、はい・・・」
「・・店の連中は、本当におまえを気に入ってるやつが多いぜ?いつでも遊びに来い、待ってるからな。」
「は、はい・・ありがとうございます!あの、ところで・・お店には、差し入れみたいなものを持っていってもいいんですか?」

初めて「Shooting Star」に行った時、プレアデス先輩がミャウさんにリボンを差し上げていましたよね。その内お店に行くことがあれば、何か持っていきたいと思っていたんです。

「あぁ、構わん。特にレグルスは、おまえからの差し入れなら何でも喜ぶだろうよ。」
「えっ?そ、そうですか?」
「あぁ、あいつは本当に女と酒が好きなやつだからな。」

アトラスさんは、そんな感じでレグルスさんのことを見てらっしゃるんですね・・・・

「レグルスさん、お酒好きなんですか?」
「あぁ・・でもあいつは量より質で物を見るやつだ、差し入れるならまともに飲めるものを持ってくことだな。」

な、なるほど。お勉強になります・・・

「分かりました!覚えておきます。あの、アトラスさんは差し入れ何がいいですか?」
「俺か?フッ、おまえの体でいいぜ?」
「!ア、アトラスさん!?」
「ハハハハハハッ!!今のおまえの顔、なかなか良かったぜ!」

ウッ、アトラスさんに笑われてます〜!もしかしなくても、これは・・・・

「・・アトラスさん。私のことからかいましたね?」
「そうでもしなきゃつまらんだろうが。」
「・・分かりました。アトラスさんには何も持っていきませんからね?」
「構わん、好きにしろ。」

ムゥ〜ッ。アトラスさんのこの余裕ぶりを何とか打ち砕いてみたいですけど、私には無理そうです・・・
そういえばアトラスさんには、私以外にも沢山のお客さんがいらっしゃいますよね?そう考えると、貢ぎ物とかには苦労してなさそうです〜。

「・・一応、お聞きしますけど・・・アトラスさんは、何がお好きなんですか?」
「フッ・・俺には持っていかないんじゃないのか?」
「それでも聞いておきたいんです!やっぱり、レグルスさんだけというのは不公平なので・・・」
「・・物好きな女だな。俺は食べる物より着飾る物を希望するぜ。」

着飾る物、というと・・・・

「えぇ〜っと・・アクセサリーとかですか?」
「そうだ。だが、おまえはそこら辺のOLだろう?俺に構わず、レグルスの分だけ持ってけば良い。」

ウッ。ひどい言われようですけど、アトラスさんなりに気を遣って下さってるのでしょうか?

「・・そういえば、アトラスさんの付けているネックレス、高そうですよね。」
「ん?あぁ・・そうだろうな。」

あら?思ったより反応が鈍いのはどうしてでしょうか?と私が驚いている間に、家の前に着いてしまいました!何だかアトラスさんの反応の鈍さが気になってしまいましたけど、私はすぐにアトラスさんにお礼を言いました。

「あの、本当にありがとうございました!わざわざここまで送っていただいてしまって・・・」
「構わん。また時間が合いそうなら出かけても良いぜ?」
「はぁ。エッチなことしないんでしたら・・・」
「フッ、それはその時の状況によるだろうな。」
「あ・・は、はぁ・・・」

と私が曖昧な返事をしたら、アトラスさんはいつもより少し優しい微笑を見せて、私の頭に軽く手を置かれました。

「それじゃ、またな。今度店の方に遊びに来いよ。」
「あ・・は、はい。ありがとうございました!」

そうしてアトラスさんは私に軽く手を挙げて下さってから元来た道を歩いて行かれたんですけど・・・・うぅ〜ん。結論として、アトラスさんが良い人なのか悪い人なのかが分からないです・・・・
ですけど、それは時が解決していってくれますよね!それから私は家に戻って、休日をゆったりと過ごさせていただきました。


  

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