32 「大変だったわね〜、スピカ。あたし、レグルスがあんなに荒れたの初めて見たわ。ねぇ?ミザール。」 ミザールさんがそう言い終えた時に、レグルスさんが電話を置いてお2人の方を見ました。 「それは、人間怒れば怖いものさ。おまえが怒ったらもっと怖そうだよ?ミザール。」 ア、アトラスさん、どうしてそんなに余裕なんですか・・・・本当にアトラスさんは、お客さんを性欲を満たす対象としか見てらっしゃらないんでしょうか?ウゥッ、私もただ利用されただけなんでしょうか・・・・ 「ヤッダ〜、アトラスったら!あたし、これでもOLなんだけど〜。」 そうです、そこに来たのはヘルプで呼んだ方たちでした。ウーロン茶のボトルとグラスを置いて注いで下さったんです。そしてプレアデス先輩とミザールさんも混ざって、5人で盛大に乾杯しました。 「さっきはごめんね、スピカ。ここ2週間ほど会ってなかったけど、元気そうで良かったよ。」 すっかりそれまでのレグルスさんに戻ってらっしゃるのは何よりなんですけど、やっぱり心配です。先ほどもウーロン茶ですけど、一気飲みなさってましたから・・・・ 「アハハハッ。冗談だよ、スピカ。心配かけて悪いね・・・でも、大丈夫だよ。ほぼ良くなっているから。」 レグルスさんが驚いてアトラスさんを見てらっしゃいます。私も驚いてアトラスさんを見てしまいました。先ほどレグルスさんと言い争いをしていた時とは全然違っていて、ビックリしちゃったんです。 「・・おい、おまえら揃って物珍しそうな顔で俺を見るな。俺の言ったことは間違っていたか?レグルス。」 レグルスさんがようやくアトラスさんに笑顔を見せられました。そうしたらアトラスさんも笑ってらっしゃいます。 「礼は言うな、当然のことだ。」 私は一気に顔が熱くなるのが分かりました。レグルスさんは私と目が合うと色っぽい微笑を浮かべて下さいました。 「そう、いいね・・・・おまえを見ているだけで、私の体調も良くなりそうだよ。」 キャ〜ッ。レグルスさんにこんな格好良い微笑でそんな風に言われてしまったら、言い返せないです〜。私は少し首を傾げてレグルスさんを見つめることしか出来ませんでした。 「フフッ・・顔を赤くしてしまって、ますます可愛いね。もっと見ていていいかな?」 私が照れてどうしようもなくなったその時、アトラスさんがそう仰って下さったことで何とかドキドキが少し落ち着きました・・・・アハハハハ。アトラスさんの仰ることに思わず苦笑いがこみ上げてしまいます。 「フフッ、それだけスピカが可愛いからさ。スピカを見ているだけで、自然と言葉が湧いて出てくるんだよ。」 ・・確かに。レグルスさんは色んなことをよく知ってらっしゃる感じがしますよね〜。アトラスさんも然りですけど。 「そういや〜、おまえ一流大学を蹴ってこの店に来たんだろう?そんな頭があるならなぜ勉強しない?」 私、思わず大声を出して驚いてしまいました。レグルスさんも驚いてアトラスさんを見てらっしゃいます。 「この世界にいれば、学校教育なんざそんな関係ないだろう?知識ならそこら辺にある本でいくらでも得られるんだからな。」 ウッ。確かにその通りなんですけど、アトラスさんに言われるとひどくショックなのはどうしてでしょうか・・・・ 「アハハハ。そうですね・・・」 アトラスさん、どこか投げやりですね〜。レグルスさんも特に何も言わずにアトラスさんを見守ってます。 「・・そうだね。あぁ、それよりスピカ。ウーロン茶を淹れようか?」 |