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私がようやくホッとしたら、プレアデス先輩とミザールさんも心配していらっしゃったのか、私の方を見てました。

「大変だったわね〜、スピカ。あたし、レグルスがあんなに荒れたの初めて見たわ。ねぇ?ミザール。」
「ん・・・レグルス、怖かったな・・・・」

ミザールさんがそう言い終えた時に、レグルスさんが電話を置いてお2人の方を見ました。

「それは、人間怒れば怖いものさ。おまえが怒ったらもっと怖そうだよ?ミザール。」
「・・そうか?そんなに怖くないぞ?俺。」
「あなたね〜、自分で言ってどうすんのよ・・・・それより!アトラス、あなたとうとうやっちゃったのね!」
「やったって何をだ?プレアデス。フッ・・俺に襲われたいか?」

ア、アトラスさん、どうしてそんなに余裕なんですか・・・・本当にアトラスさんは、お客さんを性欲を満たす対象としか見てらっしゃらないんでしょうか?ウゥッ、私もただ利用されただけなんでしょうか・・・・

「ヤッダ〜、アトラスったら!あたし、これでもOLなんだけど〜。」
「ハハハハハッ!威張って言うことじゃないだろうが。元ホステスさんよ〜。」
「それは今のあたしには禁句なの!!あっ、それより飲み物きたわよ!スピカたちの分ね!」
「あぁ、ご苦労様。」

そうです、そこに来たのはヘルプで呼んだ方たちでした。ウーロン茶のボトルとグラスを置いて注いで下さったんです。そしてプレアデス先輩とミザールさんも混ざって、5人で盛大に乾杯しました。
先輩とミザールさんは、ブランデーを飲まれていらっしゃるのでしょうか?高そうな感じですね〜。対する私がウーロン茶ですから・・・アハハハ。アトラスさんが私に金銭面で期待していないのも無理ない感じです・・・・
皆さん、必ず一気飲みなさいますよね・・・・私は出来ないのでいつも途中でやめちゃうんですけど。
こうして飲み物を飲んでホッと一息ついた私に、レグルスさんが声をかけて下さいました。

「さっきはごめんね、スピカ。ここ2週間ほど会ってなかったけど、元気そうで良かったよ。」
「あ、はい・・・あの、レグルスさんは大丈夫ですか?ご体調が優れないって聞いたものですから・・・・」
「フフッ・・おまえに心配してもらえるなら、体調を崩すのも悪くないね。」
「ええぇっ!?そそっ、そんな!レグルスさん!」

すっかりそれまでのレグルスさんに戻ってらっしゃるのは何よりなんですけど、やっぱり心配です。先ほどもウーロン茶ですけど、一気飲みなさってましたから・・・・

「アハハハッ。冗談だよ、スピカ。心配かけて悪いね・・・でも、大丈夫だよ。ほぼ良くなっているから。」
「おい、レグルス。無理だけはするんじゃないぜ?おまえはこの店の看板ホストなんだからな。おまえの代役は誰にも務まらないんだ・・・大事にしておけ。」
「・・・アトラス・・・・」

レグルスさんが驚いてアトラスさんを見てらっしゃいます。私も驚いてアトラスさんを見てしまいました。先ほどレグルスさんと言い争いをしていた時とは全然違っていて、ビックリしちゃったんです。

「・・おい、おまえら揃って物珍しそうな顔で俺を見るな。俺の言ったことは間違っていたか?レグルス。」
「・・・いや、正論さ。ありがとう、アトラス。」

レグルスさんがようやくアトラスさんに笑顔を見せられました。そうしたらアトラスさんも笑ってらっしゃいます。

「礼は言うな、当然のことだ。」
「・・アトラス。おまえ、本当はとても良い性格なんじゃないかい?その殻を被っている原因は・・・・」
「レグルス、俺はおまえと張り合う気はないと言った筈だ。今日はあれ以降、無駄な口喧嘩はしないんじゃないのか?」
「・・・そうだったね。あぁ、それよりスピカ・・・おまえのその可愛い顔を、私に見せてくれないかい?」
「えっ!?あの〜、レグルスさん!?」

私は一気に顔が熱くなるのが分かりました。レグルスさんは私と目が合うと色っぽい微笑を浮かべて下さいました。

「そう、いいね・・・・おまえを見ているだけで、私の体調も良くなりそうだよ。」
「えぇっ!?そっ、そんな!レグルスさん!!」
「本当さ。おまえは、私にとって一番良い薬だよ。」

キャ〜ッ。レグルスさんにこんな格好良い微笑でそんな風に言われてしまったら、言い返せないです〜。私は少し首を傾げてレグルスさんを見つめることしか出来ませんでした。
本当に、レグルスさんってどうしてこんなに格好良い方なんでしょうか。激しいドキドキが止まらないです〜・・・

「フフッ・・顔を赤くしてしまって、ますます可愛いね。もっと見ていていいかな?」
「あ・・えっと、レグルスさん・・・・」
「・・・いつもながら、よくそんなセリフがホイホイと口から出てくるな〜、レグルス。特にスピカの時は冴えてるな。」

私が照れてどうしようもなくなったその時、アトラスさんがそう仰って下さったことで何とかドキドキが少し落ち着きました・・・・アハハハハ。アトラスさんの仰ることに思わず苦笑いがこみ上げてしまいます。

「フフッ、それだけスピカが可愛いからさ。スピカを見ているだけで、自然と言葉が湧いて出てくるんだよ。」
「ほう・・おまえの頭の回転はよほど速いらしいな。」
「まぁね。頭は悪くない方だと思うよ。」

・・確かに。レグルスさんは色んなことをよく知ってらっしゃる感じがしますよね〜。アトラスさんも然りですけど。

「そういや〜、おまえ一流大学を蹴ってこの店に来たんだろう?そんな頭があるならなぜ勉強しない?」
「理由は色々あるさ。そう言うアトラスは・・・最終学歴聞いたことなかったけど、高校は終わってるだろう?」
「いや、俺は中学止まりだぜ?高校なんて入っちゃいない。」
「ええぇぇっ!?」
「へぇ〜・・・・」

私、思わず大声を出して驚いてしまいました。レグルスさんも驚いてアトラスさんを見てらっしゃいます。

「この世界にいれば、学校教育なんざそんな関係ないだろう?知識ならそこら辺にある本でいくらでも得られるんだからな。」
「確かにそうだけど・・・・まぁ、いいか。理由は敢えて聞かないよ・・・大変だったんだね。」
「フッ・・別に、おまえの同情を買うほどじゃない。そういや〜、おまえはどこを終えたんだ?スピカ。」
「あ、はい!私は短大です。」
「短大か。まぁ、人並みだな。」

ウッ。確かにその通りなんですけど、アトラスさんに言われるとひどくショックなのはどうしてでしょうか・・・・

「アハハハ。そうですね・・・」
「全く・・もう少し言い方があるだろう?アトラス。」
「俺はおまえのようなキザなセリフでごまかす気はない。どちらにしろ、嘘はつき続けてるんだしな・・・・」

アトラスさん、どこか投げやりですね〜。レグルスさんも特に何も言わずにアトラスさんを見守ってます。

「・・そうだね。あぁ、それよりスピカ。ウーロン茶を淹れようか?」
「あ、はい。ありがとうございます!」


  

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