そうしてレグルスさんと行ったレストランは、それまで私がよく通っていた道沿いにありながら、まだ私が1回も入ったことのない、コーヒーがおいしいと評判のレストランでした。わぁ〜っ、レトロな雰囲気でとっても素敵なレストランですね〜。レグルスさんによく似合った感じのレストランだと思います・・・・それに、こうしてご一緒させていただいていると、まるで恋人みたいな気分になっちゃいますね〜・・・・って、いけないですね。私・・・レグルスさんが素敵な方すぎて、夢ばかり見てしまっています・・・・あくまでレグルスさんは、お仕事の時の客だからこうして付き合って下さってるんですよね。そこを勘違いしてはいけないですよね、はい・・・・
お店の方に案内された席は、景色がよく見える窓側の席でした。レグルスさんとこうして向かい合って、更に景色の良い所でお昼が食べられるなんて感激です〜。わざとお店の方に来てみて本当に良かったです・・・・

「ほら、スピカ。何でも好きなものを頼んでごらん?」
「あっ、はい!あの、レグルスさんのお勧めとかはありますか?」
「そうだね。全部お勧め、かな?この店はどれを頼んでも外れがないから、おまえの好きな食べ物を注文するといいよ。」

・・私、今までこのレストランって素通りしてただけだったんですけど・・・・今度からここのレストラン、私の中で認識が変わりそうです。

「そうなんですか〜。えぇ〜っと、そしたら・・・・あっ、このシーフードグラタンにします!」

グラタン好きなんですよ〜、私。グラタンのことを考えてしまうだけで嬉しくなっちゃいます。やっぱり好きな食べ物だからなんでしょうか?

「そうか。あぁ、それとここはコーヒーがとてもおいしい店だから・・・食後のコーヒーを一緒に飲まないかい?」
「あ、はい!お願いします。」
「OK。それじゃあ、頼もうか。」

そうして店員さんをお呼びして、レグルスさんが注文する品を全部言って下さいました!やっぱり男の方って頼りになりますよね〜。取り分けレグルスさんはホストさんですし、このようなお店とかにとっても詳しそうです〜。

「あの、レグルスさん。今日はご一緒していただいて、本当にありがとうございます!あっ、ですけど私、今日はレグルスさんにお支払い出来るようなお金を持っていなくて・・・・」
「えっ?あぁ、いいんだよ。道端で偶然会って、こうしてデートしているだけなんだから。私の職業のことなんて忘れて、おまえの恋人を演じさせてもらえると嬉しいね。」

キャ〜ッ!どうしてレグルスさんは、そんな素敵な笑顔でサラッとそんなことを言ってのけてしまうんでしょうか。それに・・そんな風に仰ると、気になっちゃいます・・・・

「そっ、そんな・・・・あの、そしたら。レグルスさんの本当の恋人さんに、申し訳なくて・・・」
「ん?今付き合っている女性はいないから、心配しなくていいよ。おまえこそ、本当は恋人がいるんじゃないのかい?」
「いっ、いえ!いないです〜。それに、私・・男の方とお話がしたくて、昨日レグルスさんたちの所にお邪魔しましたから・・・・」
「あぁ、そういえばそうだったね。でも、男と付き合ったことが未経験という訳じゃないだろう?」

ど、どうしてレグルスさんには分かってしまうのでしょうか?さすがホストさんです・・・・

「は、はい・・・・ですけど。それももう、2年位前が最後です・・・・」
「そうか・・・・でも、おまえは男を捨てるようなタイプではないよね?・・捨てられた、とも考えにくいけど・・・・」
「あ・・ですけど。捨てられちゃいました、はい・・・・」
「・・・・・・・・」

私がそう言うと、レグルスさんは少しだけ驚かれてらっしゃるみたいで、小さく口を開けたまま、何も仰ることはありませんでした。

「えっと、私の努力が足りなかったんだと思います。もっと一杯、尽くせば良かったかなって・・・・」
「・・そんな男に、尽くす必要なんてないよ。」
「!レグルスさん・・・・」
「・・あぁ、ごめんね。つい、嫉妬してしまったよ。」

えぇっ!?あの・・色っぽい笑顔でそんな風に仰られても実感が湧かないんですけど〜!

「そそっ、そんな!レグルスさん・・・・」
「・・・ねぇ、スピカ。1つ聞きたいんだけど・・・・おまえは、恋人が欲しいのかい?」

えぇっ!?えぇ〜っと、そうですね〜。それはぁ〜・・・・

「えっと。最終的には、そうなると思うんですけど・・・・今は、色んな男性さんとお話がしてみたいです。なので、恋人さんというよりは・・異性のお友達さんを作りたい感じです。」
「・・そうか・・・・フフッ。もしも恋人が欲しいと思った時は、私のことを候補に入れてくれると嬉しいね。」

えぇっ!?ですから、レグルスさん!色っぽい笑顔でそんな風に仰られても実感が湧かないです〜!・・・どうしてこんなにレグルスさんは余裕があって魅力的なんでしょうか。

「あっ!は、はい・・・・考えます・・・・」
「フフッ、ありがとう。」

レグルスさんは、明らかにもててそうですよね〜。お仕事でも、プライベートでも・・・・そう考えると、レグルスさんにしてみれば単なる社交辞令みたいな感じでしょうから・・・・期待したらダメですね、はい・・・・

「・・・あ、あの、ですけど。レグルスさんは、女の方に不自由してらっしゃらないと思うので・・・口説き文句ですか?」
「フフッ・・さて、どうだろうね。」

・・昨日初めて見た時から思ってたんですけど、本当にレグルスさんはポーカーフェイスで、何を考えてらっしゃるのか分からないです〜。どうしてこんなにカッコ良いんでしょうか、レグルスさんって・・・・

「えぇっ!?あの、レグルスさんって・・イジワルさんですか〜?」
「アハハハハッ。全く・・・そんな可愛い表情を見せられると、いじめたくもなるだろう?」
「えぇっ!?そっ、そそっ、そんな!いじめないで下さい〜、レグルスさん〜・・・・」
「フフッ・・どうしようかな?」

えぇっ!?この状況を楽しまれてませんか!?レグルスさん!本当に余裕ありすぎですよ〜・・・・と、私が大ピンチだったその時、お店の方が頼んでいた品を持ってきて下さったことで、私は何とか助かることが出来ました。
わぁっ。シーフードグラタン、とってもおいしそうです〜・・・・あっ。レグルスさんのトマトクリームスパゲッティも、おいしそうですね〜。

「あぁ、それじゃあ食べようか、スピカ。」
「はい!いただきます。」
「フフッ・・随分嬉しそうだね、スピカ。」
「あっ、はい!私、グラタン大好きなんです。それに、レグルスさんとこうして昼食をご一緒出来ることも、本当に嬉しくて・・・・」
「そうか。ありがとう、そう言ってもらえると私も嬉しいよ。」


  

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