8
そうしてレグルスさんと行ったレストランは、それまで私がよく通っていた道沿いにありながら、まだ私が1回も入ったことのない、コーヒーがおいしいと評判のレストランでした。わぁ〜っ、レトロな雰囲気でとっても素敵なレストランですね〜。レグルスさんによく似合った感じのレストランだと思います・・・・それに、こうしてご一緒させていただいていると、まるで恋人みたいな気分になっちゃいますね〜・・・・って、いけないですね。私・・・レグルスさんが素敵な方すぎて、夢ばかり見てしまっています・・・・あくまでレグルスさんは、お仕事の時の客だからこうして付き合って下さってるんですよね。そこを勘違いしてはいけないですよね、はい・・・・ 「ほら、スピカ。何でも好きなものを頼んでごらん?」 ・・私、今までこのレストランって素通りしてただけだったんですけど・・・・今度からここのレストラン、私の中で認識が変わりそうです。 「そうなんですか〜。えぇ〜っと、そしたら・・・・あっ、このシーフードグラタンにします!」 グラタン好きなんですよ〜、私。グラタンのことを考えてしまうだけで嬉しくなっちゃいます。やっぱり好きな食べ物だからなんでしょうか? 「そうか。あぁ、それとここはコーヒーがとてもおいしい店だから・・・食後のコーヒーを一緒に飲まないかい?」 そうして店員さんをお呼びして、レグルスさんが注文する品を全部言って下さいました!やっぱり男の方って頼りになりますよね〜。取り分けレグルスさんはホストさんですし、このようなお店とかにとっても詳しそうです〜。 「あの、レグルスさん。今日はご一緒していただいて、本当にありがとうございます!あっ、ですけど私、今日はレグルスさんにお支払い出来るようなお金を持っていなくて・・・・」 キャ〜ッ!どうしてレグルスさんは、そんな素敵な笑顔でサラッとそんなことを言ってのけてしまうんでしょうか。それに・・そんな風に仰ると、気になっちゃいます・・・・ 「そっ、そんな・・・・あの、そしたら。レグルスさんの本当の恋人さんに、申し訳なくて・・・」 ど、どうしてレグルスさんには分かってしまうのでしょうか?さすがホストさんです・・・・ 「は、はい・・・・ですけど。それももう、2年位前が最後です・・・・」 私がそう言うと、レグルスさんは少しだけ驚かれてらっしゃるみたいで、小さく口を開けたまま、何も仰ることはありませんでした。 「えっと、私の努力が足りなかったんだと思います。もっと一杯、尽くせば良かったかなって・・・・」 えぇっ!?あの・・色っぽい笑顔でそんな風に仰られても実感が湧かないんですけど〜! 「そそっ、そんな!レグルスさん・・・・」 えぇっ!?えぇ〜っと、そうですね〜。それはぁ〜・・・・ 「えっと。最終的には、そうなると思うんですけど・・・・今は、色んな男性さんとお話がしてみたいです。なので、恋人さんというよりは・・異性のお友達さんを作りたい感じです。」 えぇっ!?ですから、レグルスさん!色っぽい笑顔でそんな風に仰られても実感が湧かないです〜!・・・どうしてこんなにレグルスさんは余裕があって魅力的なんでしょうか。 「あっ!は、はい・・・・考えます・・・・」 レグルスさんは、明らかにもててそうですよね〜。お仕事でも、プライベートでも・・・・そう考えると、レグルスさんにしてみれば単なる社交辞令みたいな感じでしょうから・・・・期待したらダメですね、はい・・・・ 「・・・あ、あの、ですけど。レグルスさんは、女の方に不自由してらっしゃらないと思うので・・・口説き文句ですか?」 ・・昨日初めて見た時から思ってたんですけど、本当にレグルスさんはポーカーフェイスで、何を考えてらっしゃるのか分からないです〜。どうしてこんなにカッコ良いんでしょうか、レグルスさんって・・・・ 「えぇっ!?あの、レグルスさんって・・イジワルさんですか〜?」 えぇっ!?この状況を楽しまれてませんか!?レグルスさん!本当に余裕ありすぎですよ〜・・・・と、私が大ピンチだったその時、お店の方が頼んでいた品を持ってきて下さったことで、私は何とか助かることが出来ました。 「あぁ、それじゃあ食べようか、スピカ。」 |