第14話「お部屋」
それから結局3人はたわいもない日常会話を延々と続けていたのだが、お昼時にアルビレオは用事があるとのコトで帰ることとなった。
「フフッ、それじゃあ姉さん。また何かあった時は、よろしく頼むよ?」
「ハ〜イヨ、任せといちゃってよ!それじゃあスピカちゃん、まったね〜!」
「あ、はい!アルビレオさん、本当にありがとうございました!」
「ンッフフ〜、な〜にな〜に。たかがこんなコトでお礼なんてゆー必要ないってば〜。大体コイツに服なんて選ばせたらさ〜、露出度高いのにするのに決まってるんだからさ〜。」
「えっ!?」
スピカは驚いて隣にいるレグルスのことを反射的に見てしまった。レグルスもまた、スピカと目が合うとフッと色気ある微笑を浮かべる。
その微笑がまた何ともサマになっていて何か口答え出来ないのが悲しかったが、明らかにこのレグルスの微笑はアルビレオの言葉の肯定と取っていいだろう。
「それじゃあ姉さん、道中気を付けて。送れなくて悪いね。」
「あ〜、別にいいよそんなコト〜。それよりさ〜、そんなコトゆーんだったらスピカちゃんと一緒に外出すれば〜?取り敢えずあんたが同伴なら問題ないでしょが〜。」
「それはそうなんだけどね。どうも・・・・外にやると、のら犬やネズミが、スピカに何かと悪さをしそうでね〜。」
「まぁ確かに・・・・・あんま治安は良くない国だけどさ。だからこそあんたが着いてくべきでしょ?」
「フフッ。まぁ、スピカとショッピングを楽しむのも悪くはないかな?でもしばらくは、家の中に置いておきたいね。」
とレグルスは言って、スピカの肩をそっと抱き締めた。
急に手を回されてスピカは驚いてしまったが、抵抗する気はなかったので素直に受け入れた。
「ん、まぁあんたの好きにしちゃえばイイんじゃない?そんじゃまったね〜!」
「あぁ、またね。」
「お気をつけて〜。」
「ン♪」
そうして2人でアルビレオの姿が見えなくなるまで、ドアの前で見守った。
アルビレオの姿が見えなくなってから、レグルスはパタンとドアを閉めた。
「さてと・・・・それじゃあおまえの部屋に案内しようかな?こっちにおいで。」
「あ、はい。」
スピカは突然のことで驚いてしまったが、レグルスが階段を上っていくので、スピカも着いて行った。
2階には、ドアが3つ並んでいた。
「ここがおまえの部屋だよ。」
と言ってレグルスはドアを開け、スピカを中に招き入れた。
スピカが中に入れば、そこにはベッドと机、クローゼット、化粧台・・・その他生活に必要な物が余裕ある空間に並べられていた。
「殺風景で悪いね。このカーテンとテーブルクロスは、姉さんが事前に取り揃えておいたものなんだけど。後必要な品があったら私に言ってね?姉さんにすぐに調達させるようにするから。」
「え、あの・・はい・・・・・」
「おや?何かとても驚いてる顔をしてるね〜。自分の部屋があることが意外だったかい?」
とレグルスは尋ねた。スピカはコクンと頷き、少し顔を赤く染めて言った。
「私・・・・ずっとレグルスさんと、ベッドの中にいなければいけないのかと思ってしまって・・・」
「え?アハハハッ。な〜んだ、そうだったのかい?それならこの部屋を用意する必要はなかったかな〜?」
「えっ!?あ、待って下さい!!その、私が勝手にそう誤解していただけで・・・!」
「フフフフッ。分かっているよ、大丈夫。もちろん私は1日中おまえとベッドの中にいても構わないけど、おまえが疲れてしまうだろうからね。だから部屋を用意させたんだよ。」
「・・・・・お気遣い・・下さったんですか?」
とスピカは尋ねた。
「気遣いというより・・・女性にとっては当たり前のことなんじゃないかな?違うかい?」
「あ、その・・・はい・・・・・あの、レグルスさんって・・・」
「ん?何だい?」
「・・・・女の人に・・随分慣れてますよね・・・すごく、受け答えが自然で・・・・」
スピカは途切れ途切れに、少し恥ずかしくてレグルスから視線を逸らしてそう言った。
「ん〜・・・・まぁそうだね〜。そういう風に教育されてしまったからね〜。」
「・・教育なんですか?」
スピカがそう尋ねると、レグルスはフッと苦笑いを浮かべてからこう言った。
「・・まぁ、教育は確かにそうだったんだけど・・・一番はやっぱり、私の女性好きが高じてしまって・・色んな女性と付き合いや関係を持ったからじゃないかな?」
「・・・・あの、そういえば・・・・レグルスさんって、おいくつなんですか?」
今まで色んな質問をしてもまともに答えてくれなかったから、あまり答えを期待していないスピカであったのだが。
「あぁ、言ってなかったっけ?22だよ?」
「えっ!?ええぇ〜っ!?ウ、ウソ・・・・!?」
スピカは驚いてしまって、思わず手で口元を覆ってしまった。
「・・年齢でサバよんでどうするんだい?正真正銘私は22だよ?ん〜・・・・どういう意味で意外だったのかな?もっと年上だと思ってたかい?」
「あ、はい・・・・・・」
スピカは正直に返事をした。
「フフッ。まぁ、年下に見られるよりはいいけど・・・・」
「あ、は、はい・・・・・」
「絶対年下なんかに見えません。」とスピカは心の中で強く否定したが、もちろん現実では言えないので曖昧に返事を返す。
「あぁ、それと私の部屋はおまえの隣ね。何かあったら声をかけてね?あぁでも、私は下にいる時も多いから・・・まぁ、必要に応じて声をかけてくれるといいよ。私も夜になった時は・・・・おまえの下に行くからね?」
とレグルスは言ってウインクをする。
「そ、そんな・・・い、いいです・・・・」
「おや?それじゃあおまえが私の下に迎えに来てくれるというのかい?」
「!違います!!やりたくないです!そんなこと・・・・!」
とスピカは否定したのだが、その途端レグルスの表情が余裕ある微笑から急に真顔になった。
それからスピカの腰を抱き、もう片方の手でスピカの頬に手を置き、いきなりレグルスはスピカの唇に自分の唇を重ねてきた。
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