第19話「お洋服」

それからレグルスはすぐに例の紙袋4つをスピカの部屋に持ってきた。レグルスがガサガサと音を立てながらその紙袋の中身を広げている。

「まぁ姉さんの趣味を悪いとは言わないけど・・・もう少し露出度があってもいいのにね〜・・・・」

とレグルスはボソリと呟きながら、色々服を広げてはブツブツ感想を言っている。
その広げて並べられている服をスピカはベッドに横になりながら見ていたのだが、ふと服を見ていてスピカは驚いてしまった。

「あの、レグルスさん・・その服って・・もしかして、全部絹じゃないですか?」
「ん?そうだね〜。100%どれも純粋な絹だけで出来ているよ?それがどうかしたかい?」

「どうかするか」と聞かれてどうもしない訳がない。さすがにスピカは突っ込みを入れた。

「どうかしますよ!!絹って・・とっても高価なんですよ!?」
「あぁ、そうみたいだね〜。でもまぁ、姉さんの懐からして見れば大したことじゃないよ。確か全部で50万って言っていただろう?姉さん。フフッ、相変わらずあそこの店長に散々まけさせたみたいだね。」
「えっ?」
「粗雑に見えるけど、あれでいて姉さんはファッションやら素材はひどく気にするんだよ。まぁ、そこえら辺は弟の私でも見る目があるとは思っているけど・・・・これでもう少し露出度の高い服を買ってきてくれれば完璧なのにね〜。」
「レ、レグルスさん〜・・・!?私に露出度高い服着せてどうするつもりなんですか〜・・・・!?」
「フフッ。もちろん愛でて、愛するだけだよ。あぁでも私は、露出ばかりするのは苦手だよ。適度な露出がいいね。フフッ、おまえにこの美学が分かるかな?」

聞いた自分がバカだとスピカは悟った。心の中で「レグルスさんのバカ!エッチ!」と連呼していたが、実際には言わずに唇を尖らせる。
美学だか何とか言っているレグルスは取り敢えず放っておくことにして、スピカは再び広げられている服の方をじっくり見ることにした。さすがにこれ以上横になっているのも体が変になってしまうし、それなりに疲れも取れたので乱れた服を直し、ベッドから出てレグルスから少し距離を置いた所に立って見た。
アルビレオのセンスは大したものだった。色の揃え方も奇麗だったし、素材は100%どの服も絹のみ。種類も豊富だった。スカート、ズボン、ブラウスなどはもちろん、下着類も充実していた。どれもスピカには文句のない素晴らしい品ばかりだった。

「あの、レグルスさん。この服、着てみてもいいですか?」

20着ある服の中でスピカが特に気に入ったコーディネートがあった。淡いパステル調のピンク色のブラウス、同じく薄いレモン色のカーディガン。スカートはブラウスより少し濃いピンクであった。

「あぁ、好きに着るといいよ。フフッ、観察していていいかな?」
「・・・ダメです。」
「おやおや。裸を見られるより嫌なのかな?」
「!!レグルスさんのエッチ!!」

さすがに今回ばかりはスピカも怒りを抑えられなかった。しかもレグルスの言っていることがズバリそのものだから、余計にスピカはそれを認めたくなくて、つい怒ってしまった。
だがレグルスはそんなスピカに臆することなく、むしろそうなるだろうと悟っていたように余裕ある微笑を浮かべていた。

「アハハハッ、可愛いねスピカ。分かったよ、もう行けばいいんだろう?まぁ、ゆっくり色々着てみてごらん?夜になってお腹が空いたら下においで。夕食を作っておくからね。」
「あ・・はい。その・・・すみません。私、つい・・カッとなっちゃって・・・・・」

かえってレグルスに気を遣わせてしまったと分かったスピカは、自分が怒ってしまったことを後悔してしまっていた。

「フフッ、気にしなくていいよ。男は所詮そういう生き物だからね。」
「!レグルスさん・・・・!」
「アハハッ。でも私の場合は、他の男よりその度合いが強いかもしれないね。いいよ、嫌な時はそうして怒ってくれて。怒ってるおまえも・・可愛くて大好きだよ。」

完全にスピカはからかわれていた。レグルスは言い終えてからウインクをしてスピカに投げキスまでする余裕ぶりを見せ、それからパタンとドアを閉めて出て行ってしまった。
スピカはやっぱりこんなレグルスには絶対に勝てないと思いながら、ほんの少しだけ投げキスしてくれたことを嬉しく思っていた。本当にレグルスは魅力的な男性だと思った。
だが、すぐにそんな風に考える自分がバカみたいで否定し、気を取り直して化粧台の前に立って、色々服を合わせてみたり着てみたりするのだった。


  

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