第2話「謎の男登場」

その日の夜。
夕食を食べ終えたスピカたちは、今はいつも通り、各々の部屋にいて寛いでいたりするのだが、その心中は穏やかではなかった。
スピカもずっと胸騒ぎがしてならなかった。

「どうか、大事なことになりませんように・・・・・」

もう何度目か分からない祈りの言葉をスピカは口にした。自分の部屋の窓から見えている空に向かって・・・・・・・・
その時だった。

コンコン

スピカの部屋のドアをノックする音がした。

「は、はい?」

いつもと違った緊張もあいまってか、スピカはいつもより驚きながら返事をした。

「失礼致します。」

と言ってスピカの部屋に入ってきたのは、警備員であった。

「あ、はい。あの、どうかなさいましたか?」

と、スピカは入ってきた警備員に尋ねた。
スピカの家は大きいこともあり、スピカたち家族に仕える者が数多くいる。
さすがにその仕えてくれている人達全員の顔をスピカたちが覚えている訳でもなく。だからスピカもよく分からないけど、家で働いてくれている警備員の1人が来たのだと思っていた。

「フフッ、「どうかなさいましたか?」か・・・悪くはない反応かな?」

入ってきた時とはまるで違う警備員の感じにスピカは戸惑ってしまった。

「え、えっと?あの〜・・・・」
「ん?」
「あなたは・・警備の方ですよね?えっと〜・・私をからかっている様な暇は、あまりないのではないかと思いまして。特に今日は、父や母が警備に力を入れているようお願いしていた筈では・・・・・?」
「アハハッ、そうだね。そういうことになるのかな?だから私が、おまえの下に来たんだけどな〜。」

とその警備員は言う。

「あ、はぁ・・そうですか・・・・あの、私なんかより、金品の方が大事ではないのかと思っていたのですが・・・・・」
「フフッ。あそこにはもう腐るほど警備員がいてね、面白くないんだよ。まぁ元々、私の目的はおまえだけだし、問題ないんだけど・・ね。」

と言ってその警備員は一気に服を剥ぎ、被っていた帽子も全て取ってしまっていた。

「!」

そこに現れたのは、漆黒のコートを身に纏った銀髪碧眼の美形な男であった。


  

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