第27話「乱入」

こうして今日の昼下がりも過ぎていくのかと思っていた頃。
いきなり1階の入り口のドアがバンッ!!と開く音がしたので、スピカは何事かと思いビックリしてしまった。思わず編み物の手も止まる。だがレグルスはそんなことお構いなしにスピカの膝に寛いで横になっている。

「あ、あの・・レグルスさん。どなたか来られたのでは・・・?風、今日強くないですよ?」

スピカは強盗か何かが入ったのかと思い、ビクビクしてしまっていたのだが。

「あぁ。ここに来るとしたら、姉さんだけだから気にしなくていいよ。」
「えっ!?それでしたら、お迎えに行かなくてよろしいんですか!?」
「フフッ、いずれここに来るよ。ほら、ね。」

とレグルスが言ったと同時にスピカの部屋のドアをすごい勢いでノックしてきた。

ゴンゴンゴンゴンッ!!! ガチャッ!!!

「おっじゃまっしま〜っす!!!ハァ〜!!ったくも〜う、この家って接客なってないって感じ〜。何なのさ〜、人がせっかく来たってのにお迎えないの〜!?」
「アハハハッ、姉さんいらっしゃい。どうせこの場所を知っているのは姉さんだけだからね。来ることは分かっていたから、今更驚かないよ。」
「とか言ってスピカちゃんは目ぇ丸くしちゃってるんですけど?あんた何であたしが来ることスピカちゃんに言わなかったワケ〜!?」
「フフッ。スピカに言うのは楽しくないよ。常に斬新な発見がないとつまらないだろう?」
「・・ハッ・・・それはまぁそうですけど・・・・それよりアンタ〜、何馴れ馴れしくスピカちゃんに膝枕なんてさせてんのよ!?離れなさいっての!!スピカちゃん迷惑そーでしょが!!」
「おや?そんなことはないよね〜?スピカ。」
「あ、え、えっと・・・」
「と〜に〜か〜く〜は〜な〜れ〜ろ〜!!!」

とアルビレオは言い、レグルスの体に思いっきりキックをお見舞いした。
しかもアルビレオのはいている靴は底が4〜5cmはあるだろうと思われるハイヒールで、更には思いっきりかかとの部分でアルビレオは蹴っていたような気がしないでもなかった。
だがレグルスは特に奇声を発することはなかった。ただしこのアルビレオのキックにより、レグルスがスピカから離れたのは事実で、レグルスは苦笑していた。

「相変わらず、姉さんは元気だね〜。私の体が痛いとわめいているよ。」
「あんたにはそれ位やんないと分かんないでしょが。あ〜それよりスピカっちゃ〜ん!!!元気してた〜?」

と、アルビレオはレグルスの時とはうって変わった態度でスピカに抱きついてそう言った。
スピカはこのアルビレオのやること為すことに圧倒されて苦笑いを浮かべていたのだが、何とか口を開いて返事をした。

「あ、は、はいアルビレオさん。おかげさまで・・・・」
「ん〜良かったよ〜。この間の事件もまる〜くまとまってくれたみたいだしね♪」
「あ、は、はい・・・・」
「ンッフフ〜。あれからあたしの言ったコト、理解してもらえたかな〜?」
「えっ?」

アルビレオに突然そう言われてスピカは驚いてしまった。

「ンッフフ〜、もう過ぎたコトだから言える話。あたしがスピカちゃんを誘導した場所って、この国の中でも一番の危険地帯でさ〜。あそこウッジャウジャ金と女と酒にしか目がないヤツがいる所でね、でまぁ・・・あたしは敢えて賭けたワケよ♪あれでスピカちゃんが完全にあそこのヤロウ共にやられてたら、あたし正直言ってスピカちゃんのこと、故郷に帰すつもりだったから☆」
「えっ?ええぇぇ〜っ!?」

スピカはカナリ驚いてしまった。レグルスもまた苦笑しながらスピカに言った。

「姉さんはそういう人だからね。まぁ・・あれは急遽姉さんが作り上げた私への試練だったんだよ。ほんと・・・一歩遅かったら、私はおまえを本当に手放してしまう所だったんだよ、スピカ・・・・・」
「・・・・レグルスさん・・・・」
「ん〜まぁ?レグルスが今回ギリギリでスピカちゃん助けたみたいだから?あたしは取り敢えずこのまま続けろ命令出したけど?だから言ったでしょ、スピカちゃん!『半分助けてあげる』ってね♪」
「あ、は、はい・・・・あの、ですけど・・・・」
「あ〜、ゴメンゴメン。スピカちゃんに怖い思いさせちゃったのはあたしのせい。これは謝っとくよ。でも〜、コイツがこの程度でスピカちゃんのこと助けられないんだったら、コイツにスピカちゃんこのまま預けさせるなんてコト、あたしが許せないからさ♪何だかんだいって今回あたしはコイツに協力してるけど、実際いきなりスピカちゃん連れ去ってこーして暮らしたってすぐに仲良くなるワケないんだし。んでもま!めでたく全部丸く終わらせてくれちゃったから〜?お祝いとあたしへの感謝も込めてもらって、あんたにはこれからジャンボチョコパフェ作ってもらうコト決定ね!」

とアルビレオは言って、レグルスの肩をポンポンと叩く。

「姉さん・・・そうは言っても材料が・・・・」
「あ〜、材料なら下に置いといたから〜。あたしとスピカちゃんの2人分〜♪ね、スピカちゃんも食べるでしょ?ジャンボチョコパフェ!こいつデザート作るのもうまいよ〜?ねぇねぇ、スピカちゃんからもお願いしてみなよ〜。あたしだけじゃ〜あんま効果ないからさ。ね!」

何だかアルビレオに圧倒されているというか、脅迫されているような気がしないでもなかったが、確かにスピカも甘いデザートは大好きだったので、取り敢えずレグルスに頼んでみることにした。

「え〜っと〜・・・作って、下さいますか?レグルスさん。」
「う〜ん・・・・60点かな?」
『へぇっ?』

このレグルスの妙な評価にスピカとアルビレオは思わず声をハモらせて驚いてしまった。

「アハハハッ、スピカ。私におねだりする時はね・・キス位してもらわないと、やる気が起きないんだよ?」
「えっ!?あ、はぁ・・・」
「あ〜あ。この変態ドスケベ野郎・・・・・」

と、アルビレオがもらした呟きをレグルスは無視して、スピカに近寄る。

「おまえからキスしてくれたら、パフェ作りを考えてあげてもいいよ?」
「ン〜・・あたしとスピカちゃんのチョコパフェの為にも!おねが〜いスピカちゃ〜ん!!今だけはこの大バカ弟の言うこと聞いてやってくれないかな〜?」
「あ、は、はぁ・・・・え、え〜っと・・・」

スピカは少し混乱してしまっていたが、パフェが食べれるならそれはそれで嬉しいし、レグルスのことだって明らかに好きになっているスピカなのだから、レグルスにキス出来ることはスピカにとって嬉しいことであった。
いや、むしろスピカは自分から率先してそのようなことをするタイプではないので、たまには意を決してそんなことをするのも悪くないと思った。
だがとても恥ずかしいのは事実で、スピカは顔を赤くしながらレグルスへ顔を近づけるのだが、なかなか出来ないでいた。
自分はレグルスにキスするんだと強く心の中で念じて分かっていても、スピカの元から内気な面が生じてしまって、後少しという所で届いていない。
そんなスピカのことを余裕ある微笑で見ていたレグルスは、最終的には自分から抱き寄せてキスしてしまった。スピカはもちろん驚くばかりで、アルビレオも陰険な目つきでレグルスを見ている。
軽く舌を絡ませて、レグルスとスピカは見つめ合う。

「全く、おまえは本当に可愛いね。一つ一つの動作が見ていて本当に飽きないよ。それじゃあ、しばらく待っていてね。パフェ作ってあげるから。」
「ウワーイヤッター!!」
「あ・・・えっと・・その・・・あり、がとう・・ございます・・・・」

スピカはレグルスとキスしてしまったことに、妙に気が動転してしまっていた。レグルスとのキスなんてもう慣れていたことの筈なのに・・・・何なんだろうか、この複雑な熱い想いは。

「じゃあ、しばらく2人でここで話しているといいよ。作り終えたら呼びに来るからね。」
「あ〜ハイハ〜イ。ンッフフ〜、やっと女同士で語り合えるね〜!!スピカちゅわ〜ん!!」
「えっ!?あ、は、はい・・・・」

レグルスはそんな2人を見届けてウインクして部屋を出て行ったのだった。


  

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