第28話「秘密の会話・前編」

そうしてレグルスが部屋から出て行き、アルビレオは「ウーン!」と背伸びをしてからスピカに声をかけた。

「何か随分寂しそうな顔しちゃってるけど・・・もしかしてウチの弟のこと、結構気に入ってくれてた?」
「えっ!?あ、あの、私・・・・」
「アハハハッ!スピカちゃん顔真っ赤だよ〜?ん〜、あんなしょーもない弟だけどさ・・・スピカちゃんが気に入ってもらってんのなら、応援してるあたしだって一応嬉しいジャン?だからさ☆」
「あ、は、はい・・・・」

アルビレオはレグルスより全てにおいて優れているのではないかとスピカは思ってしまった。毎日ここにいる訳でもないのに、ズバリ自分の気持ちを言い当てくる。言動にも圧倒されることばかりで、改めてアルビレオとレグルス、この2人の姉弟はすごいと思ってしまっていた。

「ンッフフ〜、でもビックリしたよ〜。初めてあたしがここに来た時と今のスピカちゃん、全然違うんだも〜ん。」
「えっ?そ、そうですか?」
「ン〜。何ってゆーかさ、女の子らしさが前より出てきたかなって。レグルスの為に、頑張りたいって思ってる?」
「!!あ、えっと・・・・」
「まぁ、スピカちゃんはそのままでもあいつにとっては全っ然問題ないと思うんだけどさ〜☆大丈夫!背伸びなんてしなくたって、スピカちゃんは女のあたしから見ても十分可愛いし頑張ってるって!!ん〜、でも・・今のスピカちゃんに足りないのは自信かな?もっと自分に自信持たなきゃ!ね!」
「え・・あ、ですけどそんな・・・私は・・・・」
「・・・・あ、分かった。レグルス以上に好きな人いるんだね?」
「!!!」

本当にこのアルビレオは何にでもすぐ気が付く。スピカはただ驚くことしか出来なかった。

「ンッフフ〜。図星って顔しちゃってるね、スピカちゃん♪」
「アルビレオさん・・・・どうして、そんなに・・私のことが、分かってしまうんですか?」

スピカは恐る恐るアルビレオに尋ねた。

「ん〜、どうしてだろーね〜。人生長く生きてるからかな〜?」
「えっ?そ、そんな・・・アルビレオさん、まだお若いのでは・・・?」
「えっ、あらヤダ。あたしいくつ位に見える?」
「え?え〜っと〜・・・」

そういえば以前レグルスは自分の年齢を22だと言っていた。ならばアルビレオはそれより年上・・なのだろうから・・・

「23歳か、4歳位でしょうか・・・?」
「えっ?あらウソ。そんなに若く見える?ンフフフフ〜、スピカちゃんってばも〜う!!おだてても何にも出ないってば〜!」

とアルビレオは笑いながらスピカの肩をポンポンと叩く。むしろスピカは驚いてしまった。

「えっ?ですけどそんな・・・アルビレオさん、違うんですか?私には、それ位に見えます・・・」
「あ〜そ〜う?あたしもう26なんだけどな〜。」
「えっ!?ほ、本当ですか!?」
「ンッフフ〜、ホントホント♪もう結構イイ歳のオバチャンよ〜?んでもスピカちゃんに若く見られて嬉しいかも♪んじゃお礼に今度何か持ってきたげよっか?そーだね〜、あたしのお手製のアクセとか!」

とアルビレオは言ってキャハハと笑う。スピカも一緒に微笑む。

「ありがとうございます!・・アルビレオさん、アクセサリーお作りになるのですか?」
「ん〜ちょっとした趣味だけどさ〜。取り敢えずこのブレスレットとかイヤリングは自分で作ってるよ♪」

と言ってアルビレオはブレスレットを見せたりイヤリングを揺らしたりする。
ブレスレットは銀色のもので、月やら星やらの飾りが付いている。イヤリングの方はルビーであろう赤い宝石が組み込まれている目立つものであった。
いずれも手作りの物には見えない。既製品とどこも変わりなかった。

「えぇっ!?ほ、本当ですか!?き、器用ですね〜、アルビレオさん・・・」
「そーかな〜?んでもウチの家族皆そーゆーのばっかよ?」
「えっ?あ、確かに・・レグルスさんも器用ですよね・・・」
「あ〜・・ン〜そーだね〜。ンッフフ〜、ウチの家族ん中ではアイツが一番手先器用かもね〜。」
「えっ?そうなんですか?」
「ン〜、あいつホントに何でもうまくやってのけちゃうのよね〜。アレはあいつの天性。イイよね〜元からそーゆーの持ってるのってさ〜。弟のクセにズルいよね〜。」
「ウフフッ・・・ですけど、アルビレオさんもとっても素晴らしいと思います。私なんて、もう全然で・・・・」
「あっ、そういえばその編み物セット!!あたしが置いてったヤツだよね〜?ンッフフ〜、使ってくれてたなんて嬉しいわ〜!ちょっと見てもイイかな〜?」
「えっ?あ、で、ですけど・・・」

「編み目が揃ってませんから・・」と言い終わらない内にアルビレオはヒョイッとスピカから編んでいた物を掴み取る。
スピカは恥ずかしかった。こんなに編み目の揃ってない物を見たらきっとレグルスみたいに言われてしまう。分かっていることだがやはりショックは隠しきれなくて、スピカは俯いてしまった。アルビレオは黙ってそれを見ていたが、すぐに口を開いた。

「ここ・・あいつが手ぇ出したでしょ?」
「えっ?」
「ここの3段。編み目が全然違うから。」
「あ・・は、はい・・・」

スピカはやはりショックで返事をしてから再び顔を下にしてしまったのだが、アルビレオはそんなスピカの肩をポン!と叩いて笑顔で言った。

「スピカちゃんはスピカちゃんなりに努力してるじゃな〜い!編み物は初めて〜?」
「あ、いえ・・・以前家で何回かやってたのですけど・・・私、すごく不器用で・・・・」
「あ〜でもね〜。今はちょっとアレだけど、こんなのすぐに直っちゃうって!!なんだったらテク教えてあげよっか?」
「えっ?ほ、本当ですか?」
「ン〜、でもそれはまたの機会にね!今はもう少しスピカちゃんと違うお話したいな〜。あ、じゃあさ〜、そのスピカちゃんの好きな人とか教えて欲しいんだけどな〜☆」
「えぇっ!?あ、あの、ですけどそれは・・・・」
「あ〜、ウチのバカ弟には言わないからさ♪教えてくれる?」
「あ・・・はい・・・・」

アルビレオに言いくるめられると否定出来ない自分がいた。なぜだろうか。アルビレオになら全て話せる気がしているのは事実だった。
ということでスピカは例の仮面パーティーの時の男性のことをアルビレオに話すのだった・・・・・


  

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