第30話「チョコパフェをめぐって」

テーブルにはレグルスが作った、本当にジャンボなチョコパフェが2つ並べられていた。

「ンッフフ〜!!おいしそ〜!早速いっただっきま〜す!!ハムハムハムハム・・・・」

アルビレオはソッコーで駆け込み、すぐに椅子に座ってスゴい勢いで食べだす。それを見ていたスピカは驚いてしまい、レグルスは苦笑してしまっていた。

「さ、おまえも食べてごらん。私が腕によりをかけて作ったんだからね。」
「あ、は、はい。あの、ですけど・・レグルスさんの分は・・・・?」
「あぁ。姉さんは2人分しか用意してないからね〜。それに私はあまりパフェ系は食べないからいいんだよ。」
「ん〜そーだよ〜。だからスピカちゃん遠慮なく食べなってば〜。ン〜!!おいし〜!!ハムハムハム・・・・」

アルビレオが食べているのを見て、スピカは圧倒されつつ椅子に座り、レグルスの作りたてのパフェをいただくことにする。

「あ、それでは、いただきます・・・」
「あぁ、どうぞ。」

スピカはパフェをいただいた。
サクランボが中央に乗っていて、後はバニラアイスと生クリームがお出迎えしてくれている。チョコのトッピングもあって、下の方にはコーンやコーヒーゼリーなどが奇麗に入っている。上からは大量のチョコもかかっていて下までとけこんでいて・・見かけも奇麗だったし、味はもちろん文句なかった。この絶妙な甘さが何とも言えずにおいしい。

「あ、あの・・レグルスさん・・・」
「ん?何だい?」
「とっても、おいしいですよ?せっかくですから、レグルスさんも少し食べませんか?私だけが食べるなんて・・何か失礼で・・・・」

と、スピカはレグルスに言った。レグルスは少し驚いた顔をしていた。それはアルビレオも同様だった。

「スピカちゃん・・やっさし〜んだね〜。別にコイツになんて食べさせる必要なんてないんだよ〜?」
「で、ですけどそんな・・・私、いつもレグルスさんにお世話になってばかりで・・・・」
「フフッ、スピカ、いいんだよ。迷惑をかけてしまっているのは私の方だからね。」
「そ、そんなことないです!あの・・一緒に食べませんか?」

スピカにそこまで言われたらレグルスも否定する訳がなく、いつもの余裕ある微笑を浮かべて言った。

「フフッ、ありがとうスピカ。おまえは本当に優しいんだね。でも・・そのパフェはおまえの為に作ったんだから、おまえに食べてもらわないと意味がないんだよ?・・・あぁ、でもそれじゃあ・・少しだけもらおうかな?」
「はい。どうぞ。」
「フフッ。それじゃあついでだから、おまえが私に食べさせてくれないかな?」
「えっ?え〜っと・・・・」
「きたエロ根性。やっぱスピカちゃんそんなヤツにパフェなんて食べさせる必要ないっての。ったくも〜うこのスピカちゃんバカが・・・・」

と、アルビレオは一気に陰険な目つきでレグルスを見る。スピカはどうしようか困ってしまっていたが、意を決してアイスと生クリームを一緒にスプーンに乗せ、レグルスの口元に持っていく。
そのスピカの行動にレグルスはもちろん、アルビレオも目を見開いて驚いていた。スピカの顔は真っ赤だった。

「あ、あの・・・これで・・いいんでしょうか・・・?」
「・・・スピカ・・フフッ、そうだね〜。でもどうせなら、口移しの方が・・・」
「あんたいい加減にしなさーーーーい!!!スピカちゃんにこれ以上迷惑かけてどーすんのよ!?ホントにアホバカが!!」

と、アルビレオが本気でレグルスにキレた。レグルスは苦笑してアルビレオに言った。

「アハハッ、すまないね〜姉さん。でも私は、それほどスピカのことが大好きなんだよ。」
「あんたの場合ド変態って方が似合ってる気がするんですが。ったく〜、せっかくスピカちゃんがやってあげてるってのに更に上要求するなんてバッカじゃないの!?マジで〜。ったくも〜う、これだから・・・・」
「あ、あの、ですけどアルビレオさん。そんな・・いいんです、私。その・・・」
「スピカちゃんは優しすぎ!!こ〜んなヤツのゆーコトまともに聞いてたら脳みそマジで変になるっつの。ったくも〜う、スピカちゃんと正式にお付き合いしてるワケでもないのにさ〜・・もうちょっと考えたら〜?」

とアルビレオに言われ、さすがのレグルスも複雑な表情をしてしまう。

「う〜ん、それは確かにそうなんだけどね〜。でもやはり、愛する女性から口移しされてみたいだろう?姉さんも、愛する男から口移しは・・・」
「あたしはそーゆー趣味ないから。あ・・でもスピカちゃんがやってもイイってんならあたしは止めないけどさ。」

と言って姉弟2人でスピカを見るので、スピカは少し返答に困ってしまった。

「え、え〜っと・・・・その〜・・わ、私は、別に・・・・構わない・・ですけど・・・・恥ずかしいです・・・・」
「フフッ・・・可愛いね、スピカ。でもね・・・」

とレグルスは言い、いきなりスピカの口元にキスをし、舌で舐める。

「!」
「あ〜あ、やっちゃった・・・」

とアルビレオが言い終えた所で、レグルスはゆっくりとスピカから顔を離す。

「フフッ。おまえの口元に少しクリームが付いていたからね。これで私は十分満足だよ。」
「えっ!?あ、え、え〜っと・・・」
「ったくこのバカが・・・変態エロスケベ親父・・・・」
「おや。失礼だね〜、姉さ〜ん。私はまだ「親父」と呼ばれるほど歳は重ねてないんだけどね〜。」
「20過ぎればオヤジだっつの。ったくも〜う、見ててこっちが呆れちゃう。スピカちゃん可哀相に・・・・」
「あ、い、いえ、そんな・・・・あ、あの・・ところで、レグルスさん?」

と、スピカはレグルスに呼びかけた。突然のキスでまだ顔が少し赤い。

「ん?改まってどうしたんだい?スピカ」
「あ、あの、実は・・少しお聞きしたいことがあるのですけど・・・・」
「うん、何だい?」
「え。まさかスピカちゃん、あのコトこいつに聞くワケ・・・・・?」
「?・・「あのこと」って・・何だい?」

と、少し驚いて尋ねるレグルスにスピカは答えた。

「その・・仮面パーティーって・・レグルスさんご存知ですか?」

とスピカは尋ねた。途端に、レグルスの表情が複雑なものへと変わる。アルビレオもまた難しい顔をして言った。

「あ〜あのね。さっきスピカちゃんと話してたんだけどさ。スピカちゃん、前に仮面パーティー行ったコトあるって話になってさ。それで・・・・」
「・・・う〜ん・・つまり、この国の仮面パーティーに来たことがある・・ということなのかな?」

と尋ねるレグルスに、スピカもまた難しい顔をして答えた。

「その・・・私、実はよく分からないんです。ですけど、その・・・3年前に、仮面パーティーに来たことがあって、それで・・・・」
「ん〜まぁさ。ほら〜、一応ここの仮面パーティーって有名ジャン?だからそのことだけ、スピカちゃんには話しておいたんだけどさ♪」

とアルビレオは言った。レグルスは少し考えて、それから口を開いた。

「まぁ・・確かにここの仮面パーティーは有名だね。年に一度、建国祭の時に開かれるんだよ。フフッ。しかしどうしたんだい?スピカ。突然3年前のことを気にするなんて・・・」
「あ、え、えっと、その・・・・」
「まぁ、そこえら辺は女の子同士の秘密なのよ☆」
「ふ〜ん、なるほどね。それじゃあますます気になって仕方がないね〜。ね?スピカ。」
「えぇっ!?」
「もしよければ私に話してごらん。その3年前にあった仮面パーティーのことを詳しく、ね。」
「・・・そ、それは・・それだけは・・・駄目なんです・・・アルビレオさんとの、秘密ですから・・・」
「エラいっ!!スピカちゃんよく言ったわね〜。ン〜☆」

とアルビレオは言ってスピカの頭をなでる。スピカは少し照れてしまって顔を赤くしてしまった。

「あ、は、はい・・・・」
「・・・・まぁ、いいけどね・・・その内私にも話してくれることを期待するしかないね。」

と、レグルスはこのような状況にあっても余裕ある微笑を崩すことはなかったのだった。


  

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