第34話「アルビレオと過ごす時」
さて、翌日のことだった。
夜はレグルスとのセックスで、スピカの起きる時間は大体11時前後になってしまっていたので、今日も11時位にノロノロと起きてきたスピカであった。
いつもなら1階に下りればレグルスがブランチを作って待ってくれているのだが・・・・今日はレグルスの代わりに何とアルビレオがいた。
「あっ、起きてきたんだね!!オッハコ〜ン!!スピカちゅわ〜ん!!ンッフフ〜!!お久しぶりね〜!!」
と言ってアルビレオはスピカに抱きついてきた。
「あっ・・アルビレオさん・・・どうしたんですか?おはようございます!」
「ン、おはよ☆あ、あたしはね〜、アイツの代理♪アイツ今出かけていないのよ〜。」
「えっ!?お、お出かけなさってるんですか!?どうしてですか?」
「ン〜。まぁ簡単に言えば・・・実家に帰ってんのよ♪」
「実家ですか!?あ、そういえば・・・ここってレグルスさんの実家・・って訳ではないんですよね・・・・?」
「ン〜そーだね〜。むしろ仮住宅かな〜ここ〜。いずれは壊される所だよ♪」
「ええぇぇ〜〜っっ!?」
何だか起きてきて早々レグルスはいないわアルビレオからとんでもない真実を聞き出すわですごい日だと思ってしまったスピカであったのだが、レグルスが自分に何も言わずにこの家を空けていったことが、何となくスピカは気になってしまった。
「レグルスさん・・・私に何も言わずに・・・」
「あぁ〜、何せ突然のコトだったモンでさ〜。あたしが朝早くここにきてさ〜、それでまぁ・・あいつには出て行ってもらったワケ♪ちょ〜っと実家から呼び出しくらってさ〜。まぁ・・あいつ放蕩息子だからさ〜、今更長期間実家にいないコトはウチの家族でも慣れきっちゃってるんだけど・・・・あぁ〜、そこのお食事はちゃんとレグルスが用意してったモノだから、一緒に食べながら話そっか!スピカちゃん!」
「あ、はい。」
と言うことで話は一旦打ち切られ、スピカにとってはブランチを、アルビレオにとっては少し早いランチを食べることにする。
丁寧にラッピングされている食べ物は、そのおいしさを十分に残してくれていた。相変わらずレグルスの作る食べ物は何でもおいしい。
アルビレオの方はと言うと、相変わらず音を立てて紅茶を飲んでいたりすごい勢いで食べているのは変わらない。スピカはつい動きが止まってしまう。
「あぁ。んで・・今あたしどこまでスピカちゃんに話したっけ?」
「えっ!?え〜っと・・・レグルスさんが、ご実家から呼び出しを受けて急遽お出かけになって・・レグルスさんは長期間実家に帰っていないという所までです・・・」
「あぁそっかそっか。んでまぁそーゆーワケなんだけどさ〜・・・・・ねぇねぇスピカちゃ〜ん。アイツから聞いたんだけど・・・昨日ウチの国王様に会ったんだって〜?」
「えっ?あ、はい、そうなんです。ラグリア様、でしたよね?」
「あ〜。あんなヤツに律儀に「様」なんて付けなくたってイイよ〜。んでさ、更にアイツから聞いたんだけど・・・・スピカちゃん、あーゆータッチの男好みなの?」
と、レグルスとはまた違った陰険な目つきで尋ねてくるアルビレオにスピカがタジタジになる訳がなく、レグルスに昨日問い詰められたことより今アルビレオにこうして問い詰められてる方が何倍も怖かった。
「あ、え、え〜っと・・・・そ、その・・・アルビレオさんは、ラグリア様みたいな方素敵だと思いませんか?」
「ぜんっっぜん。」
「あ・・・・・・・」
即答で力強くアルビレオに言い切られてしまうとスピカもどう反応していいか分からず、苦笑したまま固まってしまった。
「まぁ・・あたしはそもそも男自体に興味ないからあれこれ人の好みに文句付けたくはないんだけど・・・・ちょっとスピカちゃんラグリアは間違ってるわ。それだったらあたしレグルスの方がまだイイと思うんだけどね〜。」
「えっ?ど、どうしてですか?」
「ン〜・・・・あいつあぁ見えて女に関してはド素人なのよね〜。だから、スピカちゃんが望んでいるよーな反応しない気がするし・・・あげくスピカちゃん、あのラグリアが例の仮面男だと思ってるみたいね?」
「え?あ、はい・・そうなんですけど・・・・」
「ごめんスピカちゃん先に断言しとく。ぜっったいありえないからそれ。あんなヤツがスピカちゃんの例の仮面男だったとしたら・・・・あたしこの世の中全部信じきれなくなるわ。」
「えっ?ええぇぇ〜っ!?そ、そんな・・・・」
アルビレオにあっさり否定されてしまってスピカはショックを隠しきれなかった。いつもアルビレオのことは信じてきていたスピカだったが、今回ばかりはさすがに反論せずにはいられなかった。
「ですけどアルビレオさん、分からないですよ〜。私が、何となくそう思っただけですけど・・・・王様独特のオーラをお持ちでしたし、とてもお優しい方だと聞きました・・・・」
「まぁ確かに優しいかもしんないけど、同時にスンゴイ怖いよあの人。女子供でも容赦ない人だから。あ、で〜も・・・スピカちゃんこの通り超絶可愛いから・・・・もしかしたらスピカちゃん並に可愛ければ、あいつの態度も少しは違くなんのかな〜・・・・う〜ん・・・・・」
「え、え〜っと・・・・」
何やら難しい顔をして考え込むアルビレオを見てスピカはどう反応していいか分からず、取り敢えず新鮮なキャベツとレタスのサラダを食べることにする。
アルビレオはしばらく考え込んでいたが、どうやら結論が出たようで口を開いた。
「ね〜ぇ〜スピカちゅわ〜ん。ラグリアに会う気とかあったりする〜?」
「えっ?あの・・・お会いすること・・出来るんですか?」
「あ〜。これでもウチの城の門、常に国民の為に開かれてて、即日行ってもラグリアとの謁見って可能だったりするのよ?」
「ええぇぇ〜〜っ!?ホントですか!?それなら・・是非お会いしてみたいです!!」
「ん〜・・・スピカちゃん可愛いからね〜、きっとアイツが気に入りそーな気がするんだよね〜。んじゃ善は急げでさ〜、早速明日お城に行ってみる?」
「えっ?あ、はい!!あの・・アルビレオさんが、連れて行って下さるのですか?」
「ん〜まぁ〜あたしでもイイけど・・・・いいよ、あたしからレグルスに頼むから。あ、でも今のアイツにはあたしが言っただけじゃ〜説得力ないから、一応スピカちゃんからもお願いするんだよ?」
「あ、は、はい。あの・・そういえば・・・レグルスさんは、いつ頃戻られるのでしょうか・・・?」
「あぁ〜、あいつ朝の7時位に実家行かせたから・・・そろそろ戻ってきてもイイんじゃないかな〜?」
「えっ!?あ、そうなんですか!?・・・お早いんですね・・レグルスさん・・・・」
と、妙に顔を赤くしてしまったスピカを見てアルビレオはすぐに感づいた。
「あ〜、そういえばアイツと性的関係持ってるんだっけ?スピカちゅわ〜ん。」
「!!!あ、あの・・はい・・・・・」
「ん〜ま・・男は女ほど大変じゃないからね〜、スピカちゃんが心配するよーなコトじゃないって♪でもその点、ホント女の子は大変よね〜。だからあたしはスピカちゃんの味方☆同じ理由でスピカちゃんのコトも起こさなかったんだけど・・・・実際レグルスもスピカちゃんを強制的に起こすコトはしないみたいだしね♪」
「あ、あの・・・はい・・・・レグルスさん、そういうことに関して何も仰らないんですけど・・・・本当に、気の利く方だと思います・・・・」
とスピカは顔を赤く染めて言った。アルビレオもそのことについて否定しなかった。
「まぁ・・あいつはね〜、女の子多大に好きだからね〜。実際あいつ、今まで性的関係持ってる女の子の数って数え切れないと思うし・・・そんだけ一杯女の子と付き合ってれば、自然女の子がして欲しいこととして欲しくないこと位分かるんじゃないの〜?」
「あ・・は、はい・・・・そう・・ですね・・・・」
レグルスが他の女性と関係を持っていると考えただけで、スピカは胸がつぶれそうな思いがした。
どうしてだろうか。自分はまさか、そんなほとんど見知らぬ女性達に嫉妬しまっていると言うのか。自分は誰よりもあの時の仮面パーティーの男性のことが好きな筈なのに・・・・・
そんなスピカが今にも泣き出しそうな顔をして黙っているのを見たアルビレオはまた悟ったらしい。
「スッピカちゃ〜ん、そんな顔しないでよ♪今のアイツにとっては、スピカちゃんと一緒にいるコトが何よりも幸せみたいなんだからさ!」
「・・・・アルビレオさん・・・・・」
「だいじょーぶ!アイツが本気でスピカちゃんのコト好きなコトは前にも言ったでしょ?」
「・・はい・・・そう、なんですけど・・・・」
「ほ〜ら〜!そんな暗い顔しないでスピカちゃん!スピカちゃんは笑顔が一番可愛いんだから!ね?もうすぐあいつも帰って来るコトだろーし、ちゃ〜んと笑顔で迎えてあげんるだよ〜?」
「・・アルビレオさん・・・・はい。」
スピカはやっと笑顔になって返事をしたのだった。
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