第4話「さよなら我が家」
「い、いや・・・・!それ以上、私に近付かないで下さい・・・・!助けを、呼びますよ?」
「フフッ、呼べるものなら呼んでみてごらん?警備員達は皆、お宝がある倉庫の方に行ってしまっているんだろう?可哀相にね。私のとっての宝はおまえなのに・・・・・」
そう言ってレグルスはスピカの頬に手を触れた。
「い、いや・・・・!」
「シッ、静かにして。大人しくしてくれれば、何もしないよ。だから、今だけは私の言うことを聞いてくれるかい?」
とレグルスは言った瞬間、スピカを抱き上げていた。俗に言う「お姫様だっこ」の状態である。
「キャッ!!」
「静かに。騒いだら、その唇にキスしてしまうよ?」
「ええぇ〜っ!?」
「おや。フフッ、早速騒いでくれたね。それじゃあ・・・」
と言って本気でキスをしようとしてくるレグルスの顔を、スピカは手で押しのける。
「や、やめて下さい!!そんなことしたら・・怒ります!!」
「フフッ。これからそれ以上のことをしようと思っているんだけどね〜?」
「へっ?それ以上の・・こと・・・・・・?」
スピカは何のことかよく分からずに首をかしげてしまった。
後からその言葉の意味を教えられることとなるが、この時のスピカは異常な事態でパニクっていたこともあって、冷静に考えられることが出来ないでいたのである。
「フフッ。それじゃあ、行くよ。」
レグルスはそう言って、スピカをお姫様だっこしたままの状態で窓を開け、いきなり飛び降りるというとんでもない行為をしでかした。
「えぇっ!?」
あまりに突然のことでスピカは訳も分からず死ぬのかと思い、怖くて反射的に目を閉じていたのだった・・・・・・・・・・・・
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