第5話「仮面パーティー」

「・・・・・・あ・・あら・・・・・?」

もうどの位目を閉じていたのだろう。気が付いたスピカは、周りの世界が異常に明るいことに気が付いた。
そして沢山の人々がいる。男性はタキシードを着て、女性はドレスを着て・・・・・・シャンデリアが煌々と灯るパーティー会場。皆仮面を付けていた。

「これは・・・・仮面・・パーティー・・・・・?私・・・なぜ、こんな所に・・・・・?」

気が付けば、スピカ自身もドレスを身に纏い、仮面を付けていた。
・・・・・・・・・この仮面パーティーは、以前スピカには覚えのあるものだった。
3年前、両親と共に仮面パーティーに招待されたスピカは、そこで1人の男性と知り合ったのだ。

「・・・・・・あの、方は・・・・・・?」

スピカはこの広いパーティー会場で、あの時知り合った男性のことを探し出した。3年前のあの時は、男性の方から声をかけてくれたのだ。
舞踏会自体はスピカも何度か出たことがあったが、仮面パーティーは初めてのことであったし、仮面を付けるという慣れないことをしたおかげで視界がせまく、少しフラフラしてしまっていたスピカを抱きとめてくれたのがその男性だった。
スピカはあの時のことを、思い出していた・・・・・・・・・・・




「おやおや。大丈夫ですか?」

スピカを抱きとめてくれたその男性は、スピカに優しくそう問いかけた。
仮面を付けていても、その男性は見るからに美形そうなのが分かった。何とも言えない魅力を携えた男性である。
スピカはそのことと、抱きとめてくれたことも相まってすぐに顔を赤くして返事をした。

「は、はい。す、すみません・・・・・」
「フフフッ、構いませんよ。これもご縁でしょうからね・・・・それにしても、あなたはお美しいですね・・・連れの男性はいらっしゃらないのですか?」

と、その男性はスピカに笑いながら尋ねてきた。

「つ、連れの男性・・ですか?いませんけど・・・そ、それよりそんな・・・・私、美しくなんか・・ないですよ・・・・・・」

「それならむしろ、あなたの方がよほど素敵な方です。」とスピカは心の中で続けていたが、そんなこと言えたものではなく、顔を赤くするばかりであった。

「フフフッ、そうですか?私には、とても美しく見えますよ?その仮面の下にある顔を、覗き込んでみたい位です・・・・・」

とその男は言い、スピカの頬に手を置いた。

「そ、そんな・・・・・・」

スピカの顔は真っ赤になっていた。

「フフフッ。ところで、連れの男性がいないとは本当ですか?それならば、是非私と一緒にいて欲しいのですが・・・・・」
「えっ?あ、は、はい。私なんかでよろしければ・・・・・」
「フフッ。あなたでなければ、私は駄目なんですよ。ほら、運良くダンスの時間も始まりました。一緒に踊りましょう。」

そう言って、その男性は跪いてスピカの手の甲に軽くキスを送った。
スピカは軽く頷き、それからその男性とスピカは、ずっと一緒に踊っていた・・・・・
その時男性は、スピカにこう言ったのだった。

「またあなたとお会いしたいですね。その時は・・・あなたの下に、私が迎えに行きましょう。そして・・・いつか必ず、一緒になりましょう・・・・・」


  

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