「先生の家」 3

「えっ?それじゃあ、あの生徒さんが、学さんの言ってた恋人さんなの?」

「そうですよ〜!!可愛いでしょう?ふーせー君って言いましてね〜・・・・」

フフフフ〜、いよいよふーせー君のことを自慢する時がやって来たよ!!有観さんにはふーせー君とお付き合いを始めたあの日に電話で報告したんだけど、そういえばふーせー君と直に会ったのは初めてのことだったね〜。

「・・ねぇ、学さん。いいの?彼女のことを放っておいて、私のことを・・・・」
「あぁ〜っ!!そういえばもう20分位経っちゃいましたか?いや〜、私としたことが!!有観さんといると、つい話が弾んじゃっていけませんね!ワハハハハッ!!」
「早く様子を見に行って上げた方がいいと思うわ、学さん。私、嫌な予感がするの・・・・」

私が立ち上がると、有観さんも立ち上がって、どこか不安そうにそう言った。うぅ〜ん、嫌な予感って何だろう?私は特に何も感じないんだけど・・・・

「そうですか?それでは少しだけ失礼しますね!」
「うぅん、私も一緒に行くわ、学さん。何事もなければいいのだけど・・・・」

そうして有観さんと一緒にリビングの方に行ってみた。すると、これはどうしたことか!!!確かにいた筈のふーせー君がいなくなってる!?

「ふーせー君?ふーせー君!?どうしたんだい!?かくれんぼ・・してる訳じゃないよね?」
「・・やっぱり・・・・学さん。あの子、私のこと誤解したんじゃないかしら?」
「はぁっ!?誤解って?」
「・・・私と学さん、姉弟とは言っても義理だから似てないし・・・・初めてあの生徒さんが私を見た時、本当に驚いていたわ。女の私には分かるの・・・あの子、私のことを学さんの彼女だって誤解してる。」
「何だって〜!?」

それは私が全く予想だにしていないことだった。確かに有観さんとは腹違いの姉弟だから似てないと思うけど、有観さんは私より7つも歳が離れている上に、旦那さんと子供さん3人の5人で幸せな生活を送られている。
しかも私が浮気なんてする訳ないだろう!?こんな堂々と!!しかも義姉の有観さんをだよ!?あり得ない!!!・・・・だがしかし。冷静になって考えてみれば、ふーせー君には有観さんのことを全く話していなかったし、有観さんは歳を感じさせない美しい女性だと私も思う。
腹違いの姉であるにも関わらず、有観さんは昔から私に優しく接してくれていた。だから私も、出来る限り有観さんの力になりたくて色々お手伝いしている。そう、極普通の姉弟仲睦まじい光景だとは・・・・ふーせー君には思えないか。

「ごめんなさい!学さん。あの子が来てるって分かった時点で、私が帰れば良かったんだわ。」
「いや、有観さんのせいじゃないですよ!!ふーせー君のことを全く考えてあげれなかった、無責任な私が悪いんです・・・・それに、有観さんにもご迷惑をおかけしてしまって・・・本当にすみません!」

あぁ、本当に自分が情けない!!ふーせー君にとんでもない誤解を招いたあげく、有観さんにまで気を遣わせてしまって・・・・

「そんな、私はいいの。それより、早くあの生徒さんのことを追ってあげて。ようやく学さんの想いが叶った彼女さんなんだから・・・・」
「有観さん・・・ありがとうございます!取り敢えず、近くを探してきます。」
「私も手伝うわ。学さんが浮気者扱いされたら困るもの。」
「有観さん・・・ありがとうございます!感謝します!!」

そうして2人で外を出て、マンション近辺を探し回ったんだけど・・・・収穫は0だった。外を歩いていた人にふーせー君の特徴を伝えても、「知らない」「見てない」の返事のみ。合流した有観さんに話を聞いても、私と同じで収穫は全くなかったようだ。

「学さん、まずいわ。このままだとあの生徒さん、あなたを誤解したままよ?」
「そうですね・・・何としても見つけ出さないと・・・・」
「心当たりはないの?あの生徒さんの行きそうな場所とか・・・・」

有観さんにそう言われても、私には思いつかなかった。気ばかりあせってしまっていた上に、大事なふーせー君をこんな誤解で失ってしまったことが本当に情けなくて・・・・何もまともに考えることが出来なかった。

「いや・・まだ、ふーせー君とは付き合ったばかりで、どんな場所が好きかはよく分からなくて・・・・」
「それなら、誰かあの生徒さんのことを詳しく知ってる子はいないの?」

有観さんにそう言われて、それまであせっていた私に一筋の光が見えた。そうだよ・・・忘れていたじゃないか!!!ふーせー君のことをよく知っている生徒を・・・・私が世話になっている、あの生徒の存在を・・・・

「・・・いましたよ、有観さん。ありがとうございます!早速、電話してみます!!」

 

それからヒントをくれた有観さんは、「そろそろ下の子が幼稚園から帰ってくる時間だから」と言って別れた。こんな形で有観さんと別れることになったけど、さすが有観さん!有観さんがいなければ、私は完全に全ての道を見失っていたよ・・・・
家に戻った私は、早速電話をかけた。トゥルルルと鳴る電話の音が、ひどくもどかしい。早く出ておくれ・・・・!!
そうして電話の音が3回鳴った時だろうか。待っていた人物が電話に出てくれた。

「はい、風声でございます。」
「あぁっ、Mr.ふーせーく〜ん!!!曽我部だよ!!良かった!!君に大至急話さねばならないことがある!!!」
「えっ!?あっ・・は、はい。」

私の勢いにMr.ふーせー君は驚いているようだった。ワハハハ、無理もないよね。
そう!有観さんの言う「Ms.ふーせー君を詳しく知っている子」といえばMr.ふーせー君だ!!しかもMr.ふーせー君はMs.ふーせー君の双子のお兄さんである上に、私にとっても貴重な化学部部員で、なくてはならない存在だった。それに私とMs.ふーせー君の仲を知っているという意味でも、Mr.ふーせー君の存在はとても大きいものだと言えるだろう。
早速私は、Ms.ふーせー君が有観さんのことを誤解してしまって、家を出てしまったことをMr.ふーせー君に話した。Ms.ふーせー君には全く言わなかった、有観さんが腹違いの姉であることをきっちりMr.ふーせー君に述べた上でだ。
Mr.ふーせー君はこの話を聞いて当然ながら驚いていた訳だけど、敢えてMs.ふーせー君がいなくなってしまったことを私のせいにすることはしなかった。

「・・・すみません。妹が、また先生にご迷惑をおかけしてしまって・・・・妹は、カッとなるとすぐ行動に移すものですから・・・・」
「いや、Ms.ふーせー君は何も悪くないよ。私が悪かったんだ、本当にごめんね!!!君にとっても大事な双子の妹君なのに、私がこんなことをしてしまって・・・・!Ms.ふーせー君の恋人として失格だね・・・・」

そう思うと、自分が本当に情けなかった。前にもMs.ふーせー君は「「みんなの」先生じゃやだ」と言って泣いて走っていったのを覚えているのに、同じことをさせてしまった・・・・!!
しかも今は、あの時より状況がはるかにひどい。どうして成長出来ないんだろうね、私は・・・・あの時の一件で、Ms.ふーせー君がすぐに嫉妬しやすい性格をよく分かっていた筈なのに・・・・

「いえ、そんなことないです。先生が白昼堂々と浮気するなんて考えられませんし・・・・妹は、昔から嫉妬深くて・・・本当にすみません。」
「いいんだよ、ふーせー君。それよりだ!!まさかとは思うけど、Ms.ふーせー君が家に帰ってるってことはないよね〜?」
「あ・・今は、俺1人だけです。」
「やはりね〜・・・・ねぇ、ふーせー君。Ms.ふーせー君が行きそうな場所に心当たりはないかな?今ね、手がかりが全くない状況で困っているんだよ。私としても早くこの誤解を解きたいし・・・・君の分かる範囲でいいんだ!教えてもらえるかい?」

私がそう言うと、Mr.ふーせー君は「うぅ〜ん・・・」と考えている様子だった。頼む、今の私にとっては君だけが頼りなんだよ!信じているからね、Mr.ふーせー君!!
程なくして、Mr.ふーせー君の考えがまとまったようで話してくれた。

「・・先生。実は、俺と妹しか知らない、秘密の場所があるんです。小さい時にいた孤児院なんですけど、今は閉鎖されてしまって、大きい桜の木が2本生えています。それで・・・つらかったことや悲しいことがあった日・・あるいは卒業式とかがあった日に、俺と妹はそこに行って、お世話になった孤児院の先生達を思い出して、励ましあっていました・・・・妹が意味もなく遅く帰って来ない時なんかは、そこに行くと必ずいましたから・・・きっと妹は、そこにいるんじゃないかと思います。」
「そうか・・・・!君たちにとって、何よりの思い出の地で、大切な場所なのだね!!・・・ふーせー君。その場所を、詳しく教えてもらえるかい?大きい桜の木2本が目印と考えてよろしい?」
「はい、俺の家からそう遠くない所なんですけど。俺の家から少し行った所の裏に、ちょっとした山林地帯が広がってるの、ご存知ですか?」

ふーせー君にそう言われて、私の中である箇所が判明した。そういえばふーせー君の家からほんの少し行くと、その一帯の後ろは山林だったね〜。その中で春になると2本だけ、奇麗な桃色に色付く木があったのを私は見て知っていたよ!しかし遠そうだったから、実際に行ったことはなかったね〜。孤児院跡だったとは、いやはや・・・・

「ウム、分かるよ!!ありがとう、ふーせー君!!私は早速、そこに行ってみよう!!必ずMs.ふーせー君を連れ帰すから、これからもよろしくね?Mr.ふーせー君!!」
「こちらこそ。あんな妹ですけれど、これからも俺共々よろしくお願いします。」
「ウム!!それじゃあ、本当に助かったよ!ふーせー君!!もしもMs.ふーせー君が家に帰ってきたとしたら、私のケータイ番号知ってるよね?そっちに連絡くれるかな?」
「はい、分かりました。あの・・妹は、1度これと思ったことを、なかなか妥協しない性格なんですけど・・・先生なら、きっと妹を説き伏せてくれると信じています。」

Ms.ふーせー君がいなくなってしまったことに、未だにショックを感じている私だけど・・・・君の励ましの言葉で、Ms.ふーせー君の所に確実に足を運べそうだよ・・・

「ありがとう、ふーせー君!!必ずMs.ふーせー君の誤解を解いてみせるよ。待っていてね!!」
「はい。ありがとうございます、先生。」
「ウム!こちらこそ、ありがとう!ふーせー君!!本当に助かったよ!それじゃ、またね!」
「はい、失礼します。」

そうしてふーせー君と電話を切った。ウム、Ms.ふーせー君の居所が分かったし、とにかく行くしかないね!!
・・・きっとMs.ふーせー君は泣いてしまっていることだろう。ごめんね・・・ごめんね、ふーせー君!!今、君のいる所に向かうから待っているんだよ・・・・

 

もうどれ位、ここで泣いてるんだろう。あたし・・・・葉っぱも何もない桜の木の片方に寄りかかって、ただずっと泣いていた・・・お兄ちゃんとあたししか知らない、秘密のこの場所で。
もう動きたくない、何も考えたくない・・・・勢いのままここまで走ってきたけど、涙ばっかりあふれてくる。しかも今は冬だから、吹いてくる風が寒いよ・・・・あっという間に太陽も沈んでしまって、あたりには暗さが広がっていた。
しかもここってばちょっとした山になっている上に、林が広がってるから・・・木が生み出す暗さに気持ちの暗さが寄りかかってる感じ。でもそれに相反するかのように、ここから見渡す景色は電気の光があちこち散りばめられてて、まるでスパンコールのようだった。
でも、今は明るい景色なんて見たくない・・・・ここの木が生み出す暗さと一緒にいたい。あたしは、一気に大切なものをなくしたんだから・・・・
夜になったら、お兄ちゃんが迎えに来てくれると思う。でも、それまで待ってられるかな?あたし・・・・本当に寒いよ。身も心もボロボロになりそう・・・・
あたしは少し虚ろになりながら思い出していた。先生と有観さんって女の人のこと・・・・本当にお似合いだよね。美男・美女カップルで、あたしの出る幕なんて全然なかった。
しかも先生は、あの有観さんって人にお金あげたんだよね。きっと高額そう・・・あたしが予想も出来ない位のお金を有観さんにあげたんだろうな〜。生活費とか?どんなお付き合いの仕方してるのかよく分かんないけど、イイな〜・・・・やっぱり、曽我部先生に愛されてる証拠だよね。
極めつけは名前で呼び合ってたこと。「有観さん」で「学さん」って・・・イイ響きすぎ。あたしなんて、まだ「先生」から抜け出せないし、先生も変わらず「ふーせー君」だし・・・・完全に子供扱い。スポーツしか出来ない落ちこぼれ生徒だし・・・・
それでもあたしは、本当に先生が大好きなんだよ・・・・!!でも先生がキスしてくれたことや、あたしの気持ちに応えてくれたことは全部ウソで、本当の気持ちなんかじゃなかった。あたし、ついその気になってたけど・・・先生にとっては、ちがかったんだね・・・・
改めて先生にどうでも良い存在だと思われてたんだと思うと、あたしは涙が止まらなかった。よく考えてみれば、先生みたいにカッコ良くてモテモテの人が、大した特徴もないあたしのこと「好き」だなんて言う方がおかしいよね!もっと・・もっと早く気が付けば良かった・・・・!

「ウッ・・ウゥッ・・・ヒック・・・」

完全にあたしが絶望に陥って泣いていたその時だった。かすかに足音が聞こえてきて、あたしはハッとした。ここを知ってるのはお兄ちゃんだけだから、お兄ちゃんが迎えに来てくれたのかな?・・・・うん、お兄ちゃんに全部言おう。曽我部先生とのこと・・・・これからは「ただの生徒になるんだ」って。
そう思って何とか立ち上がったその時、こっちに来てくれる人を見て、あたしは驚いてしまった。だってそれは、お兄ちゃんではなかったから・・・でも、よく知ってる人で。
ウソ・・どうして?ここは、お兄ちゃんとあたしだけの秘密の場所なんだよ?それなのに、どうして・・・・!?

「ふーせー君・・・・!!やっと会えたね!良かった・・君が無事で、本当に良かった!!」

そうしてあたしを強く抱き締めてくれたのは、紛れもなくあたしのことなんてどうでもよく思ってるであろう曽我部先生だった。どうして・・どうして!?何で曽我部先生がこの場所知ってるの!?

「・・せん、せ・・・!?どう、して・・・」
「Mr.ふーせー君に教えてもらったよ!ここは、君とMr.ふーせー君だけの秘密の場所なんだって?・・これからは、私と3人の秘密の場所になりそうだね!」
「・・・先生。それより、いいんですか?あの奇麗な彼女さんは?」
「奇麗な彼女・・・・ウム。やっぱり誤解していたね?ふーせー君。有観さんは、私の腹違いの姉だよ。」

ウソ・・ウソだ。そんなの絶対ウソに決まってる!!それまで泣くことしか出来ないあたしだったけど、キッと曽我部先生をにらみつけた。

「よくそんなウソつけますね!!あんなに親しそうにしておいて義理のお姉さんだなんて、あり得るワケないじゃないですか!!」
「ふーせー君!?何を言うんだい!嘘なんてついていないよ?私は。」
「それもウソです!こうしてあたしを抱き締めてくれてることも・・・全部、全部ウソです!!先生はウソだらけの人なんだ!!!」
「ふーせー君・・・落ち着いて!!冷静になって考えてみなさい!!君と私は恋人同士なんだよ?有観さんを快く招き入れた私は確かに一番悪いだろう!でも、君という恋人がいながら有観さんを堂々と家に入れたのは、有観さんと私が隠す関係ではない腹違いの姉だからなんだよ?」

ウッ・・でも先生と全然似てないじゃん、あの有観さんって人・・・・

「でも!!先生、あの女の人に美しいとか言ったり、あげたお金がどうこうって言ってた。絶対にあの人が彼女なんでしょ!!そうならそうって言ってよ、先生!!!その方が先生のこと、スパッと諦められるから・・・・」
「・・分かった、ふーせー君。最初から説明しよう!有観さんと私は歳が7つ離れているんだよ。それから有観さんは既婚者で、素晴らしい旦那さんと可愛い子供さんも3人いる・・・そんな有観さんは、小さい時から腹違いの弟の私にずっと優しく接してくれた。お互いの母親同士の仲は良くなかったけど、私と有観さんは極普通の姉弟のように仲良くしていたんだよ。」

先生はそこまで言うと、あたしの顔を覗き込んできた。ウッ・・この曽我部先生のカッコ良さに負けたらダメ!!あたしは必死に先生をにらみつけた。

「・・作り話はそこまでですか?」
「いや、君がちゃんと真実の話を聞いてくれてるのかと思ったんだよ。続きを話そう!有観さんとは一緒に生活することが出来なかったから、時々会ってお互いに支え合って生きてきたんだ。でも、有観さんは私が・・・そう、丁度君と同じ歳の時だったかな?お嫁に行ってしまったんだよ・・・・それからは私も学業が忙しかったから、1年に1回会う感じだったかな?・・・そうこうする内に、私が星光学園の教師になったのさ。そして今住んでるあそこのマンションは、有観さんの家からそう遠くなくてね。時折暇になると、有観さんが私の所に遊びに来てくれていたんだよ。今日もそれだったのさ!」

・・・信じられない、信じたくない。でも、先生はウソを言ってる感じじゃなかった。それでも、信じることが怖い・・・!これは、先生が言葉巧みに作り上げた話なんだって思いたい・・・・

「・・ウソだ。ウソに決まってる・・・・」
「まだ続きはあるよ?ふーせー君。君が気にしていた話だね!私が有観さんに「美しい」と言ったのは社交辞令。これはOKだね?それからお金をあげた件なんだけど、有観さんの家のローンが予定より長引きそうだと言っていてね。話した通り、昔から有観さんにお世話になっていたから、気持ちばかり有観さんのご家庭にお金を差し上げたんだよ。もちろん他人にお金をあげるというのはあまりよろしくないことだね!だがしか〜し!!そのことで有観さんのご家庭が少しでも助かればと思ったのさ!ご家庭の中でも一番の悩みだったようだからね〜・・・・さ、ふーせー君。ここまで言っても、まだ私と有観さんのことを疑うかな?」

そう言って、先生があたしを見つめた。ヤダ・・泣き顔、見られたくないのに・・・・
きっと・・きっと先生の言ってることは本当だと思う。でも、あたしの心の中でまだ反発してるのも確かだった。

「・・疑いたくないですけど、疑います・・・・」
「!ふーせー君・・・・」
「作り話はいいんです!!先生とあの女の人がお付き合いなさってるなら、それはそれであたしは構いません!!だって、あんな奇麗な人に勝てるワケないもん・・・・!」
「ふーせー君!!・・それじゃあ、こう言えばいいかな?君は、Mr.ふーせー君と付き合っているの?」
「えっ・・・!?」

思ってもいないことを言われて、あたしは本気で驚いた。な・・何でお兄ちゃんとあたしが付き合わなきゃいけないワケ〜!?

「Mr.ふーせー君は、私より優しくて君に対する理解もあるだろう。私では、Mr.ふーせー君の代わりにもならない・・・そうなんだろう?」
「なっ・・ちょ、ちょっと待って下さいよ!!何であたしとお兄ちゃんが付き合わなきゃいけないんですか!!」
「・・ふーせー君、気が付いて。今君が言ったことこそ、私が君に言いたい気持ちそのものなんだよ・・・!」

先生に優しくそう言われて、あたしはハッとした。そうだよ、「きょうだい」っていう括りで恋人同士のお付き合いなんてあり得ないことで・・・・それじゃあ、あたしは・・・・!!

「先生・・先生!!ごめんなさい・・・・ごめん、なさい・・・・!!!」

こんなバカなことで誤解してたんだって、ようやく気が付いた。自分がバカすぎて最高に嫌だった。でも、今頃謝ったって先生は許してくれなさそう。だって疑うだけ疑って先生に当り散らして、「全部ウソだ!」って否定して・・・・

「・・・いいんだよ、ふーせー君。気にしないで・・・誤解が解けたのなら、私はそれでいいんだよ・・・・」

ダメ、このままいたら先生に甘えちゃう。それはダメ・・・・!!だって、ここまで先生を否定したあたしがだよ?このまま先生の傍にいていいと思う?・・・答えは「No」だよね?

「ヤダ。先生、優しくしないで・・・!!どうして!?どうして先生は、そんなに優しいの!?あたし、最悪じゃないですか・・・・!先生の言うことまともに信じずに、自分で勝手に誤解して、先生に迷惑かけさせたんですよ!?突き放してよ、先生!!そうじゃなきゃ、あたし・・・・!」
「・・そんなことは出来ないよ。君を誤解させるようなことをした私が悪いんだから・・・・ごめんね、ふーせー君。君をこんなに泣かせてしまって、つらい気持ちにさせてしまって・・・本当にごめんね・・・!」

先生はそう言って、あたしを更に強く抱き締めてくれた。先生、優しすぎだよ・・・・!もうダメだった、先生の優しさに完敗状態。あたしは先生の優しさに甘えてただ泣くことしか出来なかった・・・・・


  

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