「放課後、勉強教えてください」 1


かれこれする内に数ヶ月。取り立てて何もないまま、平凡な毎日が過ぎていってる。前期期末テストがもう少しで始まろうとしてるのかな?何かもう、テストとかどうでも良くなってきちゃってるからな〜・・・・正直、勉強しようとかいう気にならない。
うぅ〜ん。本当は、こんなことではいけないんだろうな〜。分かってるんだけど、やっぱり部活はやめられないワケでぇ〜・・・・ってゆーか、テストが始まる1週間前から放課後の部活ってしないものなんだけど、あたしはどうしても体動かしてないと、落ち着かなくて・・・・
ってコトで、あたしは誰もいない体育館にコッソリ入り込んだ。体育館の鍵はまだ開いてるみたい・・・良かった〜。
誰もいない体育館って、普段と全然雰囲気が違うなって思う。1年の頃からテスト期間中に時々出入りしてたけど、それでもやっぱりこの違和感は拭えないな〜。
準備室にあるバレーボールを手にとって、あたしは簡単にボールを壁に投げてみたり、バウンドしたボールをレシーブしたりする。うぅ〜ん!やっぱり動いてる時って気持ちイイ〜!!生きてて良かったって思う瞬間なんだぁ〜、エヘヘッ。
そうしてあたしが夢中になって、ひたすらボールと遊んでいたその時だった。突然体育館のドアがガラガラって開いて、あたし、毛が逆立つようにビクッと驚いちゃったんだけど・・・・中に入ってきたのは、曽我部先生!?

「フフ〜ン。やぁ!!Ms.ふーせー君!!きっとここにいるんじゃないかと思ったんだよ〜。」
「えっ?えぇっ!?先生!?どうしたんですか!?」

ウソ、ウソ!!今までテスト期間中体育館にいても、見回りの先生が「早く帰ってね。」って来ただけだったのに、どうして曽我部先生がここに来るの〜!?一気にドキドキしちゃう・・・だって、今ここにはあたしと先生の2人しかいないんだよ!?
ダメだよ、これおいしいシチュエーションすぎるってば!!夢じゃないんだよね?これ・・・・

「ワハハハハッ!!今日は日直でね〜、放課後の点検中なのさ〜。で、ふーせー君の鞄が教室に残っていたから、きっとここにいると思ったんだよ!・・・ところでふーせー君。もうちょっとでテスト始まるのは分かってるよね〜?」

あっ・・何だ〜。てっきりあたし、もっと特別な意味で先生が来てくれたんじゃないかって錯覚しちゃったけど・・・・そうだよね。そんなこと、あり得るわけないよね・・・・でも、見回りでも先生にこうして会えたことが、とっても嬉しい・・・・

「は、はい。一応・・・・」
「ン〜。体を動かしたくなるのかな?」
「はい!こうしてボールと一緒に体を動かすことが大好きなんです!」
「そうかそうか〜、大変良い事だ!!ふーせー君!!だがしか〜し!!!生徒の大半はもう期末テストの為に帰ってしまったんだよ〜。それに、体育館はテストとは全く関係ない場所だから、そろそろ鍵をかけなければならなくてね〜。君のすることを邪魔したくないんだけど・・・すまないね〜、ふーせー君。今日の所はボールを片付けて、体育館を出てもらっていいかな?」

曽我部先生が手を合わせてあたしにそう言ってきた。まだまだ体を動かしていたい所だけれど、先生も色々大変だもんね。あたし1人のワガママ通したってどうしようもないし・・・・

「はい、分かりました!あたしこそすみません、先生。テスト前なのに・・・・」
「なぁ〜に、構わんのだよ〜。私としては、君がしたいことを存分にして欲しい訳なんだけど、学校がそれを許してくれなくてね〜・・・本当に申し訳なく思うよ。今度校長に掛け合ってみるから。」

そう言って曽我部先生は親指をビッと立ててウインクしてくれた。
うわぁ〜っ、今までどの見回りの先生もそんなこと言ってくれなかったよ〜。曽我部先生ってホントにイイ先生だよね〜。だから大好き!!

「はい!ありがとうございます、先生!それじゃ、一旦失礼しま〜す!」

あたしは先生にお辞儀してからそう言ってボールを元の場所に片付けた。それからすぐに入り口で待ってくれていた曽我部先生の所にパタパタと駆け込む。

「OKかな?ふーせー君!」
「はい!わざわざすみません、待っていただいて・・・・」
「いやいや!構わないよ、ふーせー君!!気にするな!!」

アハハハハハ。曽我部先生は手をパタパタと振ってそう言ってくれたんだけど・・・ホントに明るくてノリがイイよね〜。
それからあたしと先生で外に出て、先生が体育館の鍵を閉めたんだけど・・・・うぅ〜ん、何だかこのまま帰るのもな〜。せっかく曽我部先生と一緒にいるのに、もう離れなければならないなんて、ツラいかも・・・・

「それじゃ、ふーせー君!気を付けて帰ってね〜?また明日会おう!!」
「あの、先生!待って下さい!」
「ん?どうしたのかな?ふーせー君。」

先生ってばきょとんとした顔で驚いてる。無理もないよね、呼び止めちゃったんだし・・・・でもね、あたし今決めたんだ。このままもう少しだけ、先生と一緒にいれる方法・・・・あたしだって、少しは積極的にならなきゃ!気付いてもらえないだろうから・・・・

「先生!これから、勉強教えていただけませんか?」
「おぉ・・・おおぉぉ〜っ!!ふーせー君!!!もちろんだとも!!何の勉強見てあげようか?英語だけでよろしい?」
「えっ?あの、先生。他に何の教科なら見ていただけるんですか?」

ってか、それより!!「ダメ。」って断られるかもって思ったんだけど、即OKくれたよ〜!?先生〜。超嬉しいかも〜!!

「フフフフ〜。よくぞ聞いてくれた!!ふーせー君!!化学に数学に国語だろう?あぁ、私の担当は英語だったか。それから、君は日本史を取ってたよね?」
「はい!そうです。」
「ウム!!それならこの際ババ〜ンとまとめて5教科見てあげよう!!それじゃあ先生ちょっと用意してくるから、その間にふーせー君も準備しててね〜?」
「はい、分かりました!それじゃあ、お先に失礼しま〜す!」
「あぁ!教室で待っててね〜、ふーせー君!」
「はい!!」

あたしは嬉しくなって、笑顔全開で返事しちゃった。それから勢いのままに廊下を走って教室まで行ったんだけど、先生がそのことに関して突っ込んでくることは何もなかった。早く着替えて、準備しなくちゃね!!


  

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