「放課後、勉強教えてください」 2


フ〜、着替え完了〜。毎日置き勉してるから教科書も全部あるし、ノートもそろえたから・・後は先生が来てくれるのを待つのみ!なんだけど・・・・先生、まだかな〜。
あたしはドキドキワクワクしながら教室で待っていた。クラスの子達も全員帰っちゃったみたいで、今教室にいるのはあたし1人だけ。ウ〜ン!!先生にマンツーマンで勉強見てもらえるなんて、思い切って声かけてみてホントに良かったよ〜!!やれば出来るじゃ〜ん!あたし〜!!このまま曽我部先生にアタックしちゃおっかな・・・って、それはさすがにヤバいか。
あたしは逸る気持ちを抑えて待っていた。こうして先生を待っている時間って、もどかしくて、息苦しくて・・・・早く曽我部先生に来て欲しいなって思う。時間的には全然経ってないんだろうけど、このままいるのがつらいかも〜。先生早く来てよ〜!!
あたしのその強く念じた思いが届いたのか、間もなく教室の後ろのドアをガラガラと開けて曽我部先生が中に入ってきた。

「やぁ、ふーせーく〜ん。しっかり用意してるようだね!!」
「はい!準備万端です!」
「ワハハハハッ!良いことだ、ふーせー君!それじゃ〜、何から見てあげよっか〜。ふーせー君が一番自信ないものはどれかな〜?」

曽我部先生があたしの隣に座ってそう言ってくれた。わぁっ、先生とこうして至近距離でいることって、滅多にない機会だよ〜!?チラッと曽我部先生を見てみると、本当に先生は、スッと切れ長の目が印象的で、鼻が高くて、最高にカッコ良い。体全体を見ても、肩幅が広いのに細くて、座高の位置も高い。
しかも先生、足組んで座ってるんだけど・・・足超長くてほそーーーい!!手も大きいし、指も長くて男らしい感じがする・・・もうもう、先生のこと見てるだけでドキドキしちゃうよ〜!!
こうしていることが嬉しすぎて・・・・あたし、確実に顔赤いんじゃないかなぁ、今・・・・先生に変に気取られなければいいんだけど・・・・

「えっと、そうですね〜。アハハハハ〜・・全部自信ないです・・・・」
「ワハハハハッ!!まぁ、ふーせー君、そう言わずに!!それじゃあ、その中でも特に一番自信ないものは何かな?」

あぁ〜。きっと先生、ものすごく呆れてるんだろうな〜。でもでも、しょうがないじゃん。事実なんだから・・・・

「えっと。一番ワケ分かんないのは数学です・・・」
「数学ね〜。今数学はどこら辺やってるの?」
「んっと、ここの所です。何だかワケ分かんない関数の計算なんですけど・・・・」

あたしはそう言いながら、数学の教科書を広げて曽我部先生に見せた。曽我部先生はそこの部分をパッと見るか見ないかの内に、すぐに喋り出した。

「この手の問題はね〜、公式覚えちゃうと簡単だよ〜?ふーせー君。後はそこから発展させるの。」
「先生〜。その発展の仕方がよく分かんないんですけど・・・・」
「フムフム、そうか!それじゃあ、まずは公式からしっかり覚えようね!!ふーせー君!」

そうして曽我部先生は、公式をしっかりあたしに覚えさせた所で、教科書の問題を中心に解き方を教えてくれたんだけど・・・・・はっきり言って、数学の先生よりはるかに分かりやすかった。こんなバカのあたしでも、先生のおかげで大分理解出来たんだけど!!!少しだけ、数学に楽しさを見出した瞬間だった。

「わぁ〜っ。こんな風に問題解けたの初めてです〜、先生〜!!」
「そうか、そうか!!良かったな〜、ふーせー君!!数学はなかなか楽しいだろう?」
「はい!先生、数学得意なんですか?」
「そうだね〜。数学は普通に好きだったし、得意分野と言えばそうかな。」

えぇっ!?意外!!!あっ、でも化学好きな先生のことだから、数学とかも発展してやってそう〜・・・・

「そうなんですか〜。いいな〜、数学得意って・・・」
「ワハハハハ。でも、君みたいにスポーツが得意なのはもっと良いことだよ?」
「・・そうですか?」

あたし、あんまりそんな気がしないんだけど・・・・先生は大きく頷きながら言ってくれた。

「そうだとも!!特に君はスポーツ特待生だからね〜。その能力をもっともっと活かして欲しいな!君には人と違う力があるんだよ?つまりそれは、何よりも強い力だね!!その強さをバネにして、これからも怪我をしない程度に、君のやりたいことを精一杯やってね。」

ウゥッ・・先生、本当にイイこと言ってくれるよね。あたし、ジーンって胸が熱くなっちゃった・・・・先生にそう言われると、もっと頑張んなきゃって思う。

「はい!!ありがとうございます、先生!あたし、これからますます頑張ります!!」
「フフフフ〜、大変よろしい!!・・っとと、雑談はこれ位にしといて・・・次は何がいいかな?ふーせー君!」
「はい!次は国語をお願いします!」

そんな感じで、それからざっと2時間位、休憩や雑談も入れながら先生がずっと付きっ切りで色んな勉強教えてくれたんだ〜。ホントにラッキー!!こんなに長い時間、誰もいない教室に先生と2人きり、だなんて・・・最高に幸せ〜!!
気が付いて外を見てみると、日が少し傾いてオレンジ色に染まりつつある。もうそんな時間になったんだな〜・・・・

「ふーせー君、お疲れ様!!よく頑張ったね〜。」
「こちらこそ!お忙しい中、長時間本当にありがとうございました!!」
「フフフフ〜、何のこれしき!!頑張っている生徒の力になるのは、教師として当然のことさ!!それより、気を付けて帰るんだよ?ふーせー君。悪い人に攫われちゃダメだからね?」

アハハハハハ。まさか、そんなのあるワケないじゃん・・・・

「大丈夫ですよ〜、先生!それでは、失礼します!さようなら、先生!!」
「あぁ、さようなら。また明日ね〜、ふーせー君!」
「はい!!」

そうしてあたしは、改めて先生にお辞儀して教室を出ようと思ったんだけど・・・忘れてた!!
あたしは急遽クルッと後ろを向いて曽我部先生を見た。曽我部先生はあたしと目が合うと、少し驚いてる感じだった。まぁ、無理もないよね。

「すみません、先生!また近い内に、放課後、勉強教えてくださいね!!」
「おぉ・・・おおぉぉ〜っ!!もちろんだよ、ふーせー君!!そうだね〜、明日は会議が入ってるから〜・・・テスト前だと明後日のみか。」
「はい!それでは明後日にまた、よろしくお願いします!!」
「ウム!!よろしい、ふーせー君!!この次は指導室にでも行こうか〜。お茶でもしながら勉強しよう!!」

えぇっ!?ウソッ、マジで!?ヤッターーー!!超絶ラッキーーーーー!!

「はい、分かりました!それでは、今度こそさようなら!先生。ありがとうございました!」
「あぁ〜。Byebye〜、Ms.ふーせー君!!」

最後に曽我部先生らしい英語で挨拶してくれた上に手も振ってくれたよ!?曽我部先生!!ウワ〜ン、もう最高にあたしってば幸せ〜!!!今日のコトは絶対忘れないようにしなきゃ!!
次は明後日か〜。しかも指導室でお茶しながらだなんて、マジで幸せなんだけど〜!!!ホントに曽我部先生にアタックしちゃうぞ〜?あたし〜。
そんなワケで、あたしは気分最高潮の中、その日は家に帰りました!!あぁ〜、早く明後日にならないかな〜?今から楽しみで仕方ないよ〜!!

 

END.


  

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