「進路相談」 2


「はい!!ありがとうございます、先生!!あたし、一生懸命頑張ります!!勉強は全然ダメですけど、その分沢山バレーで頑張ります!!」
「ウム!!!確かにね〜、テストの方はお世辞にも、良いものとは言えないからね〜・・・・あ、成績表渡すの忘れてたね。テストお疲れ様!」

アハハハハハ。分かってはいることだけど、やっぱり曽我部先生にそう言われるのはショックかも・・・・そして成績表返されて2倍にショック。こんな悪い成績見たってね〜・・・・

「はい・・・テストは、本当に散々でした・・・」
「でもね〜、ふーせー君!人間はテストの成績が全てじゃないんだよ?それに今回の期末テストの成績は全体的に良くなったから、先生はとても嬉しいよ!!ただ英語が惜しかったね!今回も夏休み中に補習するから、その時は来てね?ふーせー君。よろしい?」
「はい、分かりました。」
「出来るだけ部活とは被らないように手配するから、安心してね〜?で、Ms.ふーせー君の今後の進路に関しては完璧だから先生何も言うことないんだけど・・・・Mr.ふーせー君はどう?何か意見ある?」

先生にそう言われて、それまで黙っていたお兄ちゃんが少し考えながら喋った。

「・・・俺も異議はないです。妹は昔から本当に活発で、スポーツが大好きだったので・・・自分の好きなことを仕事に出来るのは、最高のことだと思います。」
「そうだね、先生もそう思うよ。いや〜、君は本当に恵まれているよ!ふーせー君!!でもね、困ったこととかあったら、いつでも遠慮なく先生に相談してね?前にバレーで自分を見失っちゃった時があったみたいだけど、あの時のように、自分だけで背負い込まないで私に言うんだよ?よろしい?」

そういえば・・・1年の時に部活入ってからすぐに、練習がちょっとハードで先生に愚痴こぼしたことあったんだよね〜・・・・曽我部先生、本当に優しくしてくれた。あの時から既に、あたしは曽我部先生に恋をしてたんだなぁ〜って、今ぼんやり思っちゃった。

「はい!ありがとうございます!先生。」
「俺からも・・ありがとうございます、先生。これからも妹のことを、どうぞよろしくお願いします。」
「フフフフ〜、こちらこそ!!いつでも力になるからね!ふーせー君!!部活頑張ってね?」
「はい、先生!!」
「あぁっ!!そういえばMr.ふーせー君!!部活で思い出したんだけど、この間の君の酸化実験どうなったんだい!?」

アハハハハハ。いきなり話がそっちにいくんですか、先生・・・・

「えっ・・・?あっ、あれは駄目でした。理論上では上手くいく筈なんですけど・・・・」
「そうだよね!?うぅ〜ん、何が悪いんだろう・・・今度別のもので挑戦してみる?」
「あ、あの、先生。そしたらナトリウムがあると、ありがたいんですけど・・・」
「ナトリウムだけでよろしい?マグネシウムは?」

うわ〜っ、何かワケ分かんない話してるよ〜!!ってゆーか、あたしの進路相談の筈なのに、どうして先生とお兄ちゃんで化学部の話してんの〜!?
それからちょっとだけお兄ちゃんと先生が部活の打ち合わせをしてたんだけど・・・曽我部先生が気付いてくれたみたい。

「あぁっ!!悪いね、Ms.ふーせー君!!いや〜、予定時間より早く終わってしまったものだから、つい雑談してしまったよ〜。」
「いえ、いいですよ〜。それより、部活出てもいいですか?終わったのなら、もう教室出た方がいいんじゃないかと・・・・」

かる〜くお兄ちゃんに嫉妬してます。前みたいに自分の思ってることそのまま出すのは抑えてるけど・・・・因みに本当の気持ちは「曽我部先生嫌い!!」って叫んでダッシュしたいです。

「あぁっ!ごめん、ふーせー君!!今度は君とお喋りしよう、そうしよう!!!だから、もう少しだけここにいてもらっていいかい?」

?・・・曽我部先生、どうしてそんなに慌ててんの?よく分かんないけど、まぁ、先生とお喋り出来るならいいや。

「はい、構いませんけど・・・お喋りって、何話すんですか?」
「う、うぅ〜ん、そうだね〜。何でもいいさ!!そうだ!若者の大好きな、恋のお話を聞きたいね!!ふーせー君はどお?恋してるかい!?」

ええぇぇっ!?まっ、まさか、いきなりそんな風に発展するとは思わなかったよ〜!!どど、どうしよ〜!!これって、何って答えるべき〜!?
あたしはもう自分で何も考えられなくなっちゃって、思わずお兄ちゃんの方を見た。お兄ちゃんの瞳は「ここは逃げた方がいいんじゃない?」って訴えてるように感じた。あっ、そうだよね!!逃げればイイんだ!!さっすがお兄ちゃ〜ん!!あたしの頭の中では「どうごまかそうか」と「ホントのコト言った方がイイかな〜」ってコトしかなかったから、大分助かった・・・・

「な、内緒です!!そういう先生はどうなんですか?」
「フフフフ〜、ふーせー君。君が言ってくれないのなら、先生も秘密にしておくしかないな〜。」

ム〜ッ、言われると思った〜。
・・そういえば・・・先生って本当にカッコ良いから、先生に告白してる生徒多いって聞いたけど・・・・実はこれって、探り入れてみるイイチャンスだったりしな〜い!?

「そうですか〜。ところで先生、学校の女子生徒から告白されたこと多いって聞いたんですけど、本当ですか?」
「えっ!?あっ、あぁ、そうだね〜。先生モテモテで困っちゃってさ〜、ワハハハハハ〜ッ!!」
「・・先生。実は告白された生徒と付き合ったりしてます?」
「ななっ・・・!!そ、そんなことはしていないよ!ふーせー君!!誤解だ!!それは大いなる誤解だーーーーーーーーー!!!」

な、何か・・いつになく曽我部先生、力入ってるな〜。実は付き合ってる子いるんじゃないの・・・・?

「そうですか?なぁ〜んかアヤしいですよ〜?せんせぇ〜。」
「ふーせー君!?君は私の言うことが信じられないと、そう言うのかい!?ウゥッ・・そしたら先生、悲しくて泣いちゃうぞ〜!?」

アハハハハハ。出た、先生のウソ泣き。いつも通り大げさなジェスチャーだな〜・・・・

「先生・・子供じゃないんですから・・・・」
「ワハハハッ!確かにそうだね。いやぁ〜、でも・・君にそんな誤解されてたとは思わなかったから、先生ビックリしちゃってね〜・・・・まさか、他の生徒にもそんな風に誤解されてるんだろうか・・・・」

先生はそう言うと、青筋を立てて頭を抱えていた。
・・・先生、そんなに生徒から告白されること嫌なのかな?・・・あたしのこの気持ちも、やっぱり迷惑なのかな・・・・

「・・あの、先生。俺は誤解してません。先生が女子たちから告白されていることは有名ですけど・・・・」
「あぁ〜、ありがとう!Mr.ふーせー君!!ン〜・・・確かに数多の女子生徒諸君から告白されたことは、否定しないよ。」

先生、やっぱり自分でモテモテなこと、認めてるんだね・・・・でも本当に先生カッコ良いし、優しいし・・・・無理ないかも。

「先生・・・生徒のこと、嫌いですか?」

あたし、不安になってきた・・・・思わず本音出ちゃったよ。でもきっと、先生には悟られてないと思いたい・・・・

「何を言う!!Ms.ふーせー君!!私は全ての生徒を愛しているよ!!永久不滅の愛さ!!!でもね、好きだ惚れたは違うだろう?いや、もちろん嬉しいさ!!!嬉しいけどね!!ウム・・まぁ、その。色々複雑なのだよ・・・・」

うぅ〜ん、そっか〜。でも良かったかも・・・取り敢えず、先生が「嬉しい」と思ってくれてるなら。

「そうですか〜、分かりました。」
「あぁ〜、それより!!丁度良い頃合いだよ〜。これにてMs.ふーせー君の第1回進路相談終了〜!!お疲れ様!!ふーせー君たち!!」

先生がそう言って突然立ち上がったから、あたしとお兄ちゃんも自然と立ち上がることになった。何だか進路相談ってゆーより、後半は先生とその手の話が出来て楽しかったなぁ〜。

「はい!ありがとうございました!!先生。」
「俺も、ありがとうございました。」
「ウム!!それじゃあ、Ms.ふーせー君は部活かな?元気よく行ってらっしゃい!!Mr.ふーせー君はもう部活ないから、これでさよならだね。夏休み、大いに楽しんでね〜!!」
「はい、先生。」
「それじゃあ、先生!ありがとうございました!!失礼しまぁ〜す。」
「失礼しました。」
「あぁ!!それじゃあ、夏休み明けに元気に会おう!!ふーせー君たち!!」

そうしてあたしとお兄ちゃんは教室を出て、曽我部先生に見送られた。それからすぐに待ってた次の親子たちが入って行ったんだけど・・・・実は後半の会話、丸聞こえだったんじゃない?相変わらず放課後の廊下、静かすぎるから・・・・

「じゃあ、和。部活頑張って。俺は先に帰るから。」
「あっ、うん。今日はありがと!お兄ちゃん。そんじゃ、また家で!」
「うん・・・じゃ、また。」

そうしてお兄ちゃんが帰っていく。あたしも早く部活に行かなきゃ!!一杯体うごかしたーーーい!!ってコトで、久々の本格的な部活にいつもとは違ったドキドキを感じながら、あたしは体育館に駆け出したのでした♪

 

END.


  

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